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東大理三軍団が挑んだGS面接問題

とあるYoutubeの企画で、東大の理三軍団(医学部の学生たち)と対決させてもらった。

そこで出題した問題(未放送部分も含む)とその解説を書きました。

問題1 3つのサイコロ

問題
1から6まで等しい確率で出るサイコロを3個ころがしたとき、合計の数として出やすい数は何か?

正解
10と11

解説
ころがすサイコロを増やしていくと、その分布は平均値を中心にした正規分布に近づくので、平均値に近い整数が最頻値(一番出やすい数)となる。

正規分布

たとえば、サイコロを2個ころがしたとき、最小は(1,1)が出た場合の2。最大は(6,6)が出た場合の12。平均値は、その真ん中の7。7が一番出やすくなる。
サイコロを3個にした場合は最小は3、最大は18。平均値は10.5になるので、10と11が一番出やすい。

念のために確認すると以下のようになる。
(i)サイコロ2個ころがした場合
2 になる組み合わせは (1,1) の1通り
3 は(1,2)(2,1)の2通り
4 は(1,3)(2,2) (3,1)の3通り
5 は(1,4)(2,3) (3,2) (4,1) の4通り
6 は(1,5)(2,4) (3,3) (4,2) (5,1)の5通り
7 は(1,6)(2,5) (3,4) (4,3) (5,2) (6,1) の6通り
8 は(2,6)(3,5) (4,4) (5,3) (6,2)の5通り
9 は(3,6)(4,5) (5,4) (6,3)の4通り
10 は(4,6)(5,5) (6,4)の3通り
11 は(5,6)(6,5)の2通り
12 は(6,6)の1通り
やはり、7が一番出やすい。

(ii) サイコロ3個ころがした場合
3になるのは1通り
4 は3通り
5 は6通り
6 は10通り
7 は15通り
8 は21通り
9 は25通り
10 は27通り
11 は27通り
12 は25通り
13 は21通り
14 は15通り
15 は10通り
16 は6通り
17 は6通り
18 は1通り
やはり、10と11が出やすいことがわかる。


問題2 ディズニーランドのアンケート

問題
ディズニーランドに来る客は、1グループあたり平均何人なのかを調べようとした。ディズニーランドの客は一人ずつゲートを通って入ってくる。そこで、何人かおきに声をかけて次のような質問をした。
「あなたは、今日、何人で来ましたか?」
その結果、全体の2割が2人と回答して、3割が3人、5割が5人と回答した。
このとき、1グループあたり平均何人だと考えられるだろうか?

正解 3.3人(10/3人)
解説
単純平均をとると、2×0.2+3×0.3+5×0.5=3.8人となる。
しかし、それは一つ一つのグループに対して、同じ割合でたずねた場合の話。今回は、一人一人に対して同じ割合になるように声をかけているので、話が異なる。
仮に全体が1万人いるとする。その2割にあたる2000人が2人グループ。3割にあたる3000人が3人グループ。5割にあたる5000人が5人グループ。
つまり、2人グループ、3人グループ、5人グループがそれぞれ1000組ずつ存在することになる。1万人いて、合計3000グループいるので、1グループあたりの平均人数は1万÷3000=10/3人となる。


問題3 25頭の競馬 

この問題は、3人の中に正解者がいなかったため、動画の中では紹介されていません。

問題
ここに25頭の馬がいる。何回かレースをして、1番目、2番目、3番目に速い馬を見つけたい。
・1回のレースで走らせるのは5頭だけ
・レースのタイムは計測できない
・レースの結果は順位だけ教えてもらえる
さて、レースは最低何回必要だろうか?

正解7回

解説
まず、5頭ずつを5組に分けて、それぞれで予選レースをする。

予選の結果

そして、予選で1着になった馬a,f,k,p,uの5頭を集めて決勝レースを競わせる。

決勝の結果

この決勝レースで1着になった馬fは、全25頭の馬の中で確実に1番速いといえる。しかし、2着のkや3着のpは、全体における2番や3番とはいえない。予選で速い馬とあたったせいで、運悪く予選落ちした馬がいるかもしれないからだ。1番速いfと同じ予選組で走ったgやhは、全体の2番、3番である可能性が残っている。また、決勝2着のkと同じ予選組で2着になったlもまた、全体の3番になる可能性が残っている。
つまり、現時点で全体の2番、3番になれる可能性の馬は、決勝で2着、3着になっているk,p以外にg,h,lの合計5頭。この5頭で2位3位決定レースをして、1着になった馬は確実に全体の2番といえるし、2着になった馬は全体で3番目に速い馬と言える。
予選5レース、決勝1レース、2位3位決定レースの合計7レースが正解となる。


問題4 ガチャコンプのコスト

問題
5種類のフィギュアが入っているガチャがある。5分の1の確率でそれぞれのフィギュアが出てくる。ガチャは一回100円。すべてそろえるためにかかるお金の期待値はいくらだろうか?

