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滅びに向かって爆走せよ

【ピエロの手記80  断章68】

人は死ぬ
しかし私は滅びるのだ

滅びは生まれたときからプログラムされていた
知らなかった
そんな予定表があるなんて

夢も希望も
すべての努力も
滅びのためのセレモニーだったのだ

知らないほど強いことはない
私はまじめに学校に通い
それなりに仕事をし・・・
ところがある日
運命の工程表を見てしまったのだ

私は枝を離れた木の葉のように
ひらひらと無限へ落下しはじめた
リルケの詩では
舞い落ちる木の葉は必ず
天使の優しい手にそっと救い取ってもらえるのである
(そう書くほどにリルケの魂は渇いていたのだ)

遠き日に
命がけで生きた
あの憧れは
あの祈りは何だったのだろう

悪魔のようなニヒルが
心を覆いつくしてしまいそうだ

そうか そういうことだったのか
それなら私は破滅に向かって走ってみせる

私よ
滅びに向かって爆走せよ


  ‟悲しいピエロ”


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