完璧なモバイルバッテリーを求めて
こんにちは。今回はモバイルバッテリー界隈の現状と、自分的に理想なモバイルバッテリーについて考えていきたいと思います。
なぜ完璧なモバイルバッテリーを求めるのか
そもそも完璧って？と思った方も多いと思うのでまずはここから書いていきたいと思います。私はUSB規格や、USBケーブル、ACアダプタなどに興味があり、結構気を遣っています。ガジェットが趣味というのもありますが、製品を安全に長く使うことを重要視しているからです。
近年USB界隈は混迷を極め、ECサイトでは素性の知れない粗悪品が数多く出回っています。そういった粗悪品を、安いからと購入した結果、電車の中でモバイルバッテリーが発火した事件などがニュースになっているのが現状です（あと女子高生がよく使っているハンディファンとか）。そういった事情があってか、Appleの修理サービスでは、製品が故障した際に、ちゃんと純正の充電器を使っていたかしつこく聞かれることもあるとかないとか。こういった背景があり、私は結構充電周りに気を遣っています（具体的にはApple純正のACアダプターを使う、USB-IF認証品のUSBケーブルを使うなど）。
このような事情があったため、必然的にモバイルバッテリーにもこだわる流れになったのです。この記事では独断と偏見で理想のモバイルバッテリー（以下モバブ）について考えていきますが、内容に間違いがある可能性があるので鵜呑みにしないようお願いいたします。
最近、モバイルバッテリーを使う機会は減ってきているものの…
最近では、スマートフォン内蔵バッテリーの大容量化、公共交通機関などでの充電環境の充実などによって、モバブを使用する機会は減ってきているので、そもそもモバブなんていらないという方も多いのではないでしょうか。私も実際そうで、特にApple Silicon Macの電池持ちが素晴らしいため、無くてもなんとかなる、という日が多いです。しかし、旅行に行く時や、停電、災害が起きた時などを考えるとやっぱり持っておきたいところです。容量ですが、携帯性を考えると5000mAh〜10000mAhのものを一つ持っておくと、いざという時安心できるかなと思います（いつ起こるかわからない災害を警戒して、20000mAhのものを持ち歩くのは流石に辛いです）。このような理由から、やっぱり一個は持っておきたい、というのが現状です。
”完璧”の条件
ということで、完璧というか、理想のモバブの条件について話していきたいと思います。箇条書きにすると、
信頼できるメーカー
PSEマーク
使えなくなったらJBRC加盟店などで回収可能
USB PD対応
PDOが規格に準拠している
エネルギー変換効率に優れる
USB-C以外のポートがついていない（ごちゃごちゃしていて面倒だから）
給電と充電のポートが別々になっていない（コンセントプラグ形式のものを除く）
などが挙げられます。測定環境が無くわからないものもありますが、これらの大半を満たすものが私の理想のモバブとなります。まず、信頼できるメーカーです。USB関係で私がよく読んでいるHanpenBlog（https://hanpenblog.com）さんやPurudo.net（https://ぷるど.net）さん（とても詳しくACアダプタなどをレビューしたり、USB規格についての記事を書いているすごい方々）の記事を見る限り、モバブに関しては本当に信頼できるメーカーは皆無と言ってもいいのではないでしょうか（レビューに登場していないメーカーもありますが）。多分一番有名なメーカーであるAnker（元は怪しい中華）は、USB-CレセプタクルからUSB-Aに変換するアダプタをモバブに同梱するという、とんでもないことをしています。他にも色々ありますが、それでもそう言ったところに目を瞑れば、先進的な製品が多く、デザインも割といいので、大半の人は満足できるかと思います。次にCIOですが、購入者の充電できないといった問い合わせに対してHanpenBlogさんの記事を参照するよう返信したりと、そもそも企業としてあり得ない対応をとっている上に、（レビューによると）製品自体も規格に準拠していなかったりして、購入したくないメーカーの一つです…日本のメーカーのようですが、おそらく中身は怪しい中華で、それを専門の知識がない人が売っているのではないでしょうか（あくまで私の予想）。CIOの新作を喜んでレビューしているyoutuberの方々を見ていると、知名度と知識は反比例しているようで呆れてしまいます（先程紹介した方のブログを読む等、情報収集をしてほしいです）。