鬱病と技術同人誌

はじめまして、もちすけと申します。

半導体のことを趣味で考えたり、その表現方法としてLaTeXについて勉強したりしています。

記念すべき初回投稿として持ってきたものがかなり重めのテーマです。中身は重すぎないように気をつけているのでご安心ください。
というか初noteなので↑の見出しイラストとかもよくわかっていません。経験の差がうんだ無機質なレイアウトをお楽しみください。


【同人誌のきっかけ】

2022年夏、盆で実家に帰った際に身内の心無い一言で明らかに生活バランスが崩れ始めたのがきっかけでした。地元は北陸なのですがそのときの口論から「もう二度と帰ってくるものか」と心に誓ったのを覚えています。
誓った以上、退路を断つということは大事です。年末年始に予定を入れれば帰らなくて済む。ちょうど私はそのころ半導体を真面目に勉強し直そうと思っていたころでした。大学は電気系だったのですが不真面目すぎる学生生活、何を身に付けたのかしらと言われても答えられない。もう一度、可能な出費の範囲で電子工作がてらトランジスタの勉強などを始めようかと思っていたのです。ちょうどいい、これの勉強ノートを作って電子工作の入門の門を探すところから始めようと思ったわけです。

【ネタ探し】

さてそうなれば、今まで手をつけたことのなかった電子部品と向き合うことになるわけです。当時私は東京の文京区住まいであったため、秋葉原には足しげく通うことができました。ひとまず、必要な電子部品やArduinoやらを右も左も分からないまま購入するわけです。この段階で9月末。目標は前月に初めて申し込んだコミケでした。

【鬱病本格化】

ちょうど10月くらいからでしょうか。夏に受けたダメージが時間差で攻めてきたのか本格的に外に出られなくなります。主治医からもその旨診断がなされて、半年程度お休みをいただくことになりました。人生で初めてうつ病と言う診断を受けての長期休養となったのですが、自分の中ではどれくらいのダメージが生じているのかは全く自覚が最初の方はないのです。その数か月後にマッチングアプリで30万だまし取られたり、リハビリに通った施設で数字の見間違いをたくさんしたあたりで「あぁ、俺も判断能力や思考力がうつ病で低下したんだ」と認めることができました。マッチングアプリの件については気になる人がいたら書きます。シュールすぎる攻防でした。

【取るもの手に着かず】

さてそうなると何が問題か。思考力が落ちてくるので、電子回路とかも勉強しても頭の右から左まですーっと出ていくのです。さぁ大変だ。コミケも通ったが頭が動いてくれない。まずい。締め切りは迫る。ここで私は方針転換をすることにしました。

「回路を作れないなら、回路を説明すればいいじゃない」
「回路を説明できないなら、素子を説明すればいいじゃない」

心の中のマリーアントワネットが華麗な迂回路を教えてくれたのです。幸い、回路は組めなかったけれどもノートはたくさんある。教科書も神保町で買いそろえたものが山のようにある。これをまとめるだけでも一つの表現になるのではないか。

【人生初コミケ、その次の活動】

そんなこんなで初めてのコミケで半導体のエネルギー理論について書いた本を30部ほど持っていき、半分程度売れました。売れたこともうれしかったのですが、表現することを大切にし、楽しみ合う人たちを生で見れたことが最大の収穫でした。今後も自分のアウトプットの場として同人誌を作ることが自分の回復、そして勉強になるのではないかとここで思ったわけです。

そこからはリハビリに通いつつ、次のイベント(5月技術書典・技書博)に向けてのネタ出しでした。初コミケでの反省、それはLaTeXのデザイン・お絵かき能力の不足でした。ならばこれも勉強して本にまとめればいいんだ。と言うわけで上半期(~夏コミケ)まではそちらのLaTeX系の本を書いていました。

【方向性を変えてみて】

そして2023年11月を迎えました。無事復職から半年を過ぎ、技書博に一冊の本を出しました。「単位をねらう 基礎半導体物理ノート」某出版社(出展もされていました)様の単位取得参考書を目指して作った技術同人誌でした。この元ネタの出版社様にはデザインのコピーの熱意を評価していただき、また別の出版者様からはターゲット層・構成のアンテナ部分を評価していただきました。
現在の技術系雑誌では入門の記事がよくありますが例えば基礎物理や基礎数学についての解説書となると別に一冊本を買う形となります。しかしながら大学の教科書レベルだとえぐい難易度。お手軽本だと業務には不十分。その本の中で使用例・公式の考え方などを業務の範囲内でまとめ上げた本を作ろう、としていたのでアンテナをはっていた部分の評価についてはすごく嬉しかった次第です。

【年末・来年に向けて】

当初は身内との口論で始めようとした電子工作本。紆余曲折あり新社会人への電気系業務の本を執筆することになるとは昨年の今頃まったく思っていませんでした。書きながら自分の学生時代の不勉強に向き合うことでいわゆる再スタートを切れたと思っています。学生時代は学生の先の社会人としての生き方はどうなるのだろう、と思っていたのですがこうした形で再スタートというのもありなんだな、と思いました。こういった執筆の機会をくださった各イベントの主催の方々は心の恩人です。これからも不勉強ながら解説本を作っていくので、イベントで見かけていただいた際にはお立ち寄りください。

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