『女王陛下のお気に入り』を観た【映画感想】

アカデミー賞ノミネート、FOXサーチライト配給、ということで結構大きめの箱で公開の運びとなったワケだが、監督は「鬼才枠」のヨルゴス・ランティモスだぜ?ということで鑑賞。

18世紀初頭のイングランドにおいて女王の寵愛を一身に受けんとする2人の女がバチバチやりあう一本。まず言及すべきは女優の演技。特にエマ・ストーン演じるアビゲイルが己の魅力・知力・胆力・腕力をフル稼働して八面六臂の大活躍。女王をたらし込め、野党の男連中を手玉にと、グイグイのし上がる姿には「まあ、あれだけキレイで腕も立つし頭もキレる娘だったら、ねえ。」と妙な納得感があった。

ここでちょっと映画のタイトルについて。原題は“THE FAVOURITE”。つまり“お気に入り”。“愛(LOVE)”じゃないんです(ココ大事)。

女王を挟んだ二人(サラとアビゲイル)は、彼女の寵愛を一身に受けんと争うわけだが、本質的にそこには愛はない。サラは前線で戦う夫に増援したい(税金増やしたい)、アビゲイルは前述の通り貴族社会で帰り咲きたい、という露骨なまでの目的(下心)がある。だからどちらも女王に愛されたい、というより自己実現のために「推し認定」されたいだけだから、大奥ばりのドロっとした人間模様をまざまざと見せつける。

そんな歪んだ関係がうまくいくはずもなく、結局のところ誰も幸せになんかなれない。特に虚ろな表情の女王のバックに「純粋な愛」の象徴たるウサギが映り込み、暗転していくラストは「愛がないから、どんだけ上手く立ち回ってもコイツらダメだよ」という強烈な皮肉だと思う。

絢爛豪華な衣装に建築セット、ちょいちょい挟むキツめの下ネタ、それらを捉える魚眼レンズや広角レンズを使った独特なカメラアングル、あとなんかしょっちゅう鳴ってる嫌な底音、などなど、ヨルゴス・ランティモス節は今作でも発揮。オススメです。

結局の所、この3人の“関係性”にフォーカスしたミニマルな一本とも言える

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mo_ty

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