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<むすめ×わたし>コラボ*ラボ⑦「親がしてやれることなんて、たかが知れている-いじめから得た3つのこと」

■それは、ある日突然やってきた

むすめが小5の時、いじめにあった。

まえぶれもなく、その日はきた。

今の時代…小学生でも、スクールカーストの女王の気にさわると、LINEで一気に指令が下りて、相手が誰であれ翌日からいじめ開始…ということが簡単にできるようになった。

どちらかと言えば、むすめはクラスの中心のグループにいて、女王たちがおとなしい子達にしているいじめを、見て見ぬふりをしていないか心配するくらいだった。

ところがある日、学校に行くとむすめの居場所がなくなっていた。

即、担任に連絡して、すぐに校長の采配で保健室、職員室が避難場所として認められ、担任がいじめ現行犯の現場を押さえられるように、「大人は誰もそのいじめに気がついていない」ふりをして、子どもたちの力で「それは、いじめであり、やめなければならないと自分たちで気づくことができる」ように万全のフォロー体制をとってもらった。

女王クラスの保護者は、学校トップクラスのモンスターペアレンツたちで、虐待の疑いアリと近所の人が警察に通報するくらいの人たちだったので、一切知らせないでほしいと学校にお願いした。

結局女王クラスの子達が学校の動きを察知して、約1ヶ月で事態は終息した。

その後、クラスは平穏に戻ったかのように見えた。けれど、いじめの対象が新しいターゲットに代わっただけだった。

4年たったいまでも女王は相変わらず君臨して、とりまきに囲まれて、よりずるがしこくいじめを行っている。

■いじめで得た3つのこと

① とりあえずの勝利

むすめは、逃げなかった。

保健室登校、不登校、転校、いずれもしないで、なるべく教室で授業を受け、具合が悪くなれば保健室に行くけれど、絶対に早退はしない…を、つらぬいた。

わたし: 「学校に無理していかなくても、えいがで。きつかったら、いつだって転校してかまんがやき。」

むすめ: 「いっぱい考えたけどよ、私この学校の生徒として卒業したいがよ。1年生から、今までがんばってきたこと…私は自分がよくがんばったと思うき、私は私をあきらめたくないがって。それに、逃げたって、そこにもいじめっ子はおるがよ。だったら、ここでがんばる方がえい。」

2週間くらいたって、今まで休み時間は運動場の真ん中でボールを追いかけていたむすめが、校舎の影でうずくまって校庭をにらみつけているのを見て、6年生のいじめられっ子グループの上級生たちが異変に気づき、独自のセーフティネットでむすめをひとりぼっちから救ってくれた。

それがくやしくて、女王のひとりがむすめが気がつかないように、おとなしいグループの子のヘアピンを、むすめが遊んでいるそばに落として、むすめにピンを拾ってとたのんだのに無視されたとそのピンの持ち主に言わせて、大勢の前で、むすめは極悪非道のいじめっ子で自分たちはそれをこらしめる正義の味方だと宣言して、むすめを責め立てた。

むすめは、正面から「いじめっ子はあんたたちじゃないか!」とタンカを切り、号泣しながら攻め返した。気がついたら、保健室のベッドにいて、聞くと、状況に気づいた保健の先生が、叫んでるむすめが泣き崩れるのを支えて、そのまま保健室で保護してくれたと。そしてそれでも、むすめは早退しなかった。

わたし: 「早退してもよかったがで。仕事抜けて迎えに行ったのに」

むすめ: 「学校から出ていかなきゃならんのは、あいつらの方やき!なんで私が引き下がらないかんが?」

その件で、校長室に事情聴取で呼ばれた5年女子全員が、このままでは自分たちが悪者になると思い、むすめに交渉を申し出た。「あんたを許して仲間に戻してあげるから、いまここで、5年女子全員にあやまれ」と。むすめは、返事をしなかった。

いじめの現場を複数回、自分の目で担任が確認し、校長に報告したのを受けて、むすめをのぞく5年女子全員が、校長から厳重注意を受けて、この一件は幕を閉じた。

親を介入させず、5年女子に自分たちのいじめ行為を認識させたむすめの「とりあえずの勝利」だった。

②家族の絆が深まったこと

弟がふたりいて、それがむすめの癒しになった。弟たちを可愛がり、一緒に遊ぶことで、むすめは毎日笑うことができた。

わたしとも、親子というより戦友みたいになって、今もそんな関係が続いている。むすめに頼まれて、絵を描いたり、一緒にオタクな話で盛り上がったり。今も、そんなことしかできないけれど。

③むすめが、人に嫌われることに一切ひるまなくなったこと

これは、この先いずれ親もいなくなることを考えると、生きていく上で、むすめにとって大きな力になると思う。

反動で、時に大人に対してさえ、とても毒舌になってしまったけれど、今はいいかな…毒舌とかそんなところくらいは、まだ子どもなんだから…いいよね…と思う。

■ 親がしてやれることなんて、たかが知れている

最初はいじめっ子とはいえ、しょせん子ども相手のことだから…と、たかをくくっていたけれど、最後には切るか切られるかの真剣勝負になっていた。

大人なら絶対に思い付かないような残酷な手を、何食わぬ顔でしかけてくる女王グループに心底ゾッとした。

私なら、すぐに不登校になってたな~と思うし、それも間違ってないと思う。むすめがとった反撃手段の無茶ぶりにもただ驚きながら、むすめがどうやってこんなに成長をとげることができたのか、今もわからずにいる。

しょせん、親がしてやれることなんて、たかが知れている…と、思うしかなく…とりあえず、頼まれたら、マンガの模写をする日々。

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これを読んで、むすめが

「私って、けっこうずぶとい~(笑)も~、忘れちょったわ~」

未来にワクワクするので、忙しそうです。
ありがたいな~。

春ですね。

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高知県本山町の、
なんにもない中学生と
なんにもない母さんの
小さな小さな昔ばなし。

ではまた~。

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