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初めての国技館と魅惑のスーパーぼっちシート

これまでのあらすじ

もともと相撲ファンである夫と、たまたま一緒に見た初場所で、なぜか私のほうがハマってしまい、それは順調だった夫婦生活に一つの影を落とした。ドン引きした夫に「俺ついてけないわ。他に相撲友達探したら?」と匙を投げられた私はショックのあまり枕を濡らしたが翌日「俺が友達になる」と夫が立候補し丸く収まった。

私はハマると情熱の圧力が増してしまうので、その持ち味を生かし春場所には早速大阪へ出向き初観戦を果たした。そこで愛する正代が角番4連敗からの怒涛の追い上げを魅せてくれたお陰で、いっそう戻れない身体になってしまった。
そして自然と次は優勝するから千秋楽に行こう、と安直の至りで夏場所も行く事にした訳ですが、夫の「せっかくだから何日か行ったら?」という甘い言葉に全力で乗っかり(神)結局12日目〜千秋楽の4日間観戦してしまう、という初心者にしてはなかなかイカれた事をしてしまいました。
とは言え、私は10年ほど前に「ライブ遠征」というものを経験したお陰で、「遠方だから行けない」とかいう常人の感覚と「予算と相談する脳」を完全に失いました。タガが外れて全国ツアー6公演とか平気で行ってた頃を考えると、同じ場所に滞在できるので楽だなと思える訳です。

スーパーぼっちシート

相撲観戦といえばテレビで見るような土俵から近い席だけど、溜席は選ばれし上流階級のみ、マス席は4人集められるパリピしか入れないものと思ってました。私のような生粋のソーシャルディスタンスBBAはお呼びでない聖域、すなわち「ぼっち観戦は椅子席一択」という認識でした。
しかし!なんと!まさか!
そんな私の為にあるような夢のマス席を発見してしましました。
それが「1人マス席」
別名「スーパーぼっちシート」である!!!

こんな感じでマス席が作られてるのですが、両端の斜めってる半端な空きスペースを一人用として売り出してる訳ですね。4人用よりゆったり座れるし、何より絶対に端っこってのが良いですよ。電車でも絶対端っこ座りたい人なので。

で、こちら。

せま!!!!!

人権なくて泣いた。座布団はみ出とるやないかい。

均等にスペースが作れる訳じゃないので列によっては割りを食ってしまう模様。しかし土俵に近くてテンション上がります!

今場所が審判デビューの稀勢の里。キョロキョロとした目の動きまで確認できて面白かった。ちょっと薄目気味なのは何でだろう。ムフー。

椅子席から見下ろすのも見やすくて良いんだけど、目線が土俵に近いのも臨場感あるし細かいところも見えるから楽しい。

肝心の正代は見るのに精一杯で土俵入りしか撮れませんでした。眼球が足らない!!!(先場所ぶり2度目)

琴欧州にガン見される正代

ペコちゃん化粧回しはテレビで見るよりだいぶ赤かった。八ッ場ダムからペコちゃんまで何でも似合ってしまう、それが正代。

この日は御嶽海応援団めっちゃ目立ってました。ここまで並んでるの初めて見たかも!

お客さんが少ない時間帯は視界良好でしたがそれも束の間、後からやってきた恰幅の良いリーマンにガッツリ遮られ、再び泣いた。持ち前の座高で対抗したけれど、これは辛いですな。

次の日のスーパーぼっちシートは打って変わり、だいぶゆったりでした。
しかも花道寄りです!ヒャッホウ!!!カモン正代!!!

ここの列4人マスも2人用になってたので、収容人数が87%の13%にあたる部分なのでしょうかね?知らんけども。

花道を下がる正代を全力で撮影したかったのに…

そんな時に限って通路に人が立ち塞がり…

ウォォォォォォォォォォイ!!!!!号泣

端っこって、案外ひとの往来が多くて落ち着けないですね…相撲茶屋が再開した事で案内人?のような方がせわしなく動き回ってたりして。自分の出入りが楽なので良いんですけどね。

取組前は応援タオルを諦めて撮れるだけ撮りました。全部ブレましたけども。きっとカメラが正代にときめいて震えたせい。

私はですね、この一見やりたくなさそうな、気合入ってんのか何なのか、よく分からないふてぶてしい感じが好きですよ。緊張して顔が強張ってるから、というのは何かのインタビューで見ましたが、ネガティブ発言には定評がある新感覚大関、正代です。

そしてこの日の相手は御嶽海だったのですが寄り切りで敗れ、この時点でまたも負け越しが決定してしまうのでした。
またまた角番だぜイエーイ!!!!
…..

いかがですか、この哀愁漂う背中。もう言葉もありません。

もりもり貴景勝との対比が悲しい。
横顔で全てを語れてしまう、それが新感覚大関、正代なのです。

花道を下がる正代はカメラを向けるのも憚られるほどにドンヨリとした面持ちでいらしたので、流石に撮るのはやめました。何故なら私もドンヨリしていたからです。

いやもう10日目の時点で7敗してたんでね、私が行くまでもち堪えてくれた正代にありがとうと言いたいわけですよ。

まぁ落ち込んでますね(苦笑)

そう、負け越したからって、終わったわけじゃないのにさ。

なのに、どうしてこんなに私は落ち込んでいるんだろうか?
これまでミュージシャンやアイドルを好きになることはあっても、競技者(と言っていいのか分からないけど)は初めてなので、この感情の整理がつけられない。
春場所で、やっと出た初日に私は感極まって号泣してしまい、そんな自分に驚いた。私の中の何かが「あんまりのめり込むとメンタルに障るぞ」と警笛を鳴らした。そうだ、情緒を乱されていては元も子もない。明るく楽しく応援するのだ。もし負けが込んでも、つられて通夜モード入るのはやめよう。そう夏場所前に硬く心に誓ったのに。誓ったのにこれである。

それがまさよ沼だよ…と、先輩方は手招きをするのかもしれない。業界のレジェンド北の富士も連日大関におかんむりで激辛コラムを展開していたが、血圧が上がってめまいがすると書いており、これほどの大御所でも体調に支障をきたしてしまうのだから、私がコントロールできるわけがない…これも一つの醍醐味と捉えた方が楽なのだろうか。

そんなことを考えながらトボトボと宿に帰る13日目でした。

つづく

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