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懐かしのりぼん漫画(2000年代)

小学生の頃りぼんの漫画を読んでいました。
今回はなかでも特に好きだった「満月フルムーンをさがして」と「青空ポップ」を紹介します。

どちらも2000年代の漫画ですが、当時の好きだった気持ちを残しておきたくてnoteに書くことにしました。

もし同志りぼんっ子がいたら読んでくれると嬉しいです。

※以下、漫画のネタバレが含まれます。


満月をさがして

種村有菜たねむらありな :2002年〜2004年掲載

当時大好きでした。
りぼんといえば有菜っちは外せないですよね。

種村有菜さんの漫画はいくつか読みましたが、やっぱり「満月フルムーンをさがして」が一番好きです。

【あらすじ】主人公の神山こうやま満月みつきは歌手になるのが夢。しかし喉に腫瘍があり、手術をしたら声帯を摘出しなければならなかった。満月は手術よりも音楽を優先し、歌手のオーディションに内緒で行こうとするも音楽嫌いの祖母から反対されてしまう。そんなとき死神のめろことタクトが現れる。二人は満月の余命があと一年だと告げて…


生きてる人と亡くなった人

あらすじから分かるように、この物語は”生死”を扱っています。満月は12歳ながら夢にかける思いは本物です。作中で「死ぬのは怖くないけど、歌えなくなるのはすごく怖い」とまで発言していました。

当初は満月の心情をあまり理解できませんでした。いくら初恋の人(英知君)との約束とはいえ、そこまで頑張れるかな…?と思ったからです。しかし12話で英知君の真相を知ると、満月の気持ちも少し分かるような気がしました。

アメリカにいると思われていた英知君はすでに飛行機事故で亡くなっていました。満月もその事実を知りながら過去の約束を叶えるため歌手を目指していたのです。

この話を読んだ時、かなり衝撃を受けました。満月の笑顔の裏には英知君に想いを伝えられなかった後悔だけでなく二度と会えない悲しみも抱えていたとは思いもしませんでした。

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最終回の後、作者の種村有菜さんはこのように話しています(コミックス7巻より)。

1話目からずっと”大切な人を亡くして、それでも今生きてる人達と生きる女の子”を描こうと決めていた

これを聞いて、まず頭に浮かんだシーンがありました。
忘れられない場面はたくさんありますが、なかでも印象的だった台詞を二つ紹介させてください。

16話「失われた鎖、つなぐひと」
満月は英知君が亡くなっていることをタクト・めろこ・いずみに隠していました。しかし3人に事実を知られたと分かり、とてもショックを受けます。それから間もなくして満月は手紙を置いて姿を消してしまいました。

普段は笑顔いっぱいの満月ですが16話はいつもと様子が違います。泣きながら声を荒げる姿は悲しくも、怒っているようにも見えました。

英知君のことをなにか一つでも誰かが口にするたび
何かが終わっていく…記憶を思い出に変えようとするの
私はいやなのに…なんにも忘れたくないのに…

これが英知君の真相を隠していた理由でした。今の満月は感情が高ぶっていて、思いが溢れて止まりません。ついには『どうして私と英知君の邪魔をするの』とまで言ってしまいます。

それに対してタクトの答えは分かりやすいものでした。

おまえが 生きてるからだ

飛行機事故で亡くなった英知君は、元より死にたかった訳ではありません。しかしタクトをはじめ、死神のめろこやいずみは自ら死を選んでいます。

それでもタクトはかつて自殺したことを後悔していました。満月に生きてほしいと思ったのは、”満月が好き”だからこそ「自分のように後悔してほしくない」という気持ちもあったと思います。自分が亡くなった今、大切な人には生きていてほしいと切に願ったのではないでしょうか。

この日から満月は「自分はどうして生きているのか?」と考えるようになります。「私の命は歌うためにある」と気づいた時、初めて心からの叫びを歌にできました。

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26話「人魚姫が君なら。」
街中で倒れた満月は病院に運ばれます。喉の病気が進行していたため急遽入院することになりました。満月がフルムーンとして歌手活動をしていたことが主治医の若王子やマネージャー、そして祖母にまで知られてしまいました。ついに入院先の病院で祖母との再会を果たします。

その時の祖母の台詞が印象的でした。

平凡に小さな幸せをたくさん集めて握って生きるのと
一瞬でも自分を貫いて大きな幸せ一つ握って死ぬのは
どちらがいいことなのかしら…?

私はどちらでもいいことだと思う
だからあなたの道はあなたが決めなさい

音楽に反対していた祖母とは思えない言葉でした。満月は涙を流しながら「おばあちゃんと一緒に暮らしたい」と本音を漏らします。

幸せとは
最初から満月には”喉の手術をして夢を諦める道”もありました。しかし満月は命より夢(歌手)をとりました。満月は12歳という若さで究極の選択をしています。

もちろん祖母は満月に生きてほしかったので、歌手になるのを反対していました。もし大切な人が病におかされていたら、手術を勧めるのは当たり前だと思います。しかし病院で再会した時には、満月の選んだ”幸せ”を尊重していました。満月がいなくなってから、何度も何度も考えていたのでしょうか。これは祖母にとっても究極の選択だったはずです。


祖母の台詞は、作者のテーマである「大切な人を亡くして、それでも今生きてる人達と生きる女の子」を表しているようでした。満月のように大切な人を亡くして生きていくのはとても悲しく辛いものです。だからこそ”亡くした後、どう生きていくか”が大事なのだと思いました。

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最終話「たった1人の、英知君へ。」
最終話で英知君が空から微笑んでいる描写があります。英知君の表情は寂しそうにもホッとしているようにも見えました。当時は英知君が大好きだったので、このシーンが本当に辛かったのを覚えています。”満月と英知君が結ばれない”という事実が、ただただ悲しくて苦しかったんです。でも大人になった今このラストにとても考えさせられました。

思い返せば、英知君は亡くなった後いつも満月の側にいてくれました。今まで英知君を想って悲しむ満月を見て、ずっと満月が気がかりだったのではないでしょうか。だから霊としてこの世に留まり、見守っていたのだと思います。最終話で幸せになった満月を見て安心したのか英知君は思い残すこともなくなり、ようやく天に召されたようでした。

フィルターの役割を果たしていた英知君が消えた後、おそらく満月には死神の姿が見えなくなるでしょう。

でも今の満月は托人タクトが側にいて、祖母も見守っています。他にも大切な人がたくさんできました。そして何より、子供の頃から夢見ていた歌手になれました。辛いことをたくさん経験してきた満月ですが、これからはたくさんの幸福が訪れると思います。

悲しいけれど亡くなった人は帰ってこないし、会うこともできません。でも(満月のように)大切な人を亡くしても幸せになっていいし、(英知君のように)亡くなった人もきっと祝福してくれるはずです。「満月フルムーンをさがして」を読んで、そんなメッセージがあるように感じました。



青空ポップ

小桜池おおうちなつみ:2006年〜2008年掲載

【あらすじ】主人公は中学3年生の香月かづき織花おりか。亡き母のようなトップモデルを目指し、ファッション誌のオーディションに応募する。しかしモデルの夢を反対している父には秘密にしていて…

青空ポップは可愛らしい絵柄とタイトルに見えて、意外とメッセージ性が強い作品です。雑誌モデルになるまでも一悶着ありますが、モデルになってからの話がメインに描かれています。一見華やかな仕事でも、楽しいことばかりではありません。織花が悩みながら成長していく姿にはとても勇気づけられました。

特に青空ポップ2巻は心に響く言葉が多かったです。


オーディションで落選
化粧品ブランドのイメージモデルを決めるオーディションで、織花は最終選考で落選してしまいました。母親が初代イメージモデルを務めていたため、オーディションには人一倍思い入れがありました。しかし結果は先輩モデルの矢野やの美都みとが選ばれました。

結果を受けた際に、選考委員の一人からこのように言われます。

転んだ後の痛みを知ったら
前と同じには走れなくなるかもしれない
今度はまた転ぶかもしれない恐怖と一緒に
走らなくてはいけないから

落選の結果を受けて織花は落ち込みました。この先もモデルを続けるには同じような経験を何度もするだろうし、その度に傷つくかもしれません。それでも織花は続けることを選びました。

走り続けることが一番辛いことでも
私は続けていく
底に落ちても投げ出さなければ
つかめる可能性は0ゼロにはならない

この時はまだ新人モデルですが、織花の決意が感じられるエピソードでした。

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美都が憧れるモデル
一方、オーディションに合格した矢野美都にも憧れている人がいました。それは織花の母親・萩原はぎわら詩織しおりです。美都は幼い頃から芸能界で活躍していましたが、仕事や私生活で悩んでいました。そんな時に萩原詩織と出会います。

美都はいつも笑顔でいられる詩織を羨ましく思っていました。トップモデルとして成功していて、いつも笑顔を絶やさないからです。しかしそれは彼女の強さゆえだと気づきます。

いつも笑っていられるのは 
幸せになるための条件が揃っているからじゃない
繰り返した挫折も どんな悪意も 
笑い飛ばして前に進める 
強さが彼女にあるからだ

それから美都は詩織を目標にし、モデルの道を志しました。

このエピソードから分かるように、織花と美都は二人とも萩原詩織から影響を受けています。そして初めは織花が美都に憧れていましたが、次第にライバルになるまで成長していきました。二人とも誠実で努力家なので、とても良い関係性でした。

他にも紹介したいエピソードがたくさんあって…選ぶのが難しいです。同じく2巻ならファッションショーのエピソードも好きでした。織花のプロ意識が垣間見えるようで、ますます魅力的なモデルになっていました。

このように青空ポップは織花が壁に当たって、乗り越えて…を繰り返していくうちにどんどん成長していくストーリーです。もちろん本当に心が折れそうになる時もありましたが、織花には大切な人がいました。


自立した恋愛
織花と幼馴染の奏多は両片思いの関係がしばらく続いていました。その関係が変化したのは4巻からです。織花が勇気を振り絞って告白を試みるも、奏多は織花を支える自信がないと言って一度断ります。織花の知名度が上がるにつれて、仕事の責任も重くなっていました。奏多も若手ながら人気のカメラマンですが、そんな織花を支えられるかどうか葛藤していました。

その後の織花の行動がカッコ良かったです。
モデルの仕事もこなし、学校のテスト勉強も頑張りました。奏多に寄りかからなくても、仕事と学校の両立ができると証明したのです。

毎日嬉しいことばかりじゃなくていい
守られてばかりじゃない方がいい
それより…つらいことも苦しいことも
自分で乗り越えた経験を持っていたいの

奏多の「織花が大変な時に側にいてやれない」という言葉に対しても、「それでいいの。仕事をしてる時の奏ちゃん(奏多)も好き」と言いました。こうして二人は付き合うことになります。

また奏多がフリーになるか迷っているとき、「会えなくなるのは寂しいけど、やりたいことを織花のせいで諦めてしまうことが一番嫌だ」と素直に伝えました。

織花と奏多の”互いの仕事を尊重し合える関係”がすごく良かったです。二人とも自立していて、支え合っている関係が素敵でした。ちなみに美都と糸井さんカップルも尊重し合える関係でこちらのエピソードも好きです。

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基本的に漫画自体は華やかでも、青空ポップは織花の苦悩をしっかりと描いています。モデル業も恋愛も等身大の女の子と同じように悩んでいました。そういった過去があるからこそ、強く美しい女性へと変化する過程が際立っていたと思います。織花はまさに読者が憧れるような主人公だったのではないでしょうか。



おまけ

改めて振り返ると懐かしい気持ちが蘇りました。

りぼんの少女漫画らしさとシリアスな要素のバランスが好きでした。当時読んでいても面白かったけど、大人になって読み返してみてもやっぱり面白かったです。むしろ余計に面白く感じました。

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りぼん漫画の第二弾を書くとしたら、「愛してるぜベイベ★★」と「チョコミミ」あたりを考えています。

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