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080:あたらしい見方で世界を見る👀

「8 Moving Forward───From Materials to Making of a new Real」のまとめ

「ターン」という語が示すのは「状態」ではなく,「動向」である.これから先はどうなっていくのだろうかということを,これまでの考察を振り返りながら書かれている.

電子書籍はフィジカルな書籍の「見た目と感触」を借りている.この方法はフィジカルからデジタルへの移行を助けたけれど,この考えはフィジカル=リアルとデジタル=表象とを分けていることが前提となっている.そして,重要なことは,デジタルでフィジカルを真似ても何かが欠け,決してリアルになることはないということである.そのため,フィジカルさを持たないフラットデザインが生まれた.フラットデザインは,フィジカルな要素はデジタル世界には必要ないことを示した.

"Non-skeuomorphism"───One step further away from aligning computing with reality?

スキュモーフィズムとフラットデザインとがともに前提しているのは,デジタルとフィジカルとを分けるということである.これからは,デジタルとフィジカルとを補完的に考えることが必要となってくる.それがマテリアル中心インタラクションデザインが目指すところである.それゆえに,マテリアル中心インタラクションデザインは以下の3つのアプローチで成り立っている.

1.どんなマテリアルもインタクションのマテリアリティの一部となれる
2.インタクションデザインはこのマテリアリティのデザインについてである
3.インタラクションデザインはデジタルとフィジカルを一緒に扱える構成を考えることである

さらに,マテリアル中心インタラクションデザインには3つの前提がある.

1.フィジカルな世界を排除しない
2.デジタル,フィジカルのいずれかに偏らない
3.フィジカルとデジタルのあいだで優劣を設けない

これらの前提から導かれるのは,フィジカルとデジタルとを統合して見ることであり,それは,世界をあたらしい目で見ることを要求する.

A new realism───Or seeing with new eyes?

インタクションデザイナーはマテリアルインタラクションデザインのレンズを通して世界を見て,改めて想像してくしてくことが求められている.それは,「見る方法」をシフトして,どんなものもインタラクティブなシステムのもとで「インタクション可能」なものとして見るようになることである.

ここを読んでいるときに思い出したのは,明治大学の渡邊恵太研究室であった.渡邊さんの『融けるデザイン』ももちろんだが,展示会で話した学生たちが「あたらしい見方」で世界を見ているという感じがしたのであった.

Movements: Maker cultures, creativity in interaction design, and the DIY movement

マテリアル中心インタラクションデザインは,フィジカルとの関係でデジタルを探求するような越境的なアプローチである.フィジカルとデジタルとを統合していくアプローチは,インタラクションデザインのためにオルタナティブなマテリアリティを探求するためのこれまでのプロとは異なる人たちに可能性を開く

Designing interaction───Beyond materials, and toward new materialities

マテリアル中心インタラクションには3つの傾向がある

見えないインタクション
非物質的なインタラクション
最小限のインタラクション

これらの傾向のもとで,オブジェクトのデザインとしてインタラクションのマテリアリティを理解することが求められている.それは異なるものごとを一つ全体としてまとめていくことなのである.

「A new realism───Or seeing with new eyes?」というフレーズがいいなと思う.あたらしいリアリズムは,フィジカルもデジタルも区別することなく扱えるようなリアリティを持つことであり,そのように世界を眺めるためのあたらしい目を持つことが求められている.

ワイバーグの『The Materiality of Interaction』から,私はあたらしい見方で世界を見るヒントをもらったので,このまとめから誰かがあたらしい目👁を手にいれる👀ヒントになるとうれしいです.

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