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栗山巧2000本安打達成!私が選ぶ思い出の一本

※ヘッダー画像は「埼玉西武ライオンズ公式Twitter」より拝借しました

2021年9月4日、時刻は17時を回った直後か。全てのライオンズファンにとって待望の瞬間が訪れた


栗山巧がライオンズの生え抜き選手としては初となる2000本安打を達成しました




球団も残り30本となった6月23日から「ONE ROAD」プロジェクトを開始するなど、一丸となってこの偉業をサポートしており、ライオンズにとっても悲願達成といったところではないでしょうか


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思えばプロ入り初安打は2004年9月24日の大阪近鉄バファローズ戦。この試合は大阪ドーム(現 京セラドーム大阪)で行われた最後の近鉄戦であり、そこからヒットを積み重ね、2000本安打目を球団合併騒動の末、誕生した楽天戦で達成したことを考えると、パ・リーグの歴史を生き抜いてきた選手ともいえます

ちなみにシーズン終了後、プロ入り初安打に関して

「そんなに大きな感動はなかったですね。だって同期のサンペイ(中村剛也)は一軍で2本もホームランを打っているじゃないですか。ほかのチームでも、同じくらいの年齢で活躍している選手がたくさんいますし。僕にとって大きなヒットでしたけど、1本くらいで感動していてはダメです」

と答えている


ここから始まったプロ野球生活では印象深い一打が多くありました


2006年8月1日、直前の空振りで右手を痛めながらも、空振りして負傷退場ではカッコ悪いからとそのまま打席に入り、直後に放った満塁ホームラン


2013年8月18日、逆転に次ぐ逆転で乱戦となった9回裏、二死二塁三塁の場面でサヨナラ打を放ち、球場全体を興奮のるつぼと化したあの一打


シーズン開幕戦となる2016年3月25日、1点リードされていた9回裏一死二塁の場面で三塁打を放ち、塁上で雄たけびを上げた同点打


2017年5月21日、特設サイトにも掲載されているが、その日で最後となる番記者(塩畑大輔さん)に対して打った「予告餞別サヨナラホームラン」


2018年9月17日、10年ぶりの優勝に向けマジック点灯が直前に迫った2位ホークスとの一戦で初回に流れをぐっと引き寄せた満塁ホームラン


いま挙げたのはほんの一例で、ファンの方々にとってはそれぞれに思い出の一打があると思います


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私にとって最も印象深い「思い出の一本」はこれになります

2017年8月17日に放ったサヨナラ3ランです

なぜこの一打が印象深いのか?それはこのシーズン、栗山が置かれた立場にありました

この前年、2016年までキャプテンを務め、中村剛也とともにチームを引っ張る立場でしたが、オフに辻発彦監督が就任すると、チームの変革に乗り出しました

それはキャプテンの座を浅村栄斗に引き継がせ、秋山翔吾と二人をチームの中心に据え、世代交代を図ったこと

それはシーズンに入ると、長らく固定できなかったショートをルーキーの源田壮亮に任せ、誰もがつかみ損ねていたライトの座には外野練習すらやっていなかった外崎修汰を起用。シーズン前に骨折したため計画がとん挫しましたが、正捕手の座を炭谷銀仁朗から森友哉にしようとしていたことでも分かります

当の栗山は慣れ親しんだ2番あるいは3番ではなく、5番で開幕し順調なスタートを切りますが、開幕直後に足を痛め休養を余儀なくされます

10日前後で戻ってきてからは再びスタメン起用されますが、足を痛めた影響からか中々状態が戻らず、低調な成績

栗山にとっては悶々とした状態が続いたシーズンでしたが、チームは7月以降、山川穂高が一軍に定着し、打撃陣はさらに活発となり、そのタイミングで「ライオンズフェスティバルズ2017」の企画で着用した《炎獅子ユニフォーム》が呼び水となってか、13連勝を記録するなどチームの勢いは止まりません