youtuberはとりあえずおしゃれでミニマリストっぽい感じならいいのでしょう。それを見て購入する人も多いので、充電器やバッテリーの事故は命に関わるという倫理観を持ってほしいものです。他にもエレコム、belkinなどのメーカーも、イマイチな印象です（belkinは後述）。それでも、前述したメーカーの製品は、名の知れたメーカーであり、保証がついていたりするので、本当にまずいことになることは（多分）ないと思います（散々酷評してすみません）。本当にまずいのは聞いたこともないようなメーカーの製品であり、事故になっても連絡がつかないこともあるようです（違法なモバイルバッテリーの発火相次ぐ、大半は安価な海外製…電車内で「ボン」と爆発音https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230817-OYO1T50004/）。また、cheeroというメーカーは、過去にリコール騒動を起こしたことがあります。電車の中でカバンから火を出したくないなら、最低限名の知れたメーカーのものを買うべきです。怪しい中華製品は、事故っても保証してくれません。この辺については消費者庁のページ（https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_020/）を参照しておくと良いと思います。
さて、だいぶ長くなってしまったので次に行きたいと思います。JBRCについてです。JBRCについて簡単に説明すると、家電量販店などで使わなくなった充電池等を回収する取り組みを行っている団体です。現在のところ、充電池等を回収してくれる自治体はごく一部で、使わなくなったモバブを処分したい場合、JBRCに回収してもらうことになります。しかし、なんでも回収してくれるわけではありません。JBRCは、会員となっている企業の製品しか回収してくれません。先程のBelkinは、これに加入していません。なので処分する場合、かなり面倒なことになると思います。他にも、AukeyやRAVPower、よくIT系の媒体でレビューされているUGREENなどの、所謂怪しい中華も会員ではありません。JBRCの会員リストに載っている（モバブを売っている）メーカーをかいつまんで紹介すると、Apple、Anker、エレコム、オウルテック、CIO、シリコンパワー、マクセル、バッファロー、MOTTERU、ラスタバナナなどがあります。あまり拘らないよという方はここに載っているメーカーのものを買っておけば基本的に大丈夫、というような顔ぶれですね。ということで、壊れたり消耗したりしたモバブは売れないし家に置いておくのも怖いので、JBRC会員以外の企業のモバブは買いにくいという話でした。
どんどん進んでいきます。PD対応ですが、最近のUSB-C搭載の製品は殆どPDに対応しており、これに対応していないと充電速度がかなり遅くなったりするので、大前提ですね。PDOはちゃんと規格通りになっているかということです。これも基本の基本ですね。
USB-C以外の端子を搭載していない、というポイントも結構大事だと思っています。いまだにUSB-Cの他にStandard-Aをオマケかというように付けているメーカーが多いですが、正直要りません。USB-Cですべてこと足りると思います。夜中充電しておくとかならともかく、今時出先での充電にUSB-Aを使う人なんているんでしょうか。さらに最悪なのはMicro USBがあるヤツです（昔Anker PowerCore 10000を使っていました。辛かったです。）。Androidがあのやわな端子を採用していた頃、lightningを採用していたAppleはすごいと思います（逆に辞めるのは遅すぎましたが…)。昔Arrowsを使っていた時があったのですが、充電がUSB 2.0 Micro-Bプラグで、よくケーブルをダメにしていました（懐かしい）。やはり充電端子はある程度丈夫で、リバーシブルというのが重要なポイントですね。また、Standard-Aなどがついていると、同時使用時の出力配分がややこしくなるのも問題です。同時使用によってUSB-Cポートの最大出力が落ちてしまう場合などは、PDの規格にも沿わないものだと思います。ということで、時代遅れの端子はいらないので、USB-Cだけにして少しでも安くしてほしいです。
