「野球消滅」を読んで【8/17】

著者である中島大輔さんのツイートで知って以来、楽しみにしていたこちらの本。
8月9日に購入して以来、通勤時間中などに少しづつ読んで、ようやく読み終えました。

「◯◯を一言で表すと?」

世のインタビュアーがよく使う質問ですが、私が真っ先に思ったのは

「野球界ってややこしい!」

という事。

プロ野球、高野連、全軟連、、、

ピラミッドになっていない、というのはよく言われる話だけど、団体内でもプロ野球だとコミッショナーが「御飾り」になっていて、NPBとしての方針が見えなかったり、高野連も47都道府県にある高野連の意見を尊重、というより責任が曖昧で事なかれ主義になったり。
そして、全軟連に至っては、マーケティングの材料にされたくないからという理由で登録人数を公表しないなんて、過去弱い立場にあり、虐げられていた?とは言え、拗ねてる子供じゃないんだから。

タイトルといい、その内容といい、

「必要以上に不安を煽っているだけだ」

と見る方がいるかもしれないけど、代案なき批判、俗に言う「野党!@霜降り明星(粗品さん)」な内容ではなく、提案をされているし、何よりなんとなくのイメージで見ていた各野球団体について、知ることができたのはありがたい。


加藤健次郎(元侍ジャパン事業部、現R.E WORKS)
山中正竹(全日本野球協会会長)
市川徹(埼玉西武ライオンズ企画室)
下広志(JBS武蔵代表)※東京都、埼玉県
會澤裕頼(横浜DeNAベイスターズ野球振興
・スクール事業部 部長)
大淵隆(北海道日本ハムファイターズスカウト部長)
荒木重雄(元千葉ロッテマリーンズ執行役員、
元侍JAPAN事業戦略担当、
現スポーツマーケティングラボラトリー代表取締役)
大塚記央(所沢市学童野球チームコーチ)
原田一範(弘前学院聖愛高校野球部監督)
中嶋誠一(鯖江野球スポーツ少年団監督)
村松末男(泉ホワイトイーグルス代表)※所沢市
井上貴徳(泉ホワイトイーグルス事務局長)
須江航(仙台育英高校野球部監督)
郡司匡宏(所沢市立安松中学校野球部監督)
小松拓斗、橋本周児、櫻井虎太郎(敦賀高校野球部)
吉長珠輝(敦賀高校野球部監督)
八尾浩二(葛野ジュニアスポーツ団元監督)※京都府
小林利一(スポーツコバヤシ代表取締役)※敦賀市
荒井久美子(兼業主婦)※横浜市
新井貴久(西富ファイターズコーチ)※所沢市
福田邦夫(玖珂少年野球クラブ監督)※山口県
菅野文宣(オールアルビレックス・スポーツクラブ代表理事)
佐々木博(公益財団法人船橋市生きがい福祉事業団見守り役)
曽根直幸(スポーツ庁地域振興担当参事官補佐)
北野尚文(福井商業高校野球部元監督)
野口大輔(福井県立武生商業野球部監督)
田邊浩之(福井県高野連理事長)
見延慎也(筑波大学大学院人間総合科学研究家)
高橋聡(青森県高野連理事長)
吉本早希(福井県立武生商業野球部マネージャー)
八田英二(日本高野連会長)
西岡宏堂(日本高野連副会長)
竹中雅彦(日本高野連事務局長)
高蔵哲也(高校野球総合センター長)
前沢賢(元侍JAPAN事業戦略担当、
現北海道日本ハムファイターズ事業統括本部本部長)
宗像豊巳(公益財団法人全日本軟式野球連盟専務理事)
高地康男(群馬県軟式野球連盟理事長)
関口善三郎(群馬県スポーツ少年団軟式野球部会会長)
中井正勝(所沢市少年野球連盟理事長)
雑賀克英(ヨコハマナイン総監督)
鈴木武夫(群馬県野球連盟太田支部理事長)
程塚孝作(埼玉県野球連盟会長)
古島弘三(慶友整形外科病院医師)
荻野忠寛(元千葉ロッテマリーンズ投手、
現一般社団法人スポーツメディカルコンプライアンス協会理事
&武雄ボーイズGM)
鈴木大輔(浦和レッズDF)
勝亦陽一(東京農業大学スポーツ科学・身体教育学准教授)

