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どついたるねんBEST HITS

どついたるねんというバンドは、とにかく夏が似合う。

日常のしがらみやら色んなことから解放される感じや、
理由は分からないけど楽しくなる感じ、
なんだかワクワクする感じや、少しだけ頭が悪くなる感じ…

とにかく夏という季節との相性が抜群に良い。

ベストアルバムの「どついたるねんBEST HITS」なんかは特に夏だ。
全裸の成人男性9人が密集してそれぞれなんとも言えないポーズをとっているジャケットからして夏が全開だ。
高校時代、皆で海に行こうと言って
集合した吉祥寺駅の段階で全員既に海パンだった、あの頭の悪い夏を思い出す。

そんなどついたるねんBEST HITSが
2014年から7年半の時を経て
2022年、1番熱くて1番似合う季節に
LPとして帰ってくる。

これは大ニュースだ。
パリピの夏がまた一段と楽しくなるし、
夏なんて暑いだけで糞食らえな僕達も夏が少し楽しくなる。

7/19には新代田FEVERにてレコ発ライブもある。
現在は3人編成となっているどついたるねんだが
この日はDABASSさん等ベストアルバム発売当時のメンバーや
スカートの澤部さん、元シャムキャッツの藤村さん等
豪華メンバーを引き連れてスペシャルな編成で行われる。
なんかイープラスには記載されてないし、他の媒体でまだ見かけてないけど
石淵さんのインタビューを見るとファックマツモトさんも今回のライブに参加するらしい。

しかも何で知ったかも覚えてないけど
DJとして曽我部恵一さんも参加されるとの事。
LPの発売だけじゃなくてリリースパーティも物凄く楽しみだ。
ライブ当日が7/19と、三連休明けではあるが
こんなに楽しいライブが待っているなら、三連休最後の夜も翌日を拒む事なく過ごせる気がする。

リリパも含めて
BEST HITSがLPとして復活するのはとにかくお祭りなんだ。
踊れ文系男子って感じだ。

僕はこの「どついたるねんBEST HITS」というアルバムを
既にどついたるねんを好きな人だけでなく、
興味はあるけど、まだどついたるねんを聞いた事の無い人達にも聞いてほしい。
このアルバムは、どついたるねん童貞を卒業するのに相応しく
「どついたるねん入門編」にピッタリの一枚だと思っているからだ。
僕自身もこのアルバムでどついたるねん童貞を卒業した。

上記のジャケットをそのまま音楽にしたようなアルバムだ。
全体的にしょうもなくてバカバカしくて
なんだか楽しくなってきて
時々切なくて、聞いてるだけで元気が出てくる。


どついたるねんBEST HITSのジャケット




まず収録曲がすごく豪華だ。
少年のようなピュアさと切なさが溢れる代表曲、至極のミディアムバラード「遠浅の部屋」に始まり、
今でもライブでお馴染みのスカナンバー「MY BEST FRIENDS」や
銀杏BOYZの峯田和伸とコラボした「ポコロンチャ」
PUNPEEとのコラボで話題の「人生の選択」
「空気階段の踊り場」のジングルとしても親しまれている「カズダンス」や「鳥貴族」
そして最近はライブで聞くことはあまり無くなったが、ベストアルバムに外せない一曲、
オザケン顔負けのオシャレなシティポップナンバー「such a sweet lady」…
名だたる名曲、代表曲が存分に収録されている。

ジャンルレスに多種多様な楽曲を作成してきたどついたるねんらしく
様々なジャンルの名曲を楽しむことができる。
多分誰しも少なくとも一曲は自分好みのジャンルの曲が収録されているのでは無いかと思う。


しかし、このアルバムが「どついたるねん童貞卒業に最適だ」と思うのは
何も収録されている楽曲の豪華さだけでは無い。

収録されている楽曲の多くが
オリジナルアルバムverと比べてかなりブラッシュアップ(アレンジ?)されており、
とにかくキレイでキラキラしているのだ。


もちろんどの楽曲のオリジナルアルバムverも素晴らしい。
初期衝動をそのまま録音したかのようなそのジャンクさ、チープさも
どついたるねんの魅力の一つだと思う。
個人的には正直UNCHAINなんかはオリジナルアルバムver(アルバム1986に収録)の方が好きだったりもする。

しかし、そのジャンクさ、チープさという魅力を纏ったオリジナルアルバムverは
余りにもアクが強く、どついたるねんを好きになる前の人にとっては
聞きづらく、どついたるねんを遠ざけてしまうきっかけになり得るというのも一つの事実であろう。


そんなアクの強い楽曲達が、このアルバムでは
キレイでキラキラとアレンジを施されて収録されている。
ボーカルの喉も全然枯れていないし、
演奏のクオリティも明らかに上がっている。
音質も物凄くクリアになり
とにかくまだどついたるねんを好きになる前の人でも聞きやすくなっている。


それに加えて(特に初期の頃に多かった)
そのアクの強さを抜いてしまうのは余りにも勿体ない、
強烈にアクを詰め込んだような「名迷曲」とでも呼ぶべき楽曲が
このアルバムにはあまり収録されていない。
それも入門編のアルバムに相応しいと感じる理由の一つでもある。

(アルバムの魅力を伝えるために「こんな曲は収録されていません!」とわざわざ書く必要があるバンドなんて、どついたるねん位だと思う。)

言わばこのベストアルバムは
「どついたるねんの魅力を余す事無く詰め込んだ」ベストアルバムではなく
曲のジャンクさやチープさ、
そしてあまりにもアクの強過ぎる楽曲等
「どついたるねんの余すべき魅力」をしっかりと余したベストアルバムなのだ。


長々と書いてしまったが、
アレンジと選曲のお陰で物凄く聞きやすいアルバムになっている
という事が伝われば良い。


しかし、いくらキレイなアレンジを加えて聞きやすい物にしても
結局どついたるねんのBESTアルバムだ。

このアルバムを聞いて
「なんて癖のなくて聞きやすいキレイなアルバムなのでしょう!」といった感想を持つ人は一人として居ないであろう。

どんなにキレイで聞きやすくアレンジを施しても、このバンドの楽曲からアクを拭い切ることはできない。
そしてそのアクこそ
どついたるねんの真骨頂でもあり、絶対に残さなくてはいけない。

このアルバムは見事なアレンジでアクを薄めながらも
その魅力的なアクはしっかりと残されている。

万人にも受け入れられそうな聞きやすさと、
どついたるねんに無くてはならないアク。
その両方が絶妙なバランスで入っているのが
このアルバムを「どついたるねん童貞卒業用」として勧めたい1番の理由である。


これから「どついたるねん」なる奇妙な名前のバンドを聞こうかなと思っている奇妙な皆さんには、
良い機会に是非このアルバムから聞き始めてほしい。
間違っても「どどどどどついたるねん」とかで
あなたの大切などついたるねん童貞を捨てない事を祈ります。


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