正解 約1142円

解説
1種類づつ増やすためにかかる回数を考えていく。
まず、0種類から1種類に増やすまでの回数。これは、当然1回。

次に、1種類から2種類に増やすまでの平均回数Xを考える。
1回引いたとき、1/5の確率で、すでに持っている種類を引いてしまう。このとき、2回目にトライしないといけない。2回目にトライしても、1/5の確率で同じものが出る。すると、さらに4/5の確率で1回目とは別の種類を引くので、その場合は1回ですむ。しかし、1/5の確率で同じものを引く。その場合はもう一度引かないといけない。そして、それも1/5の確率で失敗する。下の図の【解1】のような式になり、この等比級数の和を計算すると5/4回になる。

別の方法でも、考えることができる。
成功までに必要な平均回数をXとしているが、これは4/5の確率で1回で成功し、1/5の確率で1回が無駄になり、またやり直すことになる。つまり、1/5の確率で、成功までに(1+X)回かかることになる。これを方程式にして、Xをとけば、X=5/4となる【解2】。

同様にして、2種類から3種類にするときの平均回数Xを考える。今度は、失敗確率が1/5から2/5にあがるので、以下のような式になり、平均して5/3回試す必要がある。

このように、3種類から4種類、4種類から5種類に増やすまでの平均回数も同様に計算すると、それぞれ、5/2回、5回 となる。

よって、すべて集めるまでかかる回数の平均は、1+5/4+5/3+5/2+5=137/12
金額は137/12×100円=約1142円となる。


問題5 海賊の金貨

5人の海賊A,B,C,D,Eが50枚の金貨を山分けしようとしている。この5人の海賊はA,B,C,D,Eの順に偉い。
山分けするにはルールがある。
その場にいる中で一番偉い海賊がボスとなり(はじめはAがボス)、分配案を提示する。
そして、すべての海賊がボスの案に対して投票をする。
賛成票が反対票よりも多いか、同数だった場合は、その案は可決され、その通りに金貨が配られる。
ところが、反対票が賛成票を上回った場合、案は否決されて、ボスは殺される。そして、次のボスが分配を提示して、投票が行われる。これは、可決されるまで繰り返されます。
この5人の海賊はみんな頭がよくて、合理的に物事を考えることができます。
さて、あなたは海賊Aです。自分の取り分をなるべく多くするには、どのような分配案を示せばいいか?

正解 A48枚、B0枚、C1枚、D0枚、E1枚

解説
簡単に決着するところから、振り返って考えていく。
最後D,Eの2人だけになったとき、可決するために必要なのは1票だけ。【D50枚、E0枚】と提案すれば、自分の票だけで可決することが可能。
では、C,D,Eの3人になったときを考える。可決に必要なのは2票。
Eにとっては、ここで可決されないと、自分の取り分が0枚になってしまうから、1枚でももらえれば賛成する。そのため、Cは【C49枚、D0枚、E1枚】と提案すれば、自分を含めて2票を獲得でき、可決できる。
では、B,C,D,Eの4人のときはどうか。ここで可決できないと、D の取り分は0枚になってしまうから、1枚でももらえれば賛成する。よって、Bは【B49枚、C0枚、D1枚、E0枚】と提案すれば、自分とDの賛成票で可決にもちこめる。
となると、5人全員がいる場合も考えることができる。Aが必要なのは自分を含めて3票。ここで可決されないと、C,Eは取り分が0枚となってしまうので、彼らから賛成票をもらえるような提案をすればいい。
【A48枚、B0枚、C1枚、D0枚、E1枚】と提案すれば、自分を含めて3票を獲得し、可決することができる


第6問 砂漠の郵便屋

砂漠の中に都市Aと都市Bがあり、一本道でつながっていて100キロの離れている。
あなたは、都市Aから都市Bに郵便を届けたいが、徒歩で届けるしかない。
人は1日10キロ歩くことができ、一人は最大6日分の水と食料を運べる。
都市Aから出発し、無事Bに送り届けるには、最低何人の仲間を見つけて出発する必要があるか?
ただし、全員が最終的には都市AかBに
たどりつかないといけない。

※たとえば、3人で出発した場合、4日後には3人の食料は残り2日分ずつになる。合計6日分の食料を1人に持たせれば都市Bに郵便を届けることはできる。しかし、食料が尽きた2人は砂漠の中で餓死してしまうので、これは答えにはならない。

正解 (自分以外に)3人

解説
あなた(a)と、3人の仲間(bcd)の4人で都市Aを出発
2日後、cdが、abに2日分の食料を渡し、都市Aに戻る
4日後、bが、aに2日分の食料を渡し、都市Aに戻る
残ったaは、この時点で6日分の食料を持っているので、都市Bに行ける。
しかし、問題はbだ。都市Aに戻るには4日分の食料が必要なのに、2日分の食料しか持っていないので、このままでは飢え死にしてしまう。
そこで都市Aに戻っているcは、4日後の時点で食料を補給して、再出発する。そうすると、6日後にbと合流することができる。ここで、2日分の食料を渡せば、bとcは無事に都市Aに戻ってこれる。



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