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2024/4/12 秋山黄色 presents BUGSESSION 秋山黄色(solo) vs 秋山黄色(band) at Zepp Haneda

 あんなに楽しかった出来事も過去になって、詳細なことは忘れていってしまうよ。だから忘れないうちにちゃんと書くぞ。
 2024/4/12 秋山黄色 presents BUGSESSION (秋山黄色(solo) vs 秋山黄色(band))
 参戦致しました。
 BUGSESSIONは対バン企画で、緑黄色社会、PEOPLE1との対バンを経て最終日は秋山黄色との対バン。秋山黄色といえば、caffeineや猿上がりシティーポップなどの曲を経て世間の目に知れ渡り、今も大躍進を重ねている新進気鋭のアーティストなわけであるが、この対バン相手に対して秋山黄色はどう立ち向かうのか………
 冗談は置いておくとして。対バン企画だが最終日は秋山黄色バンドセットと秋山黄色ソロの2部構成を「対バン」という体で開催。先攻バンドセット、後攻ソロ。ほかの対バン(緑黄色社会、PEOPLE1)は、対バン相手の後に秋山黄色のバンドセットが待ち構えていたのだが、今回は最初にバンドが演奏を披露した。先攻がバンドセットなのはちょっと意外だった。
 前回の三パシみたいに全曲頑張って書くの大変だから個人的に最高なとこだけ書くよゥ。全部のレポはソノダマンかロッキンの記事あたりを頼ってください。
 「燦々と降り積もる夜は」を生で聴けたのはかなり嬉しかった。「振りなんてないから自由に楽しんで!」と言われたのに歌いながら手を左右に振ってて「こういうのないって言ったのに!」と自分にツッコミを入れていた。自由にしたいけど、自然とノリってできちゃうよね。
 また「アイデンティティ」はラスサビ前に「この曲は元々はぐれメタルって曲名だった」と語り始める。そんな重大な裏話を今する? 「ひとに弱みを見せるとすぐに逃げられる」って思いを曲にしたらしい。そのあとの彼の言葉は……本当に、弱みを言いそうになっていたけれど、すんでのところで持ち直したような語りが続いた。はぐれメタルみたいに、彼は何かを言おうとして、飲み込んでいた。話せないからいいのか 話したらいいのか どれが正解かはわからないけれどね。
 新曲「ソニックムーブ」は8BITのBGMとともに始まったが、ニューギターから「ちょっと未だかつて聴いたことがない音がすんだけど!」とストップ。新しいギターなのにトラブル起こるのマジか。それでも気を取り直して演奏されたソニックムーブ。この曲はリリースされてからずっとライブで聴きたかった曲。ライブウケ抜群で、「What do you mean? Say again!?」と叫ぶ秋山黄色が最高にクールだった。ソニックのような疾走感を見せつけたままバンドセットは終了する。

 続いて後攻、秋山黄色ソロ。正面にボーカルマイク、その脇にパッドが付いたMIDIキーボードらしきものが、左にはパソコン、右にはキーボード、背面にアンプ。四方を機材に囲まれたステージは、ただのソロ弾き語りとは思えないセッティングで、あくまでひとりで音楽をやっているときの秋山黄色のすがたをそのまま持ってきた、そんなステージだった。
「やさぐれカイドー」は相変わらず器用にルーパーを駆使。ただのアコースティックギターでの弾き語りで終わらない厚みが秋山黄色にはある。意外だったのが「ナイトダンサー」。この曲がアコースティックで演奏されるとは誰が思っただろうか。弾き語りでも失われることがない疾走感に、会場は手拍子が響き渡る。あんまりないからねぇ!? 弾き語りでこういうの!
「また会いましたね!」とか、「さっきとは別人ですから!」とか、いちいち設定が曖昧だった。
「俺は元々はバンドやりたかった人間だから。それが出来なかったからこうやって一人でやってるんだけど、学生時代からの友達でずっとバンドを続けてる人たちってやっぱり奇跡ですよ。
だから一人でこうやってやってるんだけど、家で作ってる時に近いっていうか。6畳一間の部屋でギター弾いて歌いながら作ってたら、下の階に住んでるおばちゃんから「何してんの!」って言われて「模様替え!」って言ったりしながら作ってて。結構近所にはこういう奴が住んでるっていうのが知れ渡ってたと思う」と、ソノダマンが書いていたのでそのまま書くけど、こんな過去を語った。ソノダマンいつもありがとうな。ほんとにお前ナニモンなの?
 「白夜」への思い入れがかなり強くて、夜すらも救ってくれないのではないかと思ってしまったときに聴いていたのを思い出す。今回初めてライブで聴けて本当に良かった。
 コロナが流行って、対バンをしたかったのだけれど亡くなってしまった人がいる。「モタモタしちゃったなあ」寂しそうにそう呟くと、キーが変わってピアノが大胆に響き渡る「PAINKILLER」を、弔うかのように演奏。キー変更によりピアノの響きが少しだけ明るくなっており、鍵盤を弾く秋山黄色が神秘的だった。アーティストの領域を超えているとさえ思えた。
 アンコールからの一発目は音源化されていない「心開き三週間」。そして、ヒトリエの「るらるら」などをちょろちょろ弾き、「こんなことを家でひとりでやっていた」と語る。あんま変わらないよ僕も チョコチョコ弾いて歌って、僕のやっていることの先に彼がいるのかな、と思った。
 「最後に思いっきりお前らの声が聞きたい!俺の好きなものランキング
1位 靴下を脱いだ時
2位 目薬を差した時
3位 ライブでお前らの声を聞いた時
4位 家族
そのちょい上3.5位くらいにキムチチャーハンがあります!
だから!どうせ今日のライブレポとか上がるんだろうから、「ソロの最後がバンドの時よりも1番歌声が大きかった」って書かれるくらいに歌ってくれ!」と叫びながらキレッキレのギターリフを弾く。ラストは「猿上がりシティーポップ」。本当に、ひとりの方が客を湧かせていた。鬼だ、と思った。そこにいたのは凄まじくかっこいい最高の鬼だった。「俺めっちゃ声でけえからマイク通さず歌うわ!」と、マイクから離れて前に出てきて歌う。ラスサビの声は、観客の歌声に紛れながらもしっかりと聞こえてきた。
 ソロ、弾き語りでここまで熱狂できるとは思わなかった。ソロが後攻の意味が分かった。これが秋山黄色の真の姿であり、ソロでも人を魅了し、熱狂させることができるその証明であった。この鬼才にずっとついていきたい、そう思わせてくれた夜だった。

牛丼を食べたいです。