USB-Cポートが、入力と出力の両方に対応しているのも大事です。別々になっていると、毎回確認しなければいけないのでめんどくさいからです。入力と出力が別な製品は殆ど見かけませんが… ただし、別々の方がいい場合もあります。iPhone 15シリーズ発売当時によく耳にしましたが、充電しようとすると逆にモバブがiPhoneの充電を吸い取ってしまうことがあります。この場合は、プラグが一体化しているモバブを使うと良いと思います。
例えば、ドコモセレクトで扱っているオウルテック ポケットチャージャー01Mは、仕様表を見たところ入力はACのみでした。これならiPhoneがモバブを充電することもないでしょう。
結局どのメーカーがいいの？
色々話してきましたが、最終的にはどこの製品を買うのがいいのかという話になってきます。個人的に信頼できるのではないかと感じたメーカーは…
オウルテック（MOTTERU)
mophie
belkin(Apple storeで販売されているもののみ）
今のところこのくらいです。オウルテックについては、そんなに悪い話は聞いたことがないですし、JBRC会員リストにも載っています。また、ドコモセレクトに選ばれるくらいなので信頼できるメーカーなのではと思います（ドコモは割と堅いイメージ、中華スマホなども今は取り扱っていません）。MOTTERUについては軽く調べたところ、本社所在地がオウルテックと同じであり、オウルテックの新ブランドみたいな感じだったので子会社のようなものだと思います。双方ともAnkerやCIOのようなスタイリッシュな感じではなく、割と丸っこい感じのモバブが主流です（可愛いカラーバリエーションで女子ウケを狙っているのかな？）。製品は割と昔ながらの感じもしますが、抑えるところは大体抑えているのでいいのかなと思います。少し気になったところもあります。オウルテック（https://www.owltech.co.jp/product/aao39187-aao39190-aao39204）、MOTTERU（https://motteru.co.jp/product/mobile_battery/10000mah/mot-mb10002-ec/）ともにそうなのですが、Standard-Aの表記がごちゃごちゃで、Type-Aになっていたりします（Type-AはUSB-Aの総称なので、USB-Aと表記するべき）。
次にmophieです。mophieの製品は、Apple store以外では殆ど扱っているのを見たことがなく、同ブランドのモバブのレビューなどもおそらく皆無です。ではmophieの何がいいのかというと、Apple storeで販売されているということに尽きます。Appleの電源周りに対するこだわりは誰もが認めるところだと思います。純正ACアダプタなどは、USBオタク的に言えば、"正しい充電器"であると言えます。先程紹介したデュアルUSB-C電源アダプタのレビューを、Purudo.netさんのブログで探してみるとよくわかると思います。そして、Apple storeではAnkerなどのモバブは扱われていません。扱われているのは、mophieとbelkinのものだけです。この事実が、すべてを物語っているのではないでしょうか。Appleのこだわりようからして、Apple storeで販売するサードパーティ製品は、たぶん厳格なテストを受けているはずです。規格準拠や付属品が迷走しているメーカーのバッテリーやACアダプタは、Apple storeで取り扱ってもらえないのではないでしょうか。ただ、Apple storeで扱われているAnker製品はあります。モバブではありませんが（ここ重要）。
さて、Apple storeで販売されている製品には信頼できそうだという話をしましたが、そろそろ気になってくる方もいるのではないでしょうか。なぜJBRC会員リストに載っていないmophieとbelkinの製品を推すのかを。これには意外な顛末があるので、次の章で説明したいと思います。
なぜJBRC会員ではないmophieとbelkinの製品を薦めるのか
さて、Apple storeで取り扱いがあるmophieとbelkinの製品ですが、私は、これらはかなりいいのではないかと思いながらも、やはりJBRC会員ではないということが気になっていました。そもそもAppleはJBRC会員だから、Apple storeで売っているサードパーティ製品もAppleの管轄にならないか？などと考えたこともあります。気になってAppleに電話してみることにしました。実は私はすでにmophie製のモバブをApple storeにて購入し使っていたので、それをネタにAppleサポートに電話して聞いてみました（暇人かな）。