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トー横キッズは天使だ

【ピエロの手記81  断章69】       

「親父に何回もヤラれるよりも
 2万円で援交する方がスガスガしいわ」

この高1生のセリフにあなたは何と返せますか
性的虐待のぬかるみにはまり込んで泥だらけなってしまった
彼女の汚れたの制服の下に
あなたは 天使が見えますか

それでもトー横へ逃げる前に
自分の心を誰かに分かって欲しい
持って行き場のない心の闇を
誰かに聞いてほしい そう彼女は思った

勇気を出して生まれて初めて職員室へ行った
「先生!」と呼びかけたら
パソコンの画面から目を離さずに『なんだ』と返ってきた
話をする気は失せた

援交で出会う男たちはみんな優しかった、と言う
天使の羽を貪り食っている男たちが・・
(恐ろしい地獄絵図だ)


久し振りに歌舞伎町にきた
おなじみの場所の夕暮れだ
自分の出た高校はここから10分もかからない
歌舞伎町へ曲がる角のドトールでコーヒーをのんでいた
ふいに見知らぬ女の子がカウンターにいる私の隣にすわった
20歳前とみえた
知らん顔をしてコーヒーをのんでいるとと急にこちらを向いた
「わたし、今夜、泊るところないんです」
おお 直球勝負ときたか
・・・・・・・・
私はホテル代を握らせて、店を出るように促した
遠ざかる彼女のコートの下に
もぎとられた羽の痕を私は確かに認めた

トー横に惹かれるのは無意識に救済を求めているのだ
ホントのことを話しても批判されないのはここだけだ
奪われた天使の羽を捜そうとするもがきなのだ

歌舞伎町を天使の墓場にしてはならない
羽を一緒に探そうとしている大人たちへと繋ぐのだ
自分にできるのは
小さいことだが ❛ある❜


  ‟悲しいピエロ”


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