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人形の国

「人形の国」は、二瓶勉によるSFアクション漫画です。
2017年4月号から2021年10月号にかけて連載され、完結しています。

物語の舞台は、直径12万キロメートルの人工天体アポシムズの荒廃した地表です。アポシムズには超構造体殻に覆われた地底空間が存在し、50世紀前に地底との戦争に敗れた地表人はアポシムズでの正当な居住権を失ったまま、危険な自動機械が徘徊し、人間が機械化してしまう感染病さえ蔓延する極寒の地表に捨て置かれました。

主人公のエスローは、白菱の梁という集落で生まれ育った青年です。ある日、地底から来た奇妙な自動機械タイターニアと出会い、リベドア帝国という強大な敵に襲われて仲間を失います。エスローはタイターニアによって正規人形と呼ばれる強力な戦闘体に転換され、リベドア帝国の皇帝スオウニチコを倒すためにタイターニアと共に旅立ちます。

途中、地底信仰国イルフ・ニクの姫である正規人形のケーシャや、元リベドア帝国兵の転生者のワサブなど、様々な仲間や敵と出会いながら、エスローとタイターニアは世界の真実に迫っていきます。彼らの目的は、七つの弾丸と呼ばれるアポシムズの管理システムにアクセスできるアイテムを集めることです。しかし、その過程で彼らはアポシムズの秘密や、タイターニアの正体についても知ることになります。

『人形の国』は、弐瓶勉の代表作『BLAME!』や『シドニアの騎士』と同様に、独特の世界観と緻密な描写で魅了する作品です。登場人物たちの感情や成長、壮大なスケールの戦闘シーン、謎に満ちた設定など、読者を引き込む要素が満載です。また、作品の中には『BLAME!』や『シドニアの騎士』との関連性を示唆する描写もあり、弐瓶勉の作品世界の広がりを感じることができます。

弐瓶勉の作品らしく、世界観が非常に独創的で魅力的だと思いました。アポシムズという巨大な人工天体の地表と地底の対立、人間が機械化してしまう感染病、正規人形という強力な戦闘体など、SF的な要素が満載でした。特に、アポシムズの管理システムやタイターニアの正体など、物語の核心に迫る設定は、読者の興味を引きつけるものでした。
登場人物たちの感情や成長が描かれている点も良かったと思います。主人公のエスローは、仲間を失った悲しみや復讐の念、正規人形としての使命感など、様々な感情を抱えながら、タイターニアと共に旅を続けます。彼は、仲間や敵との出会いや別れ、戦闘や危機、世界の真実など、様々な経験を通して、人間としての強さや優しさを見せてくれます。また、タイターニアやケーシャ、ワサブなど、他の登場人物たちも、それぞれに個性や背景があり、エスローとの関係や物語に影響を与えていきます。
最後に、戦闘シーンが迫力があって素晴らしかったと思います。正規人形や自動機械、転生者など、様々な戦闘体が登場し、それぞれに特徴的な能力や武器を使って戦います。弐瓶勉の緻密な描写と動きの表現で、戦闘シーンは臨場感やスピード感があり、目が離せませんでした。特に、エスローとスオウニチコの最終決戦は、壮大なスケールと衝撃的な展開で、物語のクライマックスを飾るにふさわしいものでした。

弐瓶勉の作品が好きな方や、SFアクション漫画が好きな方には、ぜひおすすめしたい作品です。

人形の国 全巻セット

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