※すべて敬称略とさせていただきました

私が読んで調べた限りでも、これだけの(名前を出せる)方に取材をされていて、名前は載っていない匿名での取材を希望された方を含めると、倍以上になるのでは。

各団体の会長や理事長からプロジェクトの責任者、そして監督やコーチ、野球部の生徒やマネージャー、自分の子供を通わすお母さんまで、さまざまな方に取材するのは相当な労力がいったはず。
どんな人に対しても「まずは聞いてみないと」という姿勢に感服します。


→プロ野球の観客動員数は増えている
→しかし、熱心なファンが何回も来ているのであって、新規のファンは増えていない
→いや、そもそも野球をする人(子供)が減っている
→特に地方都市はヤバい
→詰め込み式で練習時間が長いから、勉強時間が減る
→頭ごなしの指導をするなど、指導者のスキルが低い
→道具にお金がかかりすぎる
→お茶当番など面倒くさいコミュニティ
→だから両親(特にお母さん)は我が子に野球をさせたがらない
→小・中学生には試合が多すぎて、体の負担が大きい(怪我の可能性が増す)
→しかし連盟との付き合いで仕方なく大会に出場している
→なのにスポンサーとなる新聞社のため、数ヶ月とは言え、新聞購読を斡旋される(使用する球場を本拠地とするプロ野球チームのファンクラブ会員入会も含む)
→パンフレット作成や審判への人件費のため、広告費を徴収される

話の流れは多少前後するけど、気になった点を挙げるとこんな感じでしょうか。

選手育成に関しては、甲子園出場を最大の目的とし、15歳~18歳にピークを持っていく日本とメジャーリーグでの成功を最大の目的として、22歳~25歳にピークを持っていくドミニカ。

そのため、自ずと逆算した育成・指導となるので、更に早い時期での完成を求めてしまい、身体がまだ未熟なのに、小・中学生の頃から無理をさせる。

この流れをもう少し改善できないものかと。

地上波で全国放送されるプロ野球中継がオールスター、日本シリーズを含めても、10~15試合前後となったいま、最も地上波で全国放送される野球中継は、春・夏の甲子園大会でしょう。

高校を卒業すると、大学へ進む人もいるけど社会に出る人も多く、いったんここで区切りをつけるので「これが最後だ」という部分も含めて、ドラマ性が高く、”熱狂”を生んでいるんだけど、人生18年で終わりじゃないので、指導者であり高野連のお歴々は先を見据えた取り組みを提示して欲しいです。

あと「ベイスターズ(神奈川県)の筒香嘉智選手が自身の出身チーム(大阪府堺市)のスーパーバイザーに就任する際、地域保護権を持つバファローズ(大阪府)に承諾が必要となる」とか、
「高野連は勧誘の恐れがあるという理由で、高校生が中学生相手に野球教室を行うことを認めていない」
なんて了見の狭い事を言うのはやめましょうよ。

あと中島さんも提案されていますが、エクスパンションによるプロ野球チームのチーム増については真剣に考えなくて

単純に空白地帯で人口の多いところをピックアップしたら、静岡県(人口10位)、新潟県(人口15位)、沖縄県(人口25位)、愛媛県(人口28位)は候補として考えうる場所ではないかと。

もう一つは海外進出。今年、MLBがロンドンで初めて公式戦を開催しましたが、あれってプロモーションですよね。ベースボールに興味を持ってもらう為の。

NPBもいい部分は真似るべきで、韓国、台湾、中国、フィリピンなどで公式戦を仕掛けてみては?
日本国内だけでは限界がありますので、海外の方々を取り込んでいくのも一つの手ですから。
そして外国人枠とは別に一人、「アジア枠」を作るものアリだと思います。

これを球団に任せるのではなく、NPB主導のもと、計画的にやってくれたらいいんですが。


とにかく現状維持ではなく、いかに攻められるか、仕掛けられるか。タイタニック号よろしく、ただ沈んでいくのを見ているのではなく、どうやったら今後も野球というスポーツが楽しくあり続けるか。その現状を知る上でも、一度手にとって読んでいただくことをお勧めします。

では👋👋

ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。