東大法学部に進む人へ



はじめに

初めまして。東大文科一類→東大法学部→東大法科大学院(未修)に進学したmnop(えむのっぷ)です。
この記事は

  • 現在東大法学部に所属する2~4年生

  • その中でも特に法曹志望の学生

  • 進振りで法学部に進むことが決まった東大生

  • 法学部に進むか迷っている大学生と受験生

を主に対象として、東大法学部に入ったあと、どんな生活が待っているのかという見通しをもってもらうために書いたものです。
世の中には予備試験や司法試験合格者の書いた勉強法の記事はたくさんありますが、〈大学の成績は中〜下程度学部で予備試験に合格することはできず法科大学院に進むことになった者〉が書いたnoteはあまりないんじゃないかと思います。僕自身、法学部進学後そしてさらにその先のことについての情報を得ることに苦労しました。だから、昔こんな記事があったらな、こんなことを知っておきたかったなと思うことを書いてみました。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最も伝えたいこと

とにかくこの記事で僕が言いたいのは、「大学の成績は大事」「ちゃんと勉強をしろ」ということに尽きます。特に、上位数%ではない人たち、東大法学部の平均またはそれ以下だとどうなってしまうのかのリアルを見てもらって、これを反面教師にして勉強してもらいたいなと思っています。

ただ注意してほしいのは、この記事は全て僕の経験に基づいた個人の意見であるということです。また、僕は予備試験にも司法試験にも合格していない、法学を勉強中であるただの東大ロー生であるということもご承知おきください。あくまで参考程度に読んでもらえれば幸いです。

大学の成績が大事な理由

まず、なぜ大学の成績が大事なのか。
結論から言うと、大学の成績は〈弁護士事務所のインターンの選考〉と〈法科大学院入試〉で見られるからです。僕がまだ知らないだけで、他の場面でも成績を見られることがあるかもしれませんが、少なくとも学部時代に成績が関係するのはこの2つの場面です。

東大法学部での生活

以下、時系列順に大学の授業について見ていきながら、上記2場面でどのように成績が見られるかについて詳しく説明します。

2年生

持出科目が始まります。以下、必修と表記されているのは法学部2類における必修科目です。1類、3類では必修科目が異なります。
必修の、憲法、民法1部、刑法1部、政治学
に加えて、選択科目を取ることができます。

僕が2年生で取った単位数とGPA(以下全て、不可を含めずに計算)は、
約30単位
GPA約2.6
でした。

このGPAでは足りません。何に足りないのかという話の前に、まずはなぜこのような成績になってしまったかを反省を込めて分析してみます。
この年はコロナの影響で4月から最後まで全てオンライン授業となっていて、科目によってはリアルタイムのzoomなしでオンデマンド録画配布のみの授業もあるという状況でした。僕は正直法学部の勉強を舐めていて、なんとなく先輩から聞いていた「2年生は遊んで、勉強は12月から始めれば大丈夫、シケプリを読めばいい」という言葉を鵜呑みにして、ほとんど授業を受けていませんでした。ですがいざ12月からシケプリを読み始めても、圧倒的に時間が足りず、ほとんどの科目でシケプリを読み終わることができませんでした。大学受験から時間が経っていたこともあり完全に勉強の仕方を忘れていて、集中力も続きませんでした。
しかし、この年は試験も全てオンラインであったことに救われました。試験中に全ての資料の参照ができたため、シケプリやレジュメを試験のときにその場で見て回答するということができました。そのおかげでなんとか単位を取れた科目がほとんどです。これができなければ何単位取れなかったのかと思うとゾッとします。
だから、つまり、全て対面試験となった今では、このやり方では確実に終わります
特に僕は大学受験の勉強も、直前に詰め込むタイプではなく、コツコツやるタイプだったということを忘れていました。僕のようにコツコツやるタイプの人は、せめて夏休みには前期の授業は全て消化しておかないと後で地獄を見ます自分にあった勉強のやり方を理解して、人の意見やペースに流されずしっかり取り組みましょう。信じられるのは最後は自分だけです。

予備校と大学の勉強

また、僕は2年生の授業が始まるのとほぼ同時に司法試験の予備校に入塾していました。予備校の勉強をやってれば学校の試験もなんとかなるだろう、と思っていたのもよくなかったです。サークルなどが忙しくなり、夏頃から徐々にモデルのスケジュールから遅れていきました。僕のように、大学の授業も予備校の授業も遅れている人はちょっと危機感持った方がいいです。どちらも中途半端になっているのが一番良くないです。東大の上位の賢い人たちはどちらもそつなくこなすことができます(そしてそのような人たちは学部で予備試験に合格していきます)が、そうでない僕みたいな人は、大学の勉強だけは遅れずにしっかりやりましょう。具体的にどう勉強するかは合格者や成績優秀者の記事などを読んでください。