そして19勝4敗と驚異の勝率を誇った炎獅子ユニフォームの着用最終日となったのが8月17日のイーグルス戦

(左)金子侑司
(遊)源田壮亮
(中)秋山翔吾
(二)浅村栄斗
(一)山川穂高
(指)森友哉
(右)外崎修汰
(捕)炭谷銀仁朗
(三)永江恭平
(投)菊池雄星

最終的に27本塁打は記録したものの、シーズンを通して調子が上がらなかった中村も、山川にスタメンの座を奪われたE.メヒアも、そして栗山もいないスタメン

試合は菊池の好投もあり、9回まで無失点に抑えるものの、ライオンズも安樂智大相手に決定打が出ず、0-0のまま九回裏へ

先頭の山川、続く森が凡退するも、外崎が二塁打を放ち、続く炭谷が死球で2アウトながら、一・二塁とサヨナラのチャンス

この場面で途中出場の木村文紀に代わり、出てきたのが栗山

2ボール1ストライクからの4球目、F.ハーマンが投じた見逃せばボールにも見える外角高めのストレートを振りぬいた打球は、今では懐かしいすら覚えるライオンズファンが密集したレフトスタンドへ劇的なサヨナラ3ラン


シチュエーションの劇的さも印象深いのですが、私が何より印象深かったのが塁上を回る栗山の表情でした

「喜怒哀楽」でいうなら、サヨナラホームランを打てば、ほとんどの選手は喜びの表情となるはず

しかしこのときの表情は「無」。それどころか、怒気を含んだ「怒り」の表情にすら見えました

ベースを一周し、ホームベース上で水を掛けられても表情を崩すことなく、炭谷が近づいてきたとき、ようやく笑顔になりましたが、私はこの時の表情が印象深く脳裏に焼き付いています


プロの世界ですから結果が出なければ起用されないのは当然。とは言え、それまでの実績など別格の扱いを受けている選手がいるのも事実で栗山はその一人と言っていい

これまでなら仮に3試合ノーヒットだったとしても「次の試合は打つだろう」とスタメン起用され、そして結果を残してきましたが、5月以降は怪我があったとはいえ「打てなかったら使わないよ」と言わんばかりにスタメンを外れる試合もちらほら

「なぜもっと俺を使ってくれないんだ!」
「使ってくれたらもっと打ってみせるのに!」

と内心忸怩たる思いがあったはず

中にはそれを番記者相手に放言したり、SNSに投稿した挙句「監督批判」とみなされ、それまでの立場を失う選手もいました

しかしそういったネガティブな感情を相手ではなく自分に向け、心の中にとどめておいて、その怒りをあの瞬間、バットにぶつけたのではないでしょうか


まさしく「やるしかないんだから、やらなきゃダメなのよ」


これはあくまで私の想像です。ただベースを一周する際の顔を見た瞬間、私の中で様々な思いがつながった印象深いシーンでした


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結局、このシーズンは2008年から続いていた規定打席もシーズン100安打以上も途切れ、翌2018年も未達成

このまま出場機会を徐々に減らしていけば、2000本安打到達が危ぶまれるところでしたが、2019年は再び出番を増やし、規定打席とシーズン100安打をクリア

さらに2020年は主力選手がそろって不調に陥る中、孤軍奮闘。チームを2位争うに導く原動力となるなど、まさに復活といっていい活躍ぶりでした

昨年オフ、球団は栗山に対して3年契約を提示。2000本安打に向けてのバックアップという側面もありますが、それ以上に選手として3年間活躍してくれるという評価があってこそ

2000本安打で終わる選手ではなく、2100本、2200本とさらに安打を積み重ねてくれるはず

更なる道「ONE ROAD」を突き進んでもらいたいものです


改めて、栗山巧選手、2000本安打達成、おめでとうございました🎉🎉🎉





ここ一週間ほど、何度も聞いた栗山巧の登場曲
クレイジーケンバンド「あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。」

改めて聞くと、サビの部分も印象的ですが、それ以上に

「努力なんて言葉はかっこ悪いけど、努力なしでそれはなし得ぬもんだよ」

という歌詞が心に沁みますね

栗山巧という選手を表しているかのようで(´;ω;`)ウゥゥ






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