鯖サンドの輪郭の照らし方

※この記事は、2021年8月16日に下書きして、残っていたものを更新したものです。当時は何を考えていたのでしょう?加筆は最小限に抑えています。

※中元日芽香『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』』の内容を含みます


卒業論文の中間発表に追われる中、本屋である本を手に取った。

きっかけはある動画を見たことからだった。
内容があまり好きじゃなかったこともあり、中田敦彦の動画からは少し距離を置いていたけれど、本を出版したと知っていた元乃木坂46の中元日芽香さんが出ていたので見てみた。あと大学が同じだった。

動画で話されていたことから、なんとなくだけど「この本は読まないとダメだ」と思った。それはアイドルを応援する立場として、"自分"を模索する1人として、何より「鯖サンドの輪郭の照らし方」をやっている1人としての気持ちだったんだと思う。

買ってからあっという間に読み終えた。最近は小難しい本ばかり読んで、途中で読み進められなくなることも多かったから、エッセイの語りかけてくる感じが心地よかった。

感想は大きく2つ。

「そうだったんだね(理解)」「そうだよね(共感)」

正直、何も考えずに1回読んだだけだから、もう1回ちゃんと読めばもう少しまともな感想が出てくるのかもしれないけれど、これが最初に出てきた言葉だった。

高校生になるタイミングでアイドルになり、もともと自信を持っていた歌とダンスで「選抜」という壁にぶつかり(この辺りの乃木坂システムの説明は省きます)、自分の性格を認識できていなかったことから徐々に体が追いつかなくなる。体調不良を理由に活動休止をした時に相談にのってもらった心理カウンセラーに大きく影響を受け、卒業後に少し休んでから心理カウンセラーの勉強をして仕事をしていく1人の女性の人生の話。

アイドルを卒業する時期の少し前から乃木坂46での出来事は知っていたから、「テレビで見るアイドル以外のところではそんなことがあったんだ、その経験がつながって今になっているんだ」という発見は大きかった。

最近は、パーソナルな部分を曝け出さないといけない、むしろそこが成長するアイドルというエンタメを楽しんでいる一部の人間として、アイドル職の倫理的な部分を特に考えていたから、やはりそうなるよな...と思った。

一方で、最近の自分の経験からも「そうだよね」となる部分もあった。
以下は抜粋。

新しい価値観を提案された時、心からその考えに納得して、自分のものにするって簡単なことではないと思うのです。19歳の私にはそれが難しかった。
育ってきた環境、成功体験を重ねる中で築き上げた自分のやり方、自分に影響をもたらした大人との出会い、自分の中の「絶対的なもの」を変えるのは容易ではありません。

以前の私は、頑固で、手抜きが嫌いで、白黒ハッキリさせたい完璧主義者でした。そういう考え方でいるのが自分らしい・生きやすいという方もいらっしゃいます。
私の場合は、その考え方が結果的に自分自身を苦しめた。もう少し柔軟な考えを身につけた方がいいんだろうな、となりました。より生きやすくなるために自分を変えようと、新しい価値観を受け入れる姿勢で、勉強に取り組めた時期だったのだと思います。質の良い勉強期間になりました。

デジタルを生きる現代では、ネットでリアルタイムな情報が入ってきてしまって、つい色々なことを考えてしまう。コロナ禍になると、みんなそれぞれに鬱憤が溜まって、その吐き出し口になっていると思う。そんなタイムラインを見るのが嫌で、前よりは見る情報に統制を取るようになってきた気がする。

それを「そう考える人もいるよね」と受け入れる余裕があればいいんだろうけど、まだ自分はそこに辿り着けていない。その意味で、共感する部分が大きく、なんとなく印象に残った文章だった。


話は変わるが、今年の3月ごろに大学のクラスメイトが亡くなった。特別親しいわけでも、特別疎遠なわけでもない。原因も自分は何一つ知らない。ただ、Twitterのプロフィール欄に残る「夕方までに帰るよ」という文字が目に焼き付いて、あれ以来ずっと離れない。なんだか残されたような気がして、それから1ヶ月くらいは気が滅入っていた。この残されたような感覚が嫌だ。

こんな感じで色んな情報を受け取ったり、色んなことを考えたりする中で、なぜ鯖サンドの輪郭の照らし方を始めた(始まった、の方が正しそう)のかを考え直したりした。

最初は2018年3月。AZの6階で「プレイス de しゃべり亭」を開催した時からだったが、実はその前の段階がある。東京・原宿で開催された「中高大学生と、いろいろあったけど今が一番楽しい大人との対話の会」だ。

確かFacebookか何かで見つけたイベントで、ノリと勢いで参加した。いわゆる人生曲線グラフをそれぞれが書いて、発表し合う形式で行われ、これまでに3回くらい参加した。中学校の部活とかはバカ真面目だったことを考えると、今の楽観的な考え方になったのは何故だろうと思うことはよくあるのだけど、多分このイベントのあたりからだった気がする。

言語化しにくいけど、この時に話した何人かの大人に救われたのだと思う。

その時は、地元・熊谷でも色々な大人の方にお世話になっていて、大人の方から聞く色々な過去の話はやはり面白かった。だから、それを自分と同じ世代の人に聞いてもらいたいと考えて、「プレイス de しゃべり亭」をやった。

その後続イベントとなった鯖サンドの輪郭の照らし方は、成功者としてキャリアイベントに登壇する方だけでなく、例えば普段隣でコーヒーを飲んでいる人が、これまでに何を感じ、何を考えて行動・決断したかに焦点を当てる。これから就職をする人、進路を決める人、転職を考える人、セカンドステージに進む人、色んな立場の人がその話を聞き、自分のキャリアを考える機会・ヒントにする。そんなイベントと捉えている。

でもいずれの真の目的も、自分が救われたかったというだけかもしれない、と今は思う。本当かはわからないけれど。


乃木坂46の中で好きな曲がある。昨年末の4期生ライブで林瑠奈ちゃんが「何度も何度も、再び歩き出す活力をいただいた大切な曲。」と言い、歌った『自分のこと』というソロ曲。歌っているのはエッセイの著者、中元日芽香さん。

その詞は、色々な方に当てはまるようで、「今の自分にすごく刺さるんです」と言われることがあります。当時の私の心境を思い出して、目の前の相手に寄り添うことができます。少し休もう。またいつの日にかゆっくり歩き出せばいい。うんうん、優しい言葉ですよね。頑張り屋さんはなかなか自分に対してそのように声かけすることはできない。でもつらさを周りに悟らせない。そんな時、詞が寄り添ってくれるのだそうです。

曲を聞くだけじゃなくて、詞を読んでみると、やはり秋元康の偉大さを知る。詞を見ながら曲を聴いてみてください。不思議な感覚になると思います。





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