電話した結果、Appleにはリサイクルプログラムなるものがあり、Apple storeで購入したバッテリーなどを引き取ってくれるというのです（私が無知なだけだった）。実際にこのサービスを利用したことがないのでよくわかりませんが、2001年4月に施行された「資源有効利用促進法」に基づいて、宅配やApple store持ち込みを利用して無料でApple製品を引き取ってくれるというものです（https://www.apple.com/jp/recycling/）。ここでは、Appleで購入したサードパーティ製品も引き取ってくれるとのことです。先程belkinを信頼できるメーカーとしてリストアップしましたが、Apple storeで販売しているもののみと書いたのはそういうことです。belkinのモバブはAmazon等でも買えますが、Apple store以外で購入したbelkin製品はApple リサイクルプログラムの対象ではありません。なので、belkinのモバブはApple store以外では買わない方がいいです。
結論
これまで完璧なモバブについて様々な面から考えてきました。現時点で私が信頼できるのではないかと感じたメーカーは、オウルテック（MOTTERU）、mophie、belkin（Apple store）となりました。belkinについてですが、Apple storeで販売されているモバブは、BoostCharge Pro Magnetic Power Bank 5K（MagSafe対応）のみとなります。私はiPhone用のMagsafeにはこれといったメリットを感じておらず、失敗作（失礼）だと思っているので多分買うことはないと思います。
一方でmophie製のモバブは５つほど販売されています。その中でも価格的、容量的にいいかなと思ったのは、mophie powerstationです。
容量は10000mAh、1ポートの最大出力は20W止まりなのはちょっと残念ですが、お値段はApple store取り扱い品にしては安めだと思います。値段は上がりますが、容量20000mAh、1ポートの最大出力が45Wとつよめのスペックを持つmophie powerstation proなどもありですね。ただ、この製品は、本体の充電に使うポートが決められており、どのポートからでも充電できるという利便性は失われています（残念）。
コンパクトなものが欲しいなら5000mAh、20Wのmophie powerstation miniもあります。
mophieは割とラインナップ豊富で、いい感じです。
オウルテックですが、独自に売っているものと、ドコモセレクトで売っているものがあります。似たような性能なので、好みの差だと思います。ポケットチャージャー06Mあたりが、5500円と価格的にもいい感じです。
MOTTERUですが、オウルテックのものと同じような性能であるため、これも好みの差だと思います。
オウルテックより少し安いようです。どちらも2年保証が付いています。
製品を紹介してきましたが、これらのメーカーの製品はレビューが少なく、詳しい検証をしたわけではないので、あくまで信頼できると思われるという話です。また、そこまでこだわらないのであれば、とりあえずAnkerなど名の知れたメーカーのものを買っておけばいいのかなという感じです。
ここまで色々ディスったりしてきましたが、特定の団体、個人を誹謗中傷する意図はなく、あくまでユーザー目線でブログを書いています。また、繰り返しになりますが、間違った情報があるかも知れないので、鵜呑みにすることのないようご注意ください。
備考欄
今回は、モバイルバッテリーについての話題でした。スマートフォンやPCが普及してだいぶ経ちますが、充電周りに関してはいまだに混沌としているような気がします。有名メーカーのものでも、付属品がおかしかったり、基本的な仕様に適合していなかったりすることが結構あります。怪しいブランドの製品さえ買わなければ、いきなり大事故になることはよっぽど稀だと思いますが、数万〜数十万円のデバイスの命を預けることを考えると、充電にはこだわった方がいいと思いました。この記事をきっかけに少しでも充電に関心を持っていただければと思います。
ここまで結構な文字数を書いてきましたが、ここからは購入したモバブのレビューを書いていきたいと思います。たいした内容ではないですが、お金が余って仕方がないという方は読んでいただけたらと思います。
おまけ：mophie powerstation miniのレビュー
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