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涙を止める薬

【ピエロの手記78  断章66】

心の中にとめどなく涙が流れる
外にこぼれないようにぐっと上を向く
それでも
瞼は熱くて もう限界だという

涙を止める薬があれば

でも涙が止まっても
誰かが帰ってくるわけではない
誰かが来てくれるわけでもない

とにかく涙の始末をしなくては職場に戻れない

でも職場で仕事