疑いは塔にて No.3

 「もうここは何もなさそうだから、一旦戻ろう」
佐藤さんが言った。それを合図に、みんなは俺の部屋から去っていった。しかし、橋本さんだけはやはり残っていた。
「あの…橋本さん」
俺が話しかけるや否や、彼女は喋り出した。
「智也くん、なぜわざわざみんなに部屋を調べさせるようなことをしたの?あなたは…あなたは、みんなを脅す気なの?」
俺は何の事だか分からず、口を挟もうとしたが、橋本さんは間を開けずに言い続けた。
「智也くん…私は興味本位で協力しようとしたことを後悔しているわ。智也くんが何を考えているのかは分からないけれど…私は…」
橋本さんは、問い詰めようとする俺を無視して、去っていってしまった。
 
 俺は、彼女の言っていたことを必死になって理解しようとして、自分の部屋を調べた。先程とは違い、窓ではなく、空っぽの棚やベットの下までくまなくみた。
 すると、見つかったのは驚きべきものだった。
「なんだよ…これ」
見つかったのは、血の付いた俺のYシャツだった。橋本さんの意図がわかった。おそらく、これを見て俺が殺人をしたとでもかんちがいしたのだろう。
 しかし、俺は殺人なんて真似はしていないのだ。では…これは犯人が用意したもの?これは何かの手がかりになるかも知れない。

 俺が大きな部屋に戻ると、みんながこちらを見た。
「何か…進展はありましたか?」
安本さんがゆっくりと首を振った。それでは、また今までの謎を解いていくしかない。どうやって、正解にたどり着こうか。
 
 俺は、隙を見て部屋を抜け出した。一人でゆっくり今までの手紙や、先ほどの手がかりを振り返りたかったからだ。すると、突然声をかけられた。
「謎」
あの少女だった。先ほどよりも強い感覚。見覚えがあるのに、どうしても思い出すことはできなかった。
 その時、天井から紙が落ちてきた。

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もちりんご

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