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~あまりの出来事に立ちつくす~映画「ジュリアン」

やはり重たいテーマの映画であった。

離婚調停中の両親の間で葛藤する少年ジュリアンの物語。ストーリーは両親の離婚協議風景から始まる。うん、重い!重苦しい!

この協議の中で、「父とは絶対に会いたくない」というジュリアンの意向が母ミリアムの弁護士によって読み上げらた。しかし、協議の結果、ジュリアンの親権は「両親」にあるとされ、隔週の週末ごとに父親と会うことになったジュリアン。なぜ、ジュリアンが頑なに父親と会うことを拒んでいたのか?

それは、父が母に暴力を振るっていたからである。

そのため家族関係が破綻。しかし、離婚後も父アントワーヌは母ミリアムとの婚姻関係を諦めていなかった。そのため、事あるごとに母親の現住所や電話番号を聞き出そうとする。母にこれ以上、暴力を振るわせないために、それを拒み嘘をつくジュリアン。その時のジュリアンの表情がこちら。

11歳の子供にこんな顔をさせるなんて…。痛々しくて本当に見ていられなかった。母親や自分たちの生活を守りたい一心で必死に父親から逃れようとするジュリアン。しかし、じわじわと追い詰めてくる父アントワーヌ。大の大人に子供が適うわけがない。しかも、自分の父親。

父アントワーヌはとにかく自分の気持ちが制御できない。実家でも自分の父母に怒りをぶちまける。それを上から押さえつける父親(ジュリアンの祖父)。母親はまわりでオロオロするか呆れるか。よくある光景だが、こういった積み重ねがアントワーヌのような男を作り上げてしまうのだろうな。はぁぁ。ため息しか出ない。

さらに元家族(妻・娘・息子)が一致団結をして自分を排除してくることに悲しみを越えて苛立つアントワーヌ。なぜ自分が家族から排除されたのが根本的なところが理解できない。さらにアントワーヌが苛立つ理由……、それは彼にとって家族が自分の所有物と思っているからであろう。あるいは自分が家族を守っている、守ってやっている、ということもあると思う。
家族は一人ひとり人格がある人間だと思っていれば暴力は振るわないはずだから…。

そして、アントワーヌは最後に犯してはならない領域に踏み込んでしまうのです。今、問題になっている小学4年生の女の子が実父に殺された事件(この事件以外にも悲しすぎるたくさんの事件)と通じるもがある。

「甘ったれたオッサンども!人に甘えるのもいい加減にさらせ!てめぇの感情くらいてめぇでなんとかしろ!」という品のない感想しか思い浮かびませーん。ホンマに精神科にでも行ってくれ…。こういったことは世界中で起きているんだろうけど、何か根本的な対策はできないんだろうか…。

そして、私もこういった事例に立ち会った時、何かできるんだろうか…。恐怖で固まってしまいそうな気がする。そんな時に立ち向かえる勇気が欲しい。

#映画 #感想 #コラム #ジュリアン #006 #0130

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