見出し画像

タイ・バンコクで現地採用 - 案件炎上しないためのタイ人スタッフとのコミュニケーション -

私はタイ・バンコクにある、在タイ日系企業向けにデジタルマーケティングの支援をする会社で5年半働いています。タイにある会社なので、もちろん職場の多くはタイ人であり、これまでタイ人スタッフの助けを借りながら仕事を進めてきました。(ちなみに前回のnoteではバンコクでの転職活動について書きました)

会社での私の役割はデジタルマーケティング案件のマネジメントで、案件全体の進捗管理、エンジニアやクリエイターへの仕事のアサイン、クライアントとの折衝や関係作りなどです。

自分個人で頑張れることはクライアントへの対応であり、実際に手を動かすタイ人エンジニアやクリエイター無しには案件の完結が出来ません。

タイ人スタッフとのコミュニケーションは、最初の方は色々と失敗もしましたが、徐々にコツを掴んできました。

今のところコミュニケーションミスに起因する案件の炎上は起きたことがなく、これまでの工夫がある程度機能していたのではと思います。
今回は、タイ人スタッフと働く上で工夫したコミュニケーション方法を記録しておこうと思います。

前提 タイ人の気質

よく言われることですが、多くのタイ人は、人前で自分が非難されたり怒られることを極度に嫌います。タイ人は親が子どもを叱るということをあまりしないらしく、怒られることに慣れていないそうです。

また、人前でマイナスの感情を爆発させるのは「未熟な人」と見られるそうです。なので、これだけはしないように入社直後から心掛けていました。

依頼は分かりやすく簡潔に

タイ人スタッフとの会話は基本的に英語でしたが、依頼する際はこちらの意図が正確に伝わるように、シンプルな英語で、はっきりと簡潔に伝えるように心がけました。特にスケジュールは、つい "as soon as possible" などの曖昧な表現を使いたくなりますが、具体的な期日が無いものはどんどん後回しにされるので、X日までに、と都度伝えることが重要になります。

依頼した際、少しでも不安そう・分からなそうな反応があった場合は、そのままにしないでその場でフォローします。よく理解してもらえなかった場合、きちんと確認してくれる人もいますが、そうでは無い人もいるため、こうしたフォローが後々効いてきます。

またそのスタッフが同時に複数タスクを抱えている場合、「全部重要だから全部同時に終わらせて」という要求は不可能なので、優先順位をこちらで付けます。

複数の内容を1通のメール/チャットに盛り込まない

メールやチャットで何かを依頼する際、「ついでにこれも頼んでおきたい」と複数の内容を盛り込みたくなります。しかし一度に頼む項目数が多いと、そのうちのいくつかは、すっ飛ばされることが多いです。手間ですが、「あれもこれも一度のやり取りで終わらせたい」となるのを我慢し、一つクリアしたら別の依頼、とした方が安全です。

また、メールやチャットをした後、しばらく反応が無い場合は、メッセージを見逃している可能性が高いので口頭でフォローします。

ひたすらフォローアップ(進捗確認)

もちろん人によりますが、タイ人は「進捗の報告」を重要視している人が少ない気がします。仕事はトラブルが付き物で、進捗が当初の予定よりも遅れる場合は多々ありますが、自ら「今遅れ気味です」と報告をもらえる場面は少なかったように思います。

スケジュール遅れやトラブルは、インパクトが大きくなってから初めて知ると、それをカバーするのが辛くなり、案件の炎上まで一直線です。頻繁にフォローアップをして、なるべく問題が小さいうちに把握できるように心掛けていました。

とある在タイ日系企業の日本人マネージャーは「我々はフォローが仕事」というようなことを言っていて、どこも同じなんだなーと思いました。

仕事の依頼はその背景から説明

何か仕事を振られた際、その仕事の背景や必要性が分かった方がやる気が出るものですが、タイ人も同じだと思います。特に私が仕事をお願いしていたエンジニアやクリエーターは職人であり、どんなに小さい仕事でも「なぜその仕事をしないといけないのかが曖昧な仕事はしたくない」という感じでした。

仕事の背景の説明はもちろんですが、特にエンジニアやクリエイターがやりたくなさそうな仕事の場合は、その仕事の依頼主の状況も共有して、「あんまりやりたくないけど仕方がないから助けてあげよう」と思ってもらえるようにしました。

また仕事の背景を説明するメリットとして、「その目的なら、今やろうとしているこの方法より別の方法がいいのでは」というような提案をもらえることもありました。

タイ語を挟む

前述した通り基本的な会話は英語ですが、強調したい内容は、タイ語(カタコトですが)を挟むようにしました。これにより、強調したい部分の意図がより伝わったのではないかと思います。また共感を表したい時などにもタイ語を挟み、会話が活性化したり、笑いが起きて場が和んだり、ということもありました。

間接的に褒める

在タイ日系企業がクライアントのため、タイ人の感覚では到底理解が出来ないような細かさや高い水準を求められる場面もありました。「これはなんの意味があるの、誰得なの」と言いたくなるような内容です。ただ仕事はやらないといけないので、そのような場合は特に、多少盛ってでも「XX(クライアント)が前にうちの会社の仕事を褒めてた」などと間接的に褒めて、やる気を出してもらえるようにしました。

タイの社会構造を理解する

「郷に入れば郷に従え」という言葉がありますが、王室や仏教など、タイの社会構造について、共感はせずとも理解やリスペクトは必要です。またタイでNGとされていること(タイの社会的にタブーとされている行動)をしないのは最低限のマナーです。

さいごに

これらをまとめると、「タイ人の気質を理解した上でのコミュニケーション」になると思います。こちらから歩み寄る感じですね。特に小まめなフォローアップは、案件炎上を未然に防ぐ上で一番効くと思います。

教材の購入、または自宅で飲むビール購入に使わせて頂きます。