弁護士事務所のインターン

このGPAでは、〈弁護士事務所のインターンの選考〉を通ることができません
法曹を目指す東大法学部生の多数が3年生の夏の弁護士事務所のインターンに応募します。応募の際に大学の成績を提出しますが、応募の時期は3年生の前期なので2Aまでの成績のみを出すことになります。
もちろん予備試験を受けている人ならばその点数や、ESの内容なども見ているとは思いますが、僕の周りの人のインターンの採否の感じからすると、どうも大学の成績はかなり見ているのではないかと感じました。同じ東大生で予備試験の短答未受験あるいは不合格の中でも、いわゆる大手の事務所の全てのインターンに合格する人もいれば、1つしか受からない人もいました。両者を比べるとGPAの数値が違う感じがします。僕は前述の通りのGPAで1つしか受かりませんでした。いわゆる足切りのように使われているのではないかと言っている学生もいました。サンプル数が多いわけでもなく、ちゃんとしたデータをとっているわけでもないので正確なことは分かりませんが、インターンに参加したいんだったら大学の2年生までの成績はとっておくに越したことはありません。インターンに参加するべきかどうかなどはここでは書きません。他の人の記事などを参考にしてください。

法科大学院進学プログラム

ここで注意しておきたいのが、法科大学院進学プログラムについてです。これに登録した人のうち、成績優秀者は法科大学院の既修の入学試験の2次試験が免除になります。また、2次試験が免除にならなかった場合も、法科大学院進学プログラムの人のための入学枠も設けられています。(僕の年ではこの枠は用いられず、内部生も含めて全て一般枠からの合格でしたが。)
「僕は予備試験に学部で絶対に受かるから法科大学院なんていかないから登録しなくていい!」と思わないでください予備試験に受かるのは簡単なことじゃないです。将来の自分の進路の選択肢を狭めないためにも、必ずこの法科大学院進学プログラムには登録しておきましょう。僕のように、最終的にこのプログラムに登録していることが関係なくなることもあるかもしれませんが、そうなったらなったで別にいいです。後から登録しようと思ってもできないので、とにかく登録はしておきましょう。

法科大学院の2次試験の倍率は高いので、できれば免除になりたいですよね。しかしそのためには法科大学院進学プログラムが要求する科目の単位を取ったうえで、かなり高いGPAが必要です。2次試験免除の正確なボーダーのGPAは不明ですが、3.5より高いのではないかと感じています。(ただの肌感覚です。不正確です。鵜呑みにしないで。)
法科大学院入試に関わる成績の話は後ほど詳しく書きます。

周りの法曹志望の人は、とりあえず法科大学院進学プログラムに登録はして、単位も取得しようとしている人が多かったので、僕もそうしました。2類の必修科目全てに加えてさらに要求される単位が増えるので大変ですが、法科大学院既修2次試験免除の可能性を残すためには登録しておくに越したことはないです。

3年生

本郷での授業が始まります。2年生で取れる持出科目は限られていましたが、ここからは自分で授業を選んでいくことになります。
履修科目についての詳しい情報は他の人の記事等を見てください。
法科大学院進学プログラムの要求する科目:民法2部(必修)、民法3部(必修)、刑法2部、行政法1部(必修)、行政法2部、商法1部(必修)、商法2部、民法基礎演習(必修)、民事訴訟法1部(必修)、刑事訴訟法(必修)
そして選択科目や演習(いわゆるゼミ)をとることができます。
僕の場合はこれに加えて2年生で落とした必修を再履修しました。

演習は大抵の人が優か優上をもらえるため、それを除くと、僕がとった3年生で取った単位数と、2年生からの成績と総合したGPAは
約40単位
2年生の成績と総合した単位数とGPAは
約70単位 約2.5(不可を算入しないで計算)
です。

3年生の7月に予備試験を試しに受けましたが、対策の勉強は全然できていなかったため全く合格点に届きませんでした。
また、3年生終了時点での成績の感じからして、4年生で予備試験に合格するのは相当厳しいぞ、と自分でも自覚してきました。そのあたりから、自分は学部在学中に予備試験に合格するのは厳しそうだから、法科大学院を受験することになりそうだと考えていました。

4年生

法科大学院受験(11月)

