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がんと仕事の両立のこと

先日、がんに罹患した方の仕事の両立や仕事復帰の支援を行うための講座に参加しました。私が、がんと仕事の両立事例について初めて知ったのは、2017年に参加した国際会議、Global Summit of Women(GSW)でJALの事例を聴いたのがきっかけでした。

「全社員の物心両面の幸福」を経営理念に掲げるJALでは、健康推進施策を設定し、罹患した従業員に対しては職場復帰プログラムで産業医、カウンセラー等と連携した手厚いサポートを実施しています。従来の日本では、お客様向けの施策だけに重点が置かれがちでした。それを、従業員の満足度も従事する施策へ変革を遂げていたのです。それまでの私は「がん」と聴くと、もう仕事を辞めなくてはいけないのだろう、重病ではないか、などと考えていたため、「仕事との両立をサポートする」という考え方や実際の施策に驚かされたのです。


そして、今回の講座で印象的だったことは、「罹患してからの気持ちの変化」という視点です。復職、再就職のご相談をされるときは、罹患してからしばらく経っているということです。病気を知った時、どのような気持ちだったのか、どのような病状だったのか、その時からどのような変化を経ていらっしゃったのか、そのことをお聞きすることも大切なんですね。


がんだけでなく、他の病気歴をお持ちの方からも復職、再就職のご相談を受けることはあります。相談時は、「仕事ができそうだ」と少し回復した時期です。けれども、その時点までに治療で大変だったこともあり、またこれからの生活でも不安もあるはずです。相談を受ける側としては、「どのような仕事ができるか」「周囲が何をサポートするか」と現実的にできるかできないかに焦点を絞って考えがちですが、それだけではない、過去と未来のこと、病状と気持ちの変化のことも大切にすることを再認識した時間でした。


働きたい、と思った時がその方のタイミングだと思っています。


病気と仕事のお話を実際にお聞きした方。

仕事、結婚…生き方を選ぶ。#2/会社員・堀井玲子さん『40代で始めた就活、フリーランスから正社員へ。


がんサバイバーという一面をお持ちの法政大学長岡健先生

現役世代のがん治療における患者と医師のコミュニケーション(東京)