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クラシック音楽♪

みなさん、こんにちは、ヨウです。
プロフィールにも書きましたが、私は音楽が好きで、特に愛してやまないのがクラシック音楽です。クラシック音楽を題材にしたマンガやアニメ、ゲームなど色々ありますが、今回はこれまでの私の体験から、クラシック音楽の楽しみ方をご紹介したいと思います。主に、どんな曲をどんな演奏家で聴けばいいか、に焦点を当てています。かなりの長文になりますが、みなさんのお役に立てれば幸いです。


きっかけ


私は学生時代、オーケストラでフルートを吹いていました。その頃からクラシック音楽を聴くようになりました。
クラシックの面白さというのは、それぞれの作曲家の表現方法(メロディ・リズム・管弦楽法・構成など)や、指揮者、オーケストラによる違いを楽しむことだと感じています。クラシックを聴くことによって、高級感を求めるとか、頭がよくなるとか、胎教にいいとか、確かにそのような側面もありますが、そんなことは実際のところどうでもいいと思っています。

演奏家による違い


まず、「同じ曲でも演奏家によってそんなに違うのか」という疑問があります。そのとおりで、演奏家はとてつもなく重要です。何が違ってくるかというと、色々ありますが大きくは以下の3つになります。
1.テンポ
2.バランス
3.音色
演奏家は、作曲家が書いた「楽譜」を基に演奏します。しかしそれは今から200年以上も前に書かれ、読み取りづらかったり曖昧だったりします。またそれ以上に、演奏家がその曲の演奏を通して何を表現したいかによって、テンポもバランスも音色も変わってきます。この違いを楽しむことこそ、クラシック音楽の醍醐味であるといえます。

クラシック音楽の分類

交響曲

オーケストラによって演奏される大規模な楽曲が多く、通常は4つの楽章から構成されています。第1楽章はテンポが速くドラマティックで、第2楽章はそれと明確なコントラストを為し、ゆったりした美しい楽想が多く、緩徐楽章と呼ばれることが多いです。第3楽章は3拍子で、ユーモラスだったり少し皮肉感を出したり、スケルツォと呼ばれることが多いです。第4楽章はフィナーレと呼ばれ、全曲の終結であり、クライマックスを目指して高揚し、盛り上がって終わります。

管弦楽曲

交響曲以外のオーケストラ作品で、副題が付いていることが多く、ビゼーの「カルメン」、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」など多数あります。

協奏曲

ピアノやヴァイオリンなどの独奏者がオーケストラと組んで演奏する作品です。通常は、交響曲からスケルツォ楽章を抜いた3楽章形式になっています。

室内楽曲

ごく少人数での演奏で、ホールではなく室内ほどの大きさが適当なため、こう呼ばれます。代表的なのは弦楽四重奏で、ヴァイオリン2人、ヴィオラ1人、チェロ1人で演奏します。

器楽曲

ひとつの楽器で演奏する曲です。ピアノ曲が多く、それ以外の楽器の場合は、大体ピアノの伴奏が付きます。

声楽曲

合唱とオーケストラの大規模な作品で、演奏時間が3時間以上になる場合もあります。

ソナタ形式


西洋の概念に「二元論」というものがあります。愛と憎しみ、男と女、善と悪、光と影など、対立する2つの要素で物事を説明する方法です。また、「弁証法」も西洋の特徴のひとつで、2つの要素がぶつかり合ううちに、互いが相手の中に入り込み、最後には一体化してしまうという理論です。この「二元論」と「弁証法」を音楽の世界に持ち込んだものが「ソナタ形式」と呼ばれています。音楽を作る上での基本的な型であり、俳句でいう「五・七・五」のようなパターンであるといえます。
ソナタ形式は基本的に、2つの対照的な主題(メロディやリズム)を持っています。二元論同様、ひとつは男性的で勇壮な力強い性格、もうひとつは女性的で繊細で優美な性格。この2つの主題が、次のような形で発展していきます。
提示部―展開部―再現部―コーダ
提示部では2つの主題が提示されます。
展開部では主題が激しく変形・変奏され、大きく転調し、音楽がドラマティックに発展します。
再現部は2つの主題が再現されますが、提示部に比べて落ち着いた感じになります。メロディこそ同じですが、第一主題・第二主題ともに寄り添うような調整に転調しているためです。弁証法でいう一体化の部分といえます。
最後のコーダはこれまでの主題を中心に、楽章を終わりにするためのエンディングの部分です。
実は、クラシック音楽の多くの曲がこのソナタ形式で書かれています。逆にいうと、これさえ知っていれば、どんな曲でも理解できるようになるといえます。

