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新宿方丈記・45「CHEWING GUM!」

若い頃はあんなに、毎日と言っていいほどライブハウスに通っていたのに、今では年に何本、というくらいすっかりご無沙汰してしまっている。それに、ライブに行ってあんなにワクワクしたりはしゃいだりすることも、なんだか気恥ずかしい。いつの間にかそんな年齢になってしまったのか。本と映画、それにレコード・CDはあいも変わらずだけれど、ライブは一度足が遠のくと、なかなかねえ…。危うくそんな、つまらない大人(!)みたいなことになりかけていたのだけれど、昨年12月に観た「さらば青春の新宿JAM」で、一挙につまらなくない不良中年にカムバック!見事に目が覚めた。ただ、映画館までの道のりは予想外に遠く、ライブどころか映画でさえ見逃すところだった。なかなか上映時間と都合が合わなくて、新宿は断念。もう、スケジュール的にも無理かあ。でも、なあ。観られないと思うと未練タラタラ。諦めきれない。だったら観ろ、自分。というわけで池袋まで出かけた。久々のロサ会館、あの懐かしい昭和の感じがいいんだよねえ。などと席に着き、勝手に(あくまでも勝手に)期待しないで見始めたのだけれど、「僕はコレクター」をバックに明治通りを疾走するスクーターを見て、心が踊らないわけがない!怠けていた自分を大いに反省した。楽しかったよ!素敵だったよ!音楽って、一瞬であの頃に戻れる。ほんの一瞬でも、「見ない」に針を振りかけた自分を深く反省。これ、観なかったら無事に2018年は終わらなかったかも。そのくらい私にとっての一大事だった。なんの前触れもなく、ただただ素直に心を揺さぶるんだもの。反則だよね。結局19週続いた最後の上映まで追いかけて、5回観た。大した数じゃない。でもまあ、なんて楽しい5ヶ月間だったことか。JAMに色とりどりのチューインガムの雨が降っていた。そうさぼくが好きなのはリグレイチューインガム!好きなものは幾つになってもやっぱり大好きだ。青春の思い出はいつも甘くて切なくて、愛おしい。そして私はまた、ライブハウスに通い始めたのさ。



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