5分でわかる!私達の服は誰が作っているの?“ラナプラザビル崩壊事故”について
こんにちは、MODALAVAインターンのannaです。
前回は、最近よく耳にするようになった「エシカルファッション」について、ご紹介しました。
「ストライプインターナショナル」さんの、「エシカルファッション」への動きを感じるCMのほか、いくつかのエシカルを意識しているブランドをピックアップしています。
近年、このようにブランドの取り組みを通して、地球環境や労働環境に対してのアプローチを行う企業が増えてきました。
服は一着作るのにも、植物や動物・水、そして生地を切ったり、縫いあげる生産者の人がいらっしゃたりと、たくさんの地球と人のパワーを使っています。
”ただ自分が着たい”と思う洋服を買うだけではなく、今後長く着るかどうか、どんな素材を使用しているのか、考えるとそのアイテムへの愛着が更に湧きそうですね!
しかし、なぜ近年「エシカルファッション」がここまで注目されるようになったのでしょうか?
実は、「エシカル」という言葉が世界中で注目され始めたのはここ6~7年。
#whomademyclothes ー「私の服は誰が作ったの?」というハッシュタグでの写真の投稿が、Instagram等のSNSで広まったことがきっかけです。
世界中からこのハッシュタグに集まる写真には、インスタグラムでよく見るファッション投稿がたくさん集まっています。この「#whomademyclothes」のタグをつけることにどんな意味があるのでしょうか?
普段、私達はファストファッションに対して、「どこで、誰が作っているのか」を気にすることはあまりないと思います。
そこで、このハッシュタグをつけることで、「写真に写った洋服がどのように生産されているのか」という生産背景についての疑問を促すアクションを示しているのです。
出展:© 2019 Forbes Media LLC. All Rights Reserved.
ブランド名が書かれているハッシュタグや文章をこの「#whomademyclothes」を投稿することで、そのブランドに「私の服は誰が作ったの?」と、疑問を投げかけることができます。この声が企業に対して、生産背景を消費者に意識させるきっかけになるのです。
SNSの力で、企業が変わっていく時代。
前回紹介した、「ストライプインターナショナル」さんも、この「#whomademyclothes」の一つの答えとして、「#imadeyourclothes」―「私があなたの洋服をつくっています」という、実際の生産者を工場等で撮った写真をあげているアカウントを作りました。
「エシカルファッション」へのニーズが大きくなってきているのも、このようなSNSでの運動が大きく広まったことから、多くの人が注目し始めたのです。
そもそも、なぜこの#whomademyclothes の運動が始まったのかというと、その発端になった事故があります。
出展:©FASHIONSNAP.COM
それが、「ラナプラザ工場崩壊事故」です。
2013年、バングラデシュ・首都ダッカの近くにある、「ラナプラザ」ビルが崩壊しました。
このビルは違法増築を何度も繰り返し、ビルの壁に亀裂が入っていることを労働者は知っていました。しかし、労働者の声は上には届かず、崩壊する危険性を把握したうえで、工場の管理者は無視し、操業させ続けました。
崩壊の日、多くのミシンの振動が地震のように重なり、亀裂が入ったビルはついに崩壊しました。
この悲劇的な事故によって1,100人以上が亡くなり、2,500人以上の負傷者が出ました。
大規模な事故の責任の所在はどこにあったのでしょう。
一見、この工場を監督していた管理者が、加害者に思えます。しかし、その管理者が“無理やり働かせよう”とさせていたのは、工場の利益を第一優先にしたためです。更に、多くの利益を生み出すため、工場を動かしていたのは、世界規模の大きなファストファッションブランド達でした。
ファストファッションは、低価格で大量に生産することで、利益を生み出しています。
そのためには、工場でのコストを最低限抑えることを強いてしまうことがあります。
普段、多くのファストファッションを消費する生活の中で見えなかった事実が、この事故をきっかけに世界中に知れ渡りました。
この「ラナプラザビル崩壊事故」は、“安く簡単に手に入る洋服”に対して、「安く買える分、工場で働く人達が苦しい思いをしている」という問題に一石を投じることになったのです。
あまりにも多くの人の命が引き換えとなったこの事件から、ヨーロッパを中心に署名活動等が行われ、労働者に対しての環境改善が一歩前進しました。
現在、この事故が起こった4月24日を、「ファッションレボリューションデイ」とし、毎年世界中でキャンペーンが行われています。
このキャンペーンの中心組織・「ファッションレボリューション」は、この悲惨な事故を二度と起こさないために、世界中でこの事故を知ってもらうための映画や、「エシカルファッション」を推進するイベント等を多数開催しています。
ファッションレボリューションサイトはこちら!
「ラナプラザビル崩壊事故」のインパクトは、日本でも大きな波紋を広げました。
近年では、企業や多くのブランドが、生産背景を見直した洋服を作るようになり、ファストファッションに対して、懐疑的な声が聞こえるようになってきました。
そのようなニーズを受けて、実際に大企業もエシカルに取り組むようになってきました。
例えば、90年代からオーガニック素材を使用し始めていた「H&M」も、活動を年々加速させており、2018年度には製品の半分以上がリサイクル・持続可能な素材で作られるようになりました。
H&M 持続可能性についてのサイト(英文)
ここまで、読んでくださった方の中には、「エシカルファッションのために何かしたい!」と思ってくださっている方もいると思います。
そんな方には、ぜひ毎年4月後半に行われる「ファッションレボリューションウィーク」で行われる、いくつかのイベントに参加することをおすすめします。
内容は、毎年開催直前に発表になりますが、有名企業の登壇者から直接話を聞けたり、エシカルファッションブランドを知れたり、気軽に参加できるイベントが勢ぞろいするのが、ポイントです。
いつも着ている服を大切にすること、新しく買う服についてしっかり考えること。
これも大切な「エシカルファッション」です。
ぜひ、自分なりの「エシカルファッション」を見つけ、二度と悲惨な「ラナプラザビル」のような事故を起こさない社会を一緒に作りましょう!
【参考サイト】
ラナプラザ崩壊事故
1127人が犠牲になったアパレル史上最悪のビル崩壊事故の真相
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