作曲家


 クラシックの作曲家は数多くいますが、私が特に好きな作曲家を、いくつかの作品とおススメ演奏で紹介します。

♪バッハ(ドイツ)

ベートーヴェン、ブラームスとともに「ドイツ三大B」と呼ばれ、「G線上のアリア」「主よ、人の望みの喜びよ」などの有名作品があります。
私が愛してやまないのが、「マタイ受難曲」です。この曲は新約聖書のマタイによる福音書の、キリストの受難を題材にした曲で、独唱・合唱・オーケストラによる大きな規模を持ち、演奏時間も3時間を超えます。しかし内容は深く、コンサートで聴いたときの感動は他の作品を隔絶しているといえるでしょう。クラシックの中でも最高傑作と評されることのある曲です。CDではクレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団ですが、実演ならば、鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンを強力に推薦します。

♪ベートーヴェン(ドイツ)

クラシックの代名詞といっても差し支えない、偉大な作曲家です。耳が聴こえなくなるというハンディを抱えながらも、最後まで傑作を書き続けた、その生き方までも尊敬したくなる偉大な人物です。「運命」「田園」「月光」「エリーゼのために」など、多数の有名曲があります。また、交響曲第7番はドラマ「のだめカンタービレ」の主題曲に使われ、有名になりました。
私が特に好きなのは、「第九」と呼ばれ親しまれている、交響曲第9番「合唱付」です。日本では年末によく演奏される、フィナーレで独唱・合唱も加わる大規模な作品です。CDはなんといっても、フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団です。モノラル録音で音質もよくありませんが、ベートーヴェンの情熱をこれほどまでに具現化した演奏は、他に見当たりません。実際のコンサートでは、小林研一郎指揮日本フィルが熱い演奏を聴かせてくれます。

♪ショパン(ポーランド)

「ピアノの詩人」と呼ばれるショパンは、ノクターンやワルツが有名で、ピアノを習ったことがある人なら弾いたこともあるのではないでしょうか。
ピアノ曲である「スケルツォ第2番」が美しさの極みです。特にこの曲の第二主題は弱音で弾かれるピアノが静謐さをたたえ、水に反射する光のようです。ポゴレリチというピアニストの演奏がおすすめです。

♪ヴェルディ(イタリア)

「椿姫」「アイーダ」などの有名オペラの作曲家。オペラについては別の機会で取り上げようと思っていますので、今回は別の曲を。
イタリアの文豪マンゾーニの死を悼んで作曲された「レクイエム」は、モーツァルト、フォーレのレクイエムと並び、「三大レクイエム」と称えられています。独唱・合唱・オーケストラ付の編成で、演奏時間も2時間以上です。特に、2曲目の「怒りの日」が有名で、「新世紀エヴァンゲリオン」や「バトル・ロワイアル」のBGMとして使用されています。CDでは、チェリビダッケ指揮ミュンヘンフィル、コンサートではチョン・ミョンフン指揮東京フィルが素晴らしいです。

♪ブルックナー(オーストリア)

彼の曲はメロディックな美しさというより、立体的、建築的な美しさが強いため、CMなどで使われる有名曲はありません。しかしその交響曲は神秘性さえ感じるほどの音響効果を持ち、作曲家の中でも特異な存在といえます。
交響曲第9番が素晴らしく、特に第1楽章の終結部は、まさに神の降臨を感じさせます。ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団、スクロヴァチェフスキー指揮ザールブリュッケン放送交響楽団が出色の演奏です。

♪ブラームス(ドイツ)

