金子侑司、一番起用の是非を考える

2月25日(月)に放送された『ライオンズエクスプレス』で辻発彦監督がインタビューに答えていて、興味深いお話をされていました。

気になった点は2つ

①一番打者は金子侑司が最有力
②セカンドは外崎修汰が一番安定しているが、セカンドに入れるとライトが空くので、他の選手のアピール次第

先に②を話をすると、キャンプの時から辻監督は山野辺翔に付きっきりで指導しており、てっきりオープン戦、そしてペナントレースに入っても、我慢して起用するものだと思っていましたが、TV中継時の話【※確か馬場コーチの談話】によると「頭がパンクしそうになっている」様で、実際のところ、対外試合が始まってもセカンドには外崎が起用されています。
セカンドを争う山野辺や金子一輝、ライトを争う愛斗や鈴木将平など若手選手の中で最もアピールした選手を抜擢して、空いた方のポジションに外崎を入れる形になりそうで、これはどのポジションでも平均以上で守れる外崎がいるからできる何とも贅沢なやり方です。

ホント、外崎サマサマですね

今回それ以上に気になったのが、①の一番打者の件です。

聞いて最初に思ったのが「辻監督が本来理想としている組み合わせは、昔ながらのオーソドックスな『一番&二番』タイプで、例えるなら
一番:辻発彦
二番:平野謙
といったところかなということ。

この時代と比較して、二番を任されている源田には犠打を多用せず、打たせて更にチャンスを広げようとする現代型に調整はされていますが。

辻監督は就任以来そのほとんどで、一番には秋山翔吾を起用していました。
この理由として、初年度の春季キャンプ終了時、秋山には制約を設けずに極力、フリーで打たせたいという旨のコメントをされていました。

そしてこの二年間、長打力も増し、NPBでも最高クラスの一番打者になったと言えます。
ただ、浅村栄斗が抜けたいま、三番の穴埋めを最優先で行う事自体、反対する気もないし、当然の策だとも思います。

ただ問題は昨年、絶不調だった金子侑司に一番打者が務まるのか?

DELTAGRAGHSさんのツイートで【wRC+】を基に、パ・リーグ6球団の打順別攻撃力を表したものですが、昨年136試合で一番を打った秋山翔吾によって、他球団と比べ大きなアドバンテージを生んでいるのが分かります。

ちなみに【wRC+】とは【wOBA】という、単打・二塁打・三塁打・本塁打・四球(敬遠を除く)・死球・エラーによる出塁に得点価値(係数)を掛けたのを基にして球場補正を入れたもので、リーグ平均を100と規定し、どれだけ優れているか、もしくは劣っているかを表す指標です。
OPSより適切と言うか、具体的に打者一人一人の良し悪しが分かる指標とされています。

上記の表は打順で表していますが、選手別だとこのようになります。

「パ・リーグ【wRC+】TOP10」
※DELTAのサイトを参照。200打席以上の選手(63人)から抜粋

207 柳田悠岐
168 吉田正尚
164 山川穂高
153 秋山翔吾
149 近藤健介

146 井上晴哉
145 J.アマダー
144 浅村栄斗
134 中村剛也
130 A.デスパイネ

そしてライオンズの選手だとこのようになります。

パ・リーグでは4位となる【wRC+(153)】を叩き出した秋山翔吾から、絶不調で二軍落ちも経験した【wRC+(58)】の金子侑司では相当に落差があると言わざるえません。

その為、秋山に替わる一番打者候補が金子侑司で良いのかと問われると、もろ手を挙げて賛成することはできない。

私が推すならば外崎修汰になります。

昨シーズンは9月に怪我で戦線離脱するまで大活躍し、【wRC+】は126。
打率3割、本塁打20本、そして30盗塁も手の届くところまで近づいており、理想的な一番打者候補だと思っています。

ただ、残念な事に辻監督はいまのところ、その予定は無さそう。

では金子侑司の成績はどうなんだ?と言う事で、DELTAのデータが2014年からとなるので、そこから振り返ってみたいと思います。

今回、DELTAのサイトを見て驚いたのが二つあって、一つは2017年は【wRC+】が100を超えていたと言う事。もう一つは【BB%(※四球数÷打席数)】が年々上がっている事。
早打ちと言うイメージがずっとあったのですが、パ・リーグの平均BB%が2017年は8.3%、2018年は8.5%ですので、今やリーグの平均を超える四球を選んでいることにビックリしてしまいました。

シーズンによって【wRC+】の平均値は変動しますが、2017年の成績に多少の肉付けをすれば、110もしくは115ぐらいになるのでは?と思い、同じスピード系の選手として、2018年に128を記録した西川遥輝、120を記録した中村奨悟(※二人とも金子侑司よりパワーのある選手ですが)の成績を参考に考えてみたのがこのような数字です。

ハッキリ言って、かなりハードルを上げました。
これをクリアするのは相当難しいとは思います。言うまでもなくキャリアハイ、それも人類の限界を超えるぐらいの背伸びをしないと届かない数字でしょう。

しかし、もしこの数字をクリア、せめてこれに近い成績を残せたのであれば、チームにとっては勿論、レギュラーを掴みきれない金子本人にとってもブレイクする大チャンスです。
今年で29歳、脚を売りにする選手にとって、ギリギリの年齢とも言えます。
ここで結果を残して、5~6年レギュラーとして安泰となるか、それとも期待外れに終わり、2~3年後に若手へ切り替えられるか。

金子侑司、最大の長所はハートの強さです。
「え!ここにきて精神論!?」とツッコまれそうですが、入団当時から守備では、本当によくエラーをしていました。見ていて呆れるほどに

でも直後に訪れた打席では、落ち込んで精彩を欠く姿ではなく、打ってミスを取り返してやろう。そして塁に出たら、走ってミスを取り返してやろう。という姿を記憶しているファンの方が多くいるはずです。


辻監督が思い描く理想の野球を具現化するためにも、金子侑司が一番打者として活躍することが必須条件です。
2019年度版「山賊打線」もしくは「獅子おどし打線」を引っ張る存在として、金子侑司が私の予想を大きく外して、活躍してくれることを願っております。



・あとがき
ちなみに「一番」が秋山翔吾から金子侑司に替われば、おのずと源田壮亮に求められることが若干変わってきます。

それは盗塁に対するアシストで、金子侑司が出塁すれば、2球~3球は待つことを求められる。
追い込まれてからの打撃成績を見ると、

・2017年
2s-0b 40打数4安打(.100)
2s-1b 103打数22安打(.214)
2s-2b 102打数17安打(.167)
2s-3b 40打数9安打(.225)
TOTAL 285打数52安打(.182)

・2018年
2s-0b 52打数15安打(.288)
2s-1b 119打数28安打(.235)
2s-2b 90打数24安打(.267)
2s-3b 48打数15安打(.313)

TOTAL 309打数82安打(.265)

※「データで楽しむプロ野球」さんを参照

このように二年目のシーズンは大きく改善しており、これは頼もしいデータです。

あとは二年続けて100三振以上している元凶とも言われる、ボールゾーンスイング率の高さ

・2017年
31.7%(パ・リーグ平均29.4%)

・2018年
28.8%(パ・リーグ平均27.8%)

をパ・リーグの平均より低くなれば、制約がある中でも【wRC+】が100を超えるのも難しい事ではないと思います。
基本的にどの部門でも一年目と比べ、良くなっていますからね。


公私とも仲のいい金子侑司と源田壮亮の「ネコ・ゲン」コンビがライオンズ打線を引っ張ってくれるか?ここも注目点です。

ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。