4月に履修を考えるために東大法学部の学習相談室に初めて行きました。すると、今のままのGPA(約2.5)では法科大学院の既修の2次試験免除になるのはもちろんのこと、普通に2次試験を受けて合格するのすらほとんど無理だと言われてしまいました。東大の法科大学院の既修は大学の成績をとても重視しているとのことでした。ここで初めて、僕は法科大学院を未修で受けるという選択肢を考えることになりました。未修であれば成績はどこまで見られているかはわからないが、既修ほどは重視されないとのことでした。未修の問題は、小論文です。試験2ヶ月前の9月くらいから過去問を解いて練習をしました。

法科大学院の出願は4年生の夏なので、4S終了時までの成績が関係してきます。未修なら成績はあまり関係ないと言われているとはいえ、なるべくGPAは上げておくに越したことはないため、4Sでは他学部履修をしてできるだけ良い成績をとってGPAをあげようという方針で履修を決めました。未修で受けることにした時点で法科大学院進学プログラムに登録していることの意味はほとんどなくなりましたが、一応要求科目は履修しておこうと思い、履修しています。

法科大学院入試の結果、僕はなんとか未修コースで合格し、進学することが決まりました。僕の周りでは、未修を受けた東大法学部の友達は他に2,3人いましたが、全員合格しました。既修を受けた東大法学部の友達は、落ちてしまった人も何人かいました。既修は、予備試験に4年生で合格するようなレベルの人が合格をかっさらっていき、大学院の合否発表後に予備試験の合格発表を受けて辞退するというパターンをわりと聞きます。東大の法科大学院は上位層の合格で枠が埋まっていくので、ボーダーラインの戦いがかなり激しいように感じました。あくまで体感ですが。
なので、予備試験に受かるレベルに全く達しておらず大学の成績も良くなかった僕にとっては、未修を選んだことは賢い戦略だったと我ながら思います。既修より1年長くはかかってしまいますが、ロースクールに入れさえすれば、順調に単位を取れれば在学中の司法試験受験ができます。3年後に司法試験を受けれる切符を手にしたようなものです。これはかなり精神的な安定剤になります。

Sセメスター

履修したのは
法科大学院進学プログラムの要求する科目:民法4部
3年生で落とした科目
選択科目
他学部履修:10単位分

取得した単位は約20単位で、他学部の科目で楽単だと言われていたものはやはり成績がとりやすく、いい成績をとることができました。この4S終了時点での合計取得単位数は約90単位、総合のGPAは約2.8(不可を算入せずに計算)で、3年生終了時と比べると約0.2以上上げることができました

法学部を卒業するために必要な単位数は80単位ですが、僕はSセメスターで既ににそれを超過しています。ですが、3Aセメスターで必修の科目を2つ落としていたため、Sセメスター終了時点でもまだ卒業要件を満たしていませんでした。
つまり、4Aセメスターでその必修を落としてしまうと卒業ができません。この状態は精神衛生上とても良くないので、必修の科目は4Sまででなるべく取りきることをおすすめします。
しかし、一方で、Sセメスター終了時点で必修科目も全て取り切り、80単位を取ってしまうと、その時点で卒業することが確定してしまいます。これも<法科大学院の入試に落ちてしまった場合に「自主留年」を選択すること>ができなくなってしまうため、注意が必要です。卒業してしまうと法科大学院の法曹コースの枠で入ることができなくなってしまい、一般の枠で入ることしかできなくなってしまうので、法科大学院を目指す法曹志望の人は自主留年を選択する人がそれなりにいます。この選択肢を残しておくために、Sセメスターで卒業要件を満たしてしまわないように注意しましょう。

ちなみに僕は4年生でも大手の弁護士事務所のインターンに応募しましたが、3Aまでの僕の成績(GPA約2.5)では全て書類落ちしました。

Aセメスター

3年生で落としていた必修単位をなんとか回収し、合計約100単位取って卒業です。最終的なGPAは約2.8でした。
法学部の卒業要件は80単位です。僕は2,3年生で選択科目を取りすぎたと反省しています。履修する科目を絞って、1つ1つにしっかり取り組んで良い成績を取るべきです。

まとめ

僕は最終的に学部の間に予備試験に合格することもできず、学部の成績も足りずで法科大学院の未修に行くことになりました。過去の自分の成績が自分の首を絞めていました。この記事を読んだあなたは、僕のようにならないように、将来の見通しを持ちながらしっかり進路を考えて、勉強に真面目に取り組みましょう。あなたの東大法学部での生活がより良いものになりますように。

長くなりましたが、最後まで読んでくれてありがとうございました。人生で初めて書いた記事です。この記事が参考になったという人はいいねをしてくれると嬉しいです。


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