5分で読める登販対策その6〜クロイツフェルト・ヤコブ病訴訟〜

こんばんは、好きな成分名はアミノ安息香酸エチル。もち犬です(・∀・)丿

さて、今回も薬害の歴史です。
2度と起こさないって誓ったよなぁ?!とつっこみたくなりますが、薬害です…。
クロイツフェルト・ヤコブ病、略してCJDについてです。
いつものように前半は5分でまとめ、後半補足という名の長文です。

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

クロイツフェルト・ヤコブ病は、タンパク質の一種であるプリオンが原因。
プリオンが脳の組織に感染することで次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病。
ヒト乾燥硬膜の原料が採取された段階でプリオンに汚染されていた。
このプリオン不活化のための十分な化学的処理が行われないまま製品として流通。
脳外科手術等で移植された患者にCJDが発生。
1996年に国、輸入販売業者及び製造業者を被告として提訴。
2002年に和解が成立。

生物由来の医薬品等によるHIVやCJDの感染被害が多発したため、2002年の薬事法改正。
生物由来製品の安全対策強化、生物由来製品による感染等被害救済制度の創設。

◯原因はタンパク質の一種のプリオン
◯汚染されたヒト乾燥硬膜を脳外科手術で使用された患者が被害
◯認知症に似た症状から死に至る難病
◯1996年に国、輸入販売業者、製造会社を提訴
◯2002年に和解
◯生物由来製品の安全対策強化
◯生物由来製品による感染被害救済制度

以下、長めの補足が始まりますよ。

クロイツフェルト・ヤコブ病気ですが、クロイツフェルトさんとヤコブさんというお医者さんの名前からとっています。
聞き馴染みがあるところでいえば、川崎病みたいな感じで名付けられた病気ですね。

そもそも硬膜って何だ?に順番に沿ってお伝えしましょうね。
頭の皮膚、骨を守っている骨膜、皆さんご存知の頭蓋骨。
その下が硬膜です。
さらに下がこちらも聞いたことがありますね、クモ膜。クモ膜下出血のクモ膜はここ。
クモ膜の下に軟膜、そして脳に到達です。

脳はこれだけの鉄壁のガードの下に存在しています。
ただ、事故で頭を激しくぶつけて損傷したり、脳内の出血、脳腫瘍ができたりすると頭蓋骨の一部を外して治療をしないといけない事態が発生する場合があります。
外したからには元に戻すために、蓋をしなければいけない。
そこで塞ぐのに使うのがヒト乾燥硬膜だったわけです。

これを製造していたドイツのビー・ブラウンという会社が杜撰にも程がありました。
硬膜調達にあたり、どのような病気で死んだ人のものでもあろうとかまわない。
利益を大きくし材料費を安く済ますために裏取引をしてでも死体を調達し硬膜を採取。
また、多くの遺体から採取した硬膜を混ぜ集めて、最大600枚もの硬膜を混合処理していたとも。

これ、600人のうち1人でもクロイツフェルト・ヤコブ病の患者さんがいればアウトです。
クロイツフェルト・ヤコブ病とアルツハイマー病、似ているので病理解剖で死因が判明というケースもあります。
きちんと処理さえしていれば、病歴を調べていれば防げた事態です。

 日本では1970年代に先の会社が作っていたヒト乾燥硬膜…「ライオデュラ」の輸入販売を承認。
1980年代には、アメリカからライオデュラの一部製品の廃棄勧告を受けたり、カナダから一部製品の使用中止等の勧告を受ける。
それらの国では措置をとっていたが日本。

日本は相変わらず廃棄などの必要な措置をとらず、従来製品は人に危害を加える可能性が高いと承知の上でアメリカの警告以後も10年、販売し続ける。
1997年3月末に、世界保健機関が人工硬膜で代替できることから、高リスクであるヒト乾燥硬膜の使用を加盟国に向けて使用停止するよう勧告。
厚生省が使用停止の緊急安全性情報を発信する1997年4月上旬まで被害者を増やしたとされている。

いや、止まれよ。アメリカから捨てなさいって言われたじゃん。
カナダも使っちゃダメって言ってんじゃん。
何で10年も経っているのか。
世界保健機関(WHO)から言われたら直ぐ様止めなよ?!

クロイツフェルト・ヤコブ病は通常は100万人に1人しか発症しないとても珍しい病気です。
ですが、薬害によりこの病気にかかる人が発生しました。

クロイツフェルト・ヤコブ病を発症すると脳がスポンジ状に空洞化します。
脳は言葉を話すために使う部分、呼吸をするのに使う部分、手を動かす、足を動かすなどといった部分など多機能です。
これがスポンジ状になるとどうなるか。

最初はアルツハイマーや認知症のような「あれ?物忘れが増えた?」という症状から始まります。
それがあっという間に着替えられなくなる、自分で食事が摂れなくなるし、返事もしてくれなくなる。
わずか数カ月で意思の疎通がとれなくなり、植物状態といわれる状態になります。

発症すると進行がとても早いのです。
そして1~2年のあいだに確実に死に至り、現在では治療法はありません。

感染してから即発症ではないので、今も患者さんは増えています。
2022年の時点で140名の方が訴訟を起こしています。
事故で、病気で、脳外科手術という大手術を乗り越えた患者さんたちです。
治すための手術が原因で、別の病気にかかるとは夢にも思わなかったはずです。

蛇足ですが、狂牛病(BSE)って「あ、前に聞いたことあるかも?」って方はいませんか?
こちら、牛さんがかかる病気で同じく脳がスポンジ状になるといった症状です。

この病気の牛の骨髄や脳、小腸など危険部位を食べると人間にも病気がうつることがありまして。
イギリスで多くの患者さんが発生しました。
人間にうつると変異型クロイツフェルト・ヤコブ病といいます。
日本ではイギリスから帰国された方、1名が被害にあわれています。

日本…「脳がスポンジ状」というパワーワードで例のごとく大パニックとなりましたよ…。
うちの近くの焼肉屋、これの煽りを受けて潰れてしまったので(´;ω;`)
タレが…タレが絶品でいまだあの店をこえるところがないんですけど…。

狂牛病の牛さんは現在、流通に出回ることはありません。
報道のあり方って大事だなと思う今日この頃です。
不安を煽るのよくないし、なぜ過去から学ばないのか…。





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