ハンガリー舞曲第5番が有名で、よくCMなどに使われています。ベートーヴェン亡き後、その伝統を受け継ぐのはブラームスしかいないという周囲からの期待に応えるため、彼が最初に発表した交響曲第1番は、着想から20年もかかって完成しました。しかし私は、そうして完成した曲が彼の個性を殺してしまっていると感じます。なぜなら次に書かれた交響曲第2番は、作曲に要した期間はわずか4ヶ月で、内容もゆったりくつろいだ気分を感じさせながら、かつ充実もしており、それが彼の他の作品にもあてはまるからです。
私が大好きなのは交響曲第4番です。ブラームスの最後の交響曲であり、全体的に悲しみに満ち、同時に儚い美しさを持っています。ブラームスはこの曲で、ベートーヴェンや他の先代が作り上げたソナタ形式に疑念を投げかけています。二元論なんか信じられるものじゃない、この世界は白か黒かとはっきり割り切れるものではなく、灰色もある、という思いを、晩年になって作品に反映させています。通常ソナタ形式で書かれる第4楽章では、「パッサカリア」という古い時代の変奏形式を使っています。低音部は同じフレーズを繰り返し、中音部以上が様々なドラマを展開していく形式で、繰り返しと変容、それこそが人生の真理であると、ブラームスはこの楽章を通して表現しています。チェリビダッケ指揮ミュンヘンフィルが、この曲の内容を最もよく表した演奏です。

♪チャイコフスキー(ロシア)

「白鳥の湖」「くるみ割り人形」、弦楽セレナード、ピアノ協奏曲第1番など、美しいメロディをたくさん書いた作曲家です。
交響曲第5番は、ベートーヴェンが築き上げた交響曲の形式に忠実に則り、甘美なメロディや勇壮さにも事欠かない、極めて分かりやすく、完成された交響曲です。演奏は、他の指揮者とは一線を画したチェリビダッケ指揮ミュンヘンフィルを推薦します。

♪ドヴォルザーク(チェコ)

交響曲第9番「新世界より」で有名です。
チェロ協奏曲は、このジャンルでは第一に指折られるべき傑作だと思います。演奏は、チェロ独奏アンゲリカ・マイ、ノイマン指揮チェコフィルが本場物の面目躍如たる個性的名演です。

♪エルガー(イギリス)

「威風堂々」や「愛の挨拶」といった曲が親しまれています。
ドヴォルザークを除けば、彼のチェロ協奏曲はチェロ奏者にとって非常に重要なレパートリーです。ブラームスの交響曲第4番と似ているかもしれませんが、深い悲しみの中に美しさを備えた名曲です。チェロ独奏イッサーリス、ヒコックス指揮ロンドン交響楽団がソロ、オケのバランスの取れた推薦演奏です。

♪シベリウス(フィンランド)

「フィンランディア」、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第2番などが有名です。
交響曲第3番を好きな人はあまりいないようですが、私は大好きです。通常より短く3楽章までしかありません。フィンランドの凍てついた荒涼とした大地を、まさに彼の曲は連想させてくれます。ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団が素晴らしい演奏です。

♪ラフマニノフ(ロシア)

ピアノ協奏曲第2番、第3番が有名で、非常にロマンティックなメロディを持った作曲家です。ドラマのBGMに使われる機会も多く、名前は知らなくても曲は聴いたことがあるという人も多いと思います。
交響曲第2番は、ピアノ協奏曲ほど知名度はありませんが、ラフマニノフの個性がよく反映された作品です。特に第3楽章は夢見るような美しさで、ディズニー音楽のよう(?)です。冒頭のクラリネットの長いソロが感動的で、一度聴いたら忘れられません。まだ理想的な演奏には出会っていませんが、ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団を挙げます。

♪ショスタコーヴィチ(ロシア)

1975年まで生き、交響曲を15曲も書いた作曲家。調性が曖昧になってきた時代で、いわゆる現代音楽も多く書いたため、私はあまり好きではないですが、交響曲第5番は特によく、「カッコいい」という言葉が当てはまる名曲です。ムラヴィンスキー指揮レニングラードフィルが素晴らしい演奏です。

クラシック音楽を聴くこと


私にとってクラシック音楽を聴くことは最高の喜びです。このために生きているといっても過言ではありません。コロナ前はほとんど毎月、コンサートホールに足を運んでいました。コロナが終息した今は、3ヶ月に一度ほどです。生演奏からはCDにない迫力や、ホールの残響が生み出す楽器同士の音の溶け合い、ハーモニーが体感できます。チケットの値段はオーケストラや指揮者によってだいぶ変わりますが、自分が今まで聴いた経験から、絶対にいい演奏になると期待できる場合は、最も高い席を買います。それだけの価値があるからです。
何かひとつでもこだわりのある趣味を持つことは、人生において最高の幸せではないでしょうか。

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