見出し画像

SunriseからTwilight 中田裕二ソロ10周年記念ライブ

中田裕二は人たらしだ。

このnoteは中田裕二のソロ10周年記念ライブ「YUJI NAKADA 10TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE "ALL THE TWILIGHT WANDERERS”」についてオンライン配信に参戦した、とあるオタクの感想です。

体系的かつ愛あるレビューを読みたかったらこちらの記事↓がおすすめです。


このご時世でなかったら、這ってでも会場に行っていたであろう執念を、会場で誰かと手を取り合って喜び合いたかった無念を、でも観て良かったと思う愛念を、
綴った非常に個人的なnoteとなるので、「ヤバいやつ来た」と思った方はブラウザバックを推奨します。

当日の演奏アーティストは本当に豪華で、演奏も本当に素晴らしかったです。歌い出しがアカペラコーラスの誘惑、迫真のユートピア……語りたい事がたくさんあるのだけと、今回はアンコール以降に絞って書きます。配信が終わる前に一回吐き出しておきたいからです。

文中のアーティスト名は敬称略だったり敬称ありだったりめちゃくちゃです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





アンコールの手拍子が鳴り響く。
青い照明で照らされた中田裕二と、聴き覚えのある難解なイントロ。

群青だ!

満面の笑みの中田裕二と、良ちんと……たかしげだ!

作務衣で演奏していた当時を彷彿させる、着物に身を包んだ3人が、椿屋四重奏の曲を演奏しているのだ。

10年前と変わらない、心底楽しそうに演奏する良ちんと、おそらくステージで演奏するのは10年ぶりであろうに、正確に演奏するたかしげと、「群青」らしからぬ笑顔で演奏する中田裕二が目の前にいた。

照明が滲むのは演出じゃない。

「和心」と掲げてた時代の自己紹介で散々舞っておいて、「ぶははは!!」と照れ笑いしているのが、なんとも同窓会みがある。ゆるいMCがなんともらしい。良ちんは最年長らしからぬスベリ方しているし、たかしげなんて、「元気モリモリ〜!」と言っている。四十になったというのに。四重奏だけに。

赤と青の照明が切り替わる演出はそのままに、当時のギター、真っ黒なストラト摩天楼から奏でられる「成れの果て」。椿屋の亡霊と化した、オタクの成れの果てを泣かせるには十分だった。

当時と明らかに違うのは、中田裕二が演奏中、いや演舞中、結構な頻度で笑っていたことだ。

2曲だけの復活。
そう思っていた。

アンコール3曲目は「MIDNIGHT FLYER」。ノリの良いディスコチューンに、ダサさのギリギリを攻めた歌詞は、中田裕二のライブには欠かせない曲だ。

前奏の途中に「ハッピーバースデートゥーユー」が差し込まれる粋な演出が。

そして、総勢12名の中に退場したはずの良ちんとたかしげがいるのである。弾む3本のベースラインの中にたかしげがいる。隅倉さんの目配りとともに真船さんと一緒に演奏しているのである。まさかソロ楽曲まで演奏するとは思わなかった。

中央には良ちんのドラムセットだ。中田裕二バンドで、椿屋四重奏で、メロディオンズじゃないか。

アベンジャーズよろしく、ぼくのかんがえたさいきょうのバンドじゃないか。

朝倉さんのウィンドチャイムからの八橋さんのギターソロ、感極まって震える中田裕二のボーカルに、タンバリン片手に踊り狂うsugarbeans氏の流れが最高である。本当に楽しそうに踊り狂っているので、シンセ→タンバリンの移動が譜面通りなのかよく分からなかった。12名のグルーヴは本当に素晴らしく、客席を踊らせる力があったと思う。

多幸感に包まれた会場からアベンジャーズが退くと、アコースティックギター1本を抱えた中田裕二がステージに立った。

アンコール4曲目「TWILIGHT WANDERERS」。中田裕二の追いかけ続けた、因果とも呼べる、恋のように焦がれ、愛のように求めた「音楽」を続けられる奇跡と感謝の道のりを垣間見る曲だ。

とても長丁場の最後とは思えないしっとりと聴かせるボーカルで、ソロで確実に歩いてきた力強さを感じた。

あまりの多幸感に事後報告の解散を思い出してしまったが、「ここからもやりたいようにやります、よろしく!」と言っていたので、まだ私は中田裕二の音楽を聴けるらしい。

中田裕二は人たらしだ。

あっちに行ったり、こっちに行ったりする音楽性に翻弄された。それでも音楽に真摯に向かう姿勢と、知らない間に懐に入ってくる人間性に魅せられてしまう。これだけの参加ミュージシャンに祝ってもらえるのはそういうことなのだと思う。

私はライブ終了後に多幸感の後に寂しさが襲った。この会場にいられなかった寂しさである。

今回のソロ10周年記念ライブは、このご時世により、泣く泣く現場参戦を諦めざるを得ない人がたくさんいただろう。
※スペシャルゲストあり
の文字に「あれ、再結成しちゃう?」と察した方も多いと思う。金光へん集長の言ったことは現実になるのでは……と感じた方も多いと思う。苦しみを面白がれる境地にはまだまだ至れない状況だ。

これに対する答えは存在せす、個々で昇華しなくてはいけないのだと思う。2020年から2021年にかけて、泣く泣く無観客ライブや人数制限のあるライブで、卒業したアイドルや解散したバンドがいる。どのアーティストも最善を尽くしたはずだ。アーティストもファンもそれぞれの想いがあっただろう。

中田裕二ソロ10周年記念ライブは、人数制限がありながらも、お客さんの入場ができるタイミングで行え、かつ配信も行う胆力があった。それはラッキーなことだし、中田裕二及び周りを取り巻く人々の努力の賜物であるのは確かだ。

私の身内は医療関係者なので、初めから会場に向かうのは諦めていた。諦めていたものの、私はラ・ラ・ランドのセバスチャンのように改変世界を空想している。未曾有のウイルスが無い世界線を妄想してはウジウジしている。そして、私はうっかりnoteを書いている。当日会場で喜べなかった誰かと私は手を取りたいのかもしれない。

椿屋四重奏再結成、というのはややもすれば中田裕二ソロ10周年という状況を食いかねない。そんな中、一夜限りの夢を観せてもらえたことは3人に感謝しているのだ。

25日の23時59分までは椿屋の亡霊でいさせて欲しい。
私の青春の日々は、椿屋なしじゃいられないのだから。

そして新しい音楽を聴かせて欲しい。
私のこれから歩いていく日々には、中田裕二の音楽が必要だから。


勝手にアルバムレビューもしています。ご興味あったらどうぞ。


この記事が、共感できるな・おもしろいなと思って頂けたら、「スキ♡」を押してくれるとうれしいです。(♡はnote会員以外でも押せます)SNSでのシェアも大歓迎してます!