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2021年にハマった夏アニメ🤽🏻‍♂️RE-MAIN リメイン

☆2021年夏アニメ(7〜9月)

今回はリメインの感想を書きました。

※記事にはネタバレが含まれます。

RE-MAIN リメイン 

総監督・脚本:西田征史 制作:MAPPA

ストーリー

「高校で仲間を集めて一から水球部を作る」というのが簡単なあらすじです。一見よくある青春スポーツアニメのようですが、RE-MAINの面白さはそれだけではありません。


リメインの面白さ

リメインが面白いのは①主人公が記憶喪失になる、②水球で日本一だった点です。わりと王道なのは初心者からトップを目指す流れではないでしょうか。しかし、みなとは中学3年生ですでに日本一になっています。そして日本一になったその日に交通事故に遭いました。これが物語の冒頭です。


①複雑な記憶喪失

事故で中学3年間分の記憶を失ったので、一度トップになったにも関わらず高校で一からスタートしました。しかも記憶が一部だけ戻ったり失ったりと簡単には進みません。リメインは全12話に色んなみなとが描かれていました。

全体的に整理するとこんな感じです。

1話:中3の冬〜事故〜高校入学まで
・全国大会で優勝
・事故で203日間意識を失う
・1年遅れで高校に入学
目覚めた時は小6までの記憶しかない

2話〜7話:高校1年生
・小6の記憶のまま高校生活を送る
・7話ラストで昔の映像を見る

8話:高校1年生
・ちぬから過去の自分を知る
・一度、中学3年間の記憶を思い出す
・自転車で転び、再び記憶喪失
事故後〜今日までの1年間の記憶を失う
中3までの出来事は覚えている

9話〜12話:高校1年生(県大会まで)
・事故後1年間の記憶は失ったまま
・12話冒頭で記憶の一部を思い出す

事故で中学3年間の記憶を失い、それを思い出したのが8話でした。しかし頭を打ってしまい再び記憶喪失になります。これにより中3までは覚えていて、事故後1年間の出来事は全て忘れていました。

特に8話以降、みなとのアイデンティティが揺らいでいたように見えます。

8話:誰なんだよ、こいつら
つい昨日まで山南やまなみ水球部の一員だったのに、みなとは何も覚えていませんでした。また記憶喪失によってみなとの人格も変わりました。心配していた家族にも冷たい口調で、江尻たちに話しかけられても『誰?なんか用?』といった返答でした。もはやこっちが「誰?!」と聞きたくなる変貌ぶりです。

9話:俺はずっと俺なんだよ
みなと自身も二度目の記憶喪失で自分が何なのか分からなくなっていました。元コーチは以前のようには期待してくれず、すでに曙學館しょがくかんに居場所はありません。仲間を覚えていないみなとが、山南で頑張ろうと思えないのも当然と言えば当然です。全国レベルの強豪校・曙學館と、出来たばかりで部員ギリギリの山南では水球に差がありました。

そんなみなとを救ったのは昔の自分でした。
記憶を失った時に備えて”みなと”は未来の自分用に映像を残していました。昔の自分が一番心配していたのは「水球部のみんな」のことです。『山南水球部は毎日必死で練習していて、みんな本気で勝ちたいと思っている』と告げます。

もし僕が僕じゃなくなったとしても、この夢叶えてもらえないかな?

それは昔の自分がみなとに託した何よりの願いでした。

翌日、水球の練習を再開するも身体が思うように動きません。しかし今のみなとが横柄な態度でも山南のみんなは笑って受け入れます。『うちはチームワークが武器』という自分の言葉を信じることにしました。

10話:俺はこの勝ち方しか知らない
みなとは部員それぞれに練習メニューを指示します。ここでも上から目線なので反感を買いそうでしたが、誰よりも努力していたのもみなとでした。そして努力した分、目に見えて成長しているのが部員にも伝わります。そんな頑張りに触発されて山南水球部はいつにも増して練習に励んでいました。

11話:出せ! 俺に出せ!
県大会初戦、前半こそ苦戦するもの後半から徐々に調子を取り戻します。思うような試合ができないなか、空気を変えたのはみなとでした。江尻のシュートを褒めたり、牛窓に最後までハンズアップができていたと声をかけたりしていました。

口調こそぶっきらぼうですが、自分にも他人にも厳しいみなとの言葉は嘘がありません。それが分かっているからこそ、どんな励ましの言葉よりも力になったはずです。

またプレースタイルも以前とは変わっていました。自分中心ではなく仲間にあえて任せる場面も見られました。そんなみなとが信じていたのは自分の言葉です。過去の映像では山南水球部をこのように説明していました。

