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『しあわせな日々』当日パンフレット下書き

来場者に向けて配布する当日パンフレットの下書き。
8日(金)〜11日(月)まで。
チケットはまだあります。8日には翻訳者の長島確氏、11日には『どもる体』(医学書院)を出版した伊藤亜紗氏とともにアフタートークをします。

真面目な芝居に見せかけて愉快な芝居です。最近、芝居は愉快でなければならないと思うようになりました。

https://www.kamomemachine.com/next-performance

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演出挨拶

それまで元気だったのに、もう96歳になる祖父が急に寝たきりになったのは、昨年11月のことだった。
それ以来、つきっきりというわけでもないけど、週末だけ介護をしていた。
毎晩2〜3時間おきに起こされて水を飲ませる日々を「介護」と名指すのはあまりに大変だったので、それを「稽古」と呼んだ。稽古なら、どんなにつらくても耐えることができる。「しあわせな日々」の稽古だ。

「円丘に埋まったウィニーはしあわせなのだろうか?」と問うとき、目の前にいる、このベットに横たわっている老人はしあわせなのだろうか? という問いと重なる。そして、介護者としては「しあわせでない」とは言いたくない。

動くこともできない、耳も遠い、目もほとんど見えない、しゃべることもままならない、さらに、高齢で回復する見込みもない。「殺してくれ」と孫に懇願する彼が、いったいどうやって「しあわせ」と感じられるだろうか? 

ウィニーは「しあわせ」だ。
なぜなら、この作品のタイトルは「HAPPY DAYS」だからだ。
じゃあ「しあわせ」とは何だろう?

「しあわせ」という日本語の語源は、「し合わす」だとされています。「し」は動詞「する」の連用形。つまり、何か2つの動作などが「合う」こと、それが「しあわせ」だというのです。別のことばで言い換えれば、「めぐり合わせ」に近いでしょう。
自分が置かれている状況に、たまたま、別の状況が重なって生じること、それが「しあわせ」だったのです。ですから昔は、「しあわせ」とはいい意味にも悪い意味にも用いたようです。偶然めぐり合った、よい運命も悪い運命も、「しあわせ」だったのです。
(漢字文化資料館)
http://kanjibunka.com/kanji-faq/old-faq/q0416/

ウィニーは「しあわせ」だ。

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