順張り投資(トレンドフォロー戦略)のススメ

*この記事には筆者の思想が含まれます、投資は自己責任で!

売買戦略には大きく分けて順張りと逆張りがあります。順張りは価格が上がり始めてから買って、下がり始めたら売る手法で、逆張りは反対に下がったときに買って上がったら売る手法です。

私個人は逆張りよりも順張りを好みます(暗号資産では特に)。この記事ではその理由を述べたいと思います。

筆者がトレンドフォローを好む理由

順張り投資を好む一番の理由は、逆張りよりも単純なルールで利益を出しやすいことです。順張りの方がルールが単純なのはいくつかの理由があります。

トレンドに沿った取引:順張りは、市場のトレンドや方向性に合わせて取引を行います。価格が上昇している場合は買い、下落しているときは売りポジションを取ります。このような単純なルールに基づいていて取引を行うため、市場の方向性が明確であればルールを適用しやすくなります。
エントリーポイントの明確化:順張りの場合、市場が一定の方向に動いてから取引に参加するため、エントリーポイントが明確化しやすいです。例えば、市場が上昇トレンドにある場合、価格が一定水準を突破したあとに買いポジションを取るなど、明確なシグナルや条件を満たすことでトレードを行うことができます。
リスク管理の容易さ:トレンドに逆らわないため、逆張りに比べて一度に大きな損失を出す可能性が小さくなります。損切ラインを設定しやすく、損失を最小限に抑えることが可能です。

反対に逆張り取引では、下記の理由で取引ルールが複雑化しやすいです。

市場予測やテクニカル分析のスキルが必要:逆張り取引では、逆に予想した価格や値動きに基づいて取引するため、トレンドの逆転ポイントを正確に特定する必要がある。
高いリスク:短期トレンドに逆らったエントリーをするので、トレンドの逆転ポイントの特定に失敗した場合、大きな損失を被る可能性が高く、損失を限定するためのルールが必要になる。
戦略の複雑性:逆張りに対するリスク管理やポジションの調整、指値をどこに置くか等、売買シグナルの生成以外にも必要なルールが多い。
高い取引コスト:短期取引で小さい利ざやを取る必要があるので、取引コストを抑える工夫が必要になる。
素早い決断:逆張り取引は、一般的にトレンドを予測する順張り取引よりも逆行するため、逆張りトレーダーは市場の反転や変動に対応するためにより短期的な取引スタイルを持つことが多いです。このような取引スタイルでは、早期の利益確定や損失カットなどの素早い決断が求められます。

逆張り取引はルールが複雑になりやすいので順張りより難易度が高いと云えます。トレンドの把握さえしていれば良い順張りとは対照的です。
逆張りは利食いと損切に別々の決済ルールを設定をしなければなりませんが、順張り投資は損切と利食いを同一のトレンド反転シグナルにて行うことが可能です。

第二の理由は、順張りの方が暗号資産市場には適合していると考えるからです。
暗号資産市場は、大きなトレンドが発生すると長く持続することが過去データから証明されています。また、逆張り投資では資産に根源的な価値があって一時的にあるべき価格から乖離しても価格が元に戻るという思想が元にありますが、暗号資産に根源的な価値があるかは議論が定まっていません。暗号資産に価値の裏付けが無いという言説は一般的に暗号資産取引にネガティブなイメージを与えますが、順張り投資ではトレンドが際限なく持続する可能性があると前向きに捉えることができます。価値が無くなるなら証拠金取引でショートポジションをとれば良いだけですし、そもそも順張りにおいては本来の資産価値について考える必要はありません。

順張り投資のデメリット

順張り投資の良い面だけを取り上げるのは不公平なので、順張りのデメリットもいくつか挙げたいと思います。

低い勝率:一般的に順張りは逆張りと比較して勝率が低く、利益を出している戦略でも30%未満であることが珍しくありません。
自然な感覚との乖離:トレンドに沿った売買は、「安くなった時に買い、高くなったら売る」という日常的な買い物の感覚とは逆の取引を強いられます。
少ない取引回数:順張りはトレンドが持続する限りポジションを持ち続けるので、取引回数が逆張りよりも少なくなりがちです。

低い勝率は、取引する際に大きなストレスとなります。順張りトレードは小さい損失を何度も繰り返して、たまに大きな利益を上げることでトータルでプラス損益を勝ち取る手法です。たとえ小さな損失でも、人間は利益よりも損失を過大評価する性質(プロスペクト理論)があるので、取引にかかるストレスは大きくなります。

トレンドに沿った売買は、安い時に買っておこうという自然な感情と逆らうために、人によっては苦痛となるかもしれません。

少ない取引回数は取引戦略の有効性の検証を難しくします。
これは暗号資産の長期足のバックテストで深刻な問題で根本的な解決は難しいです。
バックテストを行った際には取引回数が十分にあることを確認する必要がありますが、順張りではどうしても少なくなりがちです。少ない取引回数のバックテストで妥協する為には、取引戦略のパラメータの数を少なくした方が好ましいです。これによって、パラメータの過剰最適化を防ぐことができます。パラメータが多いと、ある期間に偶然上手くいっただけで、将来は全く利益を出さない可能性が高まります。幸いなことに順張り戦略は比較的パラメータの数は少ないです。

取引botを作成する際は、1つの戦略が持つパラメータの数は少なくして、代わりに多数の戦略を同時に実行することが望ましいです。これは順張りに限らないことですが、複数の戦略を用いることで、取引回数を増やしながらリスク分散に繋がります。結局のところバックテストで有効な戦略を見つけるにはある程度妥協が必要で、1つの戦略を極めるのではなく、そこそこの戦略を複数見つけた方が良いです。

初心者には順張りがお勧め。慣れたら逆張りも併せて両刀使いになりたい。


逆張りは賢者の投資法で、順張りは愚者が賢者を打ち負かす為の手法です。
賢い人はの資産価値を評価して相場の行く先を予想しコツコツ稼ごうとしますが、そんな技術なんて無い愚者は相場の熱狂にただ乗っかります。
そんな愚者でも利益が出せる人というのは、トレンド転換を確認してからすぐに、勝ち負けに関係なくポジションを反転できる人です。相場の底や天井を正確に予測なんか出来ないことを自覚しているので、価格予想なんてしません。ただ愚直にトレンドに従うのみです。順張りは要求される技術が逆張りと比べて少ないので、投資入門には最適といえるでしょう。

順張り投資と逆張り投資どちらが自分に合っているかは人それぞれです。
もちろん、順張りと逆張り両方できた方が、戦略の長所と短所を補完し合ってリスクを分散させることが出来ます。将来的には両刀使いを目指すべきです。しかしながら投資初心者には順張りの方が易しいと私は考えています。理由は上記の通りで、簡単なルールで大雑把に利益をもぎ取ることが可能だからです。



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