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やりがいを求めて彷徨う人たち

転職希望者の面接していると転職理由が『今の仕事にやりがいを感じなくて』とか『やりがいのある仕事を求めて』みたいな事を言われる。自分は行動を起こした結果として【やりがい】が〈あった〉〈なかった〉という認識で、行動を起こす前の段階での【やりがい】を求めた事が無いのでこういう人達の心情が理解できない。「やりがいのある仕事ってどういう仕事だと思う?」と聞いて明確な答えが返ってきた事は今のところ1回も無い。そんな仕事があるなら当の昔にその人はその仕事をやっているだろうし。
辞書で【やりがい】を調べると以下の説明が出てくる。

そのことをするだけの価値と、それにともなう気持ちの張り。
ちなみに今流行りの生成AIでは
やりがいは、仕事や活動を通じて達成感や満足感を感じることを指します。具体的には、自分の努力や成果が認められたり、社会に貢献したりすることで、やりがいを感じることがあります。人それぞれ異なるものであり、自分にとって何がやりがいをもたらすかは個人の価値観や目標によります。
との返答。やはり【結果】に対して発生する感情のように受け取れます。自分の感覚がAIと近いだけなのか、転職希望者が理解せずに使っているかのどちらかなんでしょう。

そこで気になるのが製造業における【やりがい】って何なんでしょう。メーカーの開発者や営業なら『自分たちの作った新商品が大ヒットした!』とかかな?下請け企業の場合だと下町ロケット的な『自分たちの作った部品が宇宙に!』とか?でも、それってほんの一部の会社ですよね。多くの中小製造業は自社メーカーや大手メーカー系のサプライチェーンに組み込まれていない限り、他社メーカーや商社等から仕事を受託して部品製造を行っていると思います。自社でもそうですが、メーカー直での依頼以外の部品については【自分達が作っている部品がどの製品のどこに使われる何なのか】すら分からない物が大半です。機械要素部品と呼ばれる『シャフト』や『ボルト』、『カラー』と言った最小単位の構成部品を中心に、色んな所に溝や穴が彫ってある四角い板とか曲げたパイプや棒など、商社の担当者に聞いても「何に使うのかは自分もよく分からないんだけどね~」って言われる物も多々あります。 うちの会社では芸術作品の様な1点物のような職人や芸術家チックな仕事は殆ど無く、『決められた機械に工具とプログラムをセットして材料投入して決められた形状の部品を生産する』のが仕事です。

会社として【やりがいの発生しうる場】は提供できるが、【やりがい】は提供できない。仕事は用意できるが、それによって【やりがい】を感じるかどうかはやった本人にしか分からない。仕事に【やりがい】を見いだせるかどうかってどんな仕事であれ『全力で取り組めているかどうか』でしかないような気がします。

因みに自分が人生で一番やりがいを感じた瞬間はコールセンター勤務時に20人シフトの曜日でインフルエンザ蔓延で病欠18名発生し、2人だけで営業時間開始から終了まで11時間ぶっ続けで回し切った時かな?20回線ある電話を2人でどうやって回していたのか記憶にない程の忙しさだったけど、終わった瞬間の達成感だけは今でも覚えてます。1人あたり10人分の仕事をこなした筈だが給料は1人分だった。もう二度とやりたくない。


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