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雪の朝

静まりかえっている
「シーン」という音が聞こえてきそう

見渡す限りの白い世界

家の屋根にも
車のルーフにも
足元にも

降り積もった雪だけが見えている

静寂に包まれた世界

でも
耳をすませば 聞こえてくる

見てごらん
視線の先にある鳥の足跡
そして
聞こえてくるさえずり

見てごらん
小さな肉球が残したその跡
そして
聞こえてくる 駆け足の足音

見てごらん
ずっと続いていく誰かの靴跡
そして
聞こえてくる 大地を踏みしめる音

見てごらん
力強く残され続いていく轍
そして
聞こえてくる 走り抜けるエンジン音

見てごらん
雪雲から少しずつ差し込む光
そして
感じる 柔らかい温もり

どんなに寒い朝でも
確かに聞こえるものがある

それは語りかけてくる

「この世界で生きている限り
独りではないんだよ」

こんな日にもセキレイは何かみつけたよう
にゃんこは駆け抜ける


誰の作った轍が道を作っていく
降り注ぐ光が白い世界を美しくする


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