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060:何か別ものを巻き込むサーフェイス🌊

それゆえ,「(ビッグウェーブに)乗る」ことは,主体性や能動性の強烈な発言(コントロール)ではないし,たんに受動性に身をまかせることでもない.大波を外から操作するのでもなければ,大波の一部に成り切ってしまうのでもない(それでは溺れてしまう).それは,大波の表面においてのみ成立しうる危うい拮抗であり一体化である.位置No.4148/5706
あるようにあり,なるようになる 入不二基義

​​波のサーフェイスを突き破り,バルクに入り込んでしまうと溺れてしまう.これはとても重要な気がする.サーフェイスでのみ成立する拮抗があり,そこで一体化が起こる.波に乗るということは,波のサーフェイスを凹ませる,あるいは,突き破り,バルクへと足を踏み入れることだと考えてみる.サーフェイスの特性によって,ヒトは波に乗れるのか,それとも,足を踏み入れた先のバルクによって波に乗れているのか.​​サーフェイスは可塑性を持つとして,サーフェイスとともにバルクも変化する.

「あるようにあり,なるようになる」は,「運命」と同型であるような「自由」(あるいは自在)を表すのにも相応しい.物語的な自由を溢れ出す自由(自由からの自由)の力は,自由の相貌を台無しにする危うさを秘めつつ,「何でもあり」という全的な開放である.その相貌なき「何でもあり」から,相貌を持った「何かである」への転落によって,自由は一定の形を獲得しているが,その形からはみ出ること,形を無くすこともまた自由に含まれている.この「何でもあり」と「何かである」のまさに〈中間〉=表面の反復を,「あるようにあり,なるようになる」は表現しようとしている.位置No.4183/5706
あるようにあり,なるようになる 入不二基義

​​波は液体と気体とのあいだで拮抗するサーフェイスをつくり,サーフェイスとともに「波」が生まれ,バルクが生じる? サーフェイスは一体の形を獲得しているが,その形からはみ出るときに,「厚み」を持つ.その「厚み」がバルクなのかもしれない.サーフェイスがバルクとしてはみ出し,再度,サーフェイスとなりあらたな形をつくる.
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​​サーフェイスは常に二つ以上のバルクに挟まれて,二つのものを巻き込みながら,拮抗した力のもとで,形を変えていく.固体としてのバルクと気体としてのバルクであったり,液体としてのバルクと固体としてのバルクだったり,いくつかのバルクを巻き込みサーフェイスが生まれている.

表面の成分組成のほか,凹凸の度合いを示す粗度,濡れ性,光の反射・吸収特性などが代表的な表面特性である.最表面には電荷の帯電,独特の原子配列の変化,分子の吸着などがおこるせいぜい数原子分の厚みの部分がある.その厚みは気体分子の吸着層でおよそ0.5nm(ナノメートル:mmの100万分の1),油脂などの汚れ層が5nm,さらに下の酸化膜10nm,加工による変質層が1μmぐらいなど,これは金属の値である.p.11
表面と界面の不思議,丸井智敬・井上雅雄・村田逞詮・桜田司

吸着層・汚れ層・酸化膜・加工による変質層という感じで,サーフェイスは何かを巻き込まざるを得ない.何かを巻き込むからこそサーフェイスであり,そこの先にバルクがある.何か別ものを巻き込むサーフェイスとともにバルクはあり,一つのモノ,映像となり,ヒトとコンピュータとのあいだのインターフェイスを構成しているのではないだろうか.私は「インターフェイス」からソフトウェアとハードウェアとの関係を考え始めた.何か別ものを巻き込むサーフェイスを言語で記述し,機能するようにしたものを「ソフトウェア」として考え,そして,何か別ものを巻き込めるような土台を「ハードウェア」と考えみたらどうなのだろうか.



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