「うちはチームワークが武器だから…
 一人の力では勝てなくても、
 みんなの力を合わせれば…っていうチームです

県大会での初勝利は今のみなとが山南水球部を信頼した結果であり、また過去の自分を信じた所以とも言えます。

12話:さぁ、始めようぜ
全国レベルの曙學館と前半までは良い勝負でした。しかし曙學館は元チームメイトのみなとに遠慮していました。それを見破ったのは曙學館の現エース・百崎ももさきです。

後半から曙學館は本気を見せ、山南は全く歯が立たなくなります。最後の一球はみなとがパスしたボールを牛窓がシュートを決めました。山南高校は大差をつけて敗れましたが、負けても嬉しいと思える試合をしました。


②元・水球日本一

すでに日本一に輝いた主人公が、再び同じスポーツにチャレンジしたのはなぜでしょうか。事故に遭ってから、日本一に返り咲くようなストーリーであればまた違ったアニメになっていたと思います。しかしリメインの最終回はそうではありません。

(12話の)県大会で山南高校は曙學館に敗北しています。このラストの意味をキャッチコピーから考えてみました。


キャッチコピーの意味

リメインのキャッチコピーは「知らない自分に僕らは出会う」です。このキャッチコピーを主人公のみなとに当てはめてみると事故前と一度目の記憶喪失、二度目の記憶喪失では全て違ったみなとに見えます。

事故前は水球の才能を認められている反面、性格には難ありといった感じでした。本来は心優しいみなとでしたが、監督から「強くなるにはエゴイストになれ」と言われます。以降は自分にも他人にも厳しくなり、チームメイトからも恐れられていました。

一度目の記憶喪失ではみなとの傲慢さは消えています。この”傲慢さ”は中学時代に培われたものだったので、元の優しい性格に戻っていました。代わりに水球のルールは何も分からないまま、仲間達と切磋琢磨し合うようになります。

ここで困るのが二度目の記憶喪失です。以前から知る人にしたら性格は変わらなくても、水球はかつてのみなとに及びません。一方、山南水球部にとっては今までの思い出は忘れられ、まるで別人のように変わっていました。妹の明日海あすみですら『前のお兄ちゃんの方が良かった…』と言っています。

みなとからすれば事故の翌日に起きたつもりが1年も経過していました。そのうえ日本一に輝いた曙學館には居場所がなく、無名の山南高校に通っていたと知ります。新しい仲間と撮った写真や山南水球部のジャージもあって、自分の部屋なのに身に覚えのないものが増えていました。

これは自分の知らない誰かが代わって1年間を生きていたような感覚ではないでしょうか。つまり”周りは自分を知っているのに、自分はそれを知らない”という訳です。こんな状況では混乱してもおかしくありません。

また以前は、「水球で活躍する自分」にアイデンティティを見出していた部分もあると思います。水球がかつてのように出来なくなった今、元いた学校に居場所もなく人格まで以前(一度目の記憶喪失)の方が良いと言われたら、自分の存在意義が分からなくなるのも無理ないです。

崩壊しかけていたみなとを救ったのは自分自身でした。映像が昔の自分と今の自分を繋ぎ止めてくれました。この時(今の)みなとは客観的に(昔の)自分の映像を見ています。まさに「自分の知らない自分が話している」映像です。それ以来、”過去の自分”を信じて今のみなとが変わっていきました。

12話は山南のチームワークを発揮し「負けても嬉しい」と思える試合をしました。最終話で日本一に返り咲くのではなく、試合に負けてチームの成長を一緒に喜びました。

記憶喪失がもたらしたもの

中学時代まではエゴイストで日本一になれました。しかしその後も日本一を維持できるとは限りません。これは推測でしかないですが、”エゴイストすぎる”みなとはやはり限界があったと思います。

純粋に勝利を追い求めるエゴイストな姿勢そのものは悪ではありません。チームワークだけでなく、勝つためにエゴを出すことも必要だと思います。現にみなとはエースであり、ストイックな性格でチームを引っ張る存在でした。しかしエゴを誤ると、チームメイトが萎縮してしまい本来のチームプレーが発揮されなくなる可能性もあります。

また本来は水球に限りエゴイストでしたが、自身の性格にも影響を与えていました。事実、事故から目を覚ました時は家族に対して「気にしないで」と言っていたのに、二度目の記憶喪失になった時は「俺の人生どうしてくれるんだ」と親を責めています。水球以外で周囲への接し方が変化していることからも、一度『自分自身を見つめ直す』必要があったのではないでしょうか。

このような変化を見ても、記憶喪失によって『自分を客観視』できたのが一番意味があったと思いました。試合の帰りにも家族への接し方が優しくなっていたり、曙學館の仲間達とのわだかまりが無くなったりと関係性も変化しています。水球を続けるためにみなとが変わったのは、自身の幸せにも繋がっていると思いました。

だからこそリメインの最終回は「日本一に返り咲く」のではなく「負けたけど嬉しい」試合で終わったのではないでしょうか。もし最終回の続きがあれば、これからみなとはますます強くなるかもしれません。失った1年間の記憶を思い出すかもしれないし、思い出さないままかもしれません。それでもみなとにはきっと明るい未来が待っていると思います。



誰かにとっての「知らない自分に僕らは出会う」

そして山南水球部や曙學館の元チームメイトなども、キャッチコピーの「知らない自分に僕らは出会う」に当てはまりました。みなとだけであれば「知らない自分に僕は出会う」でもいいですが、あえて「僕ら」となっています。

山南水球部のメンバー
たとえば山南の水球部員は入部のきっかけが様々です。ババヤロは運動が苦手なのに外見から勝手に期待され、落胆された経験から自信を持てなくなっていました。また引っ込み思案の牛窓うしまどは水球をきっかけに自分を変えたくて入部し、水泳から転向した網浜あみはまはライバルである兄を水球で超えたいと思っています。

この3人を例にしても、大きく成長を遂げたように見えました。キツい練習メニューをこなしながらチームを明るく照らしていたババヤロ、人と比べて落ち込むことはあれど試合でゴールを決めた牛窓、そして試合で兄と対決した網浜は昔よりも成長した泳ぎを見せました。

おそらく山南水球部に入部する前はここまで変わると思わなかったはずです。3人の身体能力だけでなく、山南水球部に芽生えた仲間意識や網浜と百崎(兄)の関係性なども変わっています。そういった変化や成長も含めて「知らない自分に僕らは出会う」と表現しているのではないでしょうか。

川窪ちぬ
また川窪ちぬもその一人です。
12話でちぬが「私も変わることにしました」と言った台詞には、リメインの全てが詰まっているように思います。以前はみなとを憎んでいましたが、みなとが変わった様子を見て、ちぬ自身も変わろうと決意したシーンです。

有名な水球選手のちぬにも悩みがありました。学校では、部活の先輩からいつも面倒な役回りを押しつけられていました。自分だけでいっぱいいっぱいなのに頼みを断ることもできません。

もう一つは一ノ瀬先輩のことです。一ノ瀬先輩はちぬが水球をはじめたきっかけであり、幼い頃から憧れていました。ところが曙學館の試合で後輩のみなとに怒鳴られる様子を見てショックを受けます。そのまま先輩は曙學館高等部には進まず水球を辞めてしまいました。先輩が水球を辞めたのはみなとのせいだと思っているので、いまだに許せないでいます。

一方、先輩は別の高校で新しく始めた卓球を楽しんでいました。先輩の隣には彼女がいて高校生活は順調そうです。再会した場面では、前を向いている先輩と過去に”留まったまま”のちぬは対照的に見えます。そんな自分におそらくちぬ自身も気づいていたのではないでしょうか。一ノ瀬先輩がみなとを恨んでいないことも、自分が部活で上手くやれていないことも分かっていたはずです。

ちぬが変わろうと決意したのは、みなとの試合を見てからです。あの傲慢だったみなとが仲間と協力するプレーをしたり、試合で負けた後も新しい仲間と笑い合ったりと以前のみなととは異なる姿でした。

その様子を見て、ちぬ自身もどこか吹っ切れたのでしょうか。ちぬは「私変わることにしました」と宣言し、先輩からの頼み事も断っていました。ちぬの表情はすでに清々しいものに変わっています。


☆リメインが描きたかったことは?

リメインは「過去に留まっていた人たちが動き出す」ストーリーだと思いました。過去にリメインしたままの自分を見つめ直し、新しい自分へと変わる過程が描かれています。目標に向かってひたすら努力するのも大事だけれど、たまには立ち止まって「自分とは何か」「どんな自分になりたいか」を考えるのも良いと思いました。


🤽🏻‍♂️

以上、リメインの感想でした。
あくまで個人の感想なので人によって様々な捉え方があると思います。

私としては、スポーツ系のアニメで記憶喪失を機に自分と向き合うストーリーは斬新で面白かったです!もしリメインを見た人がいたら、コメント欄でぜひ感想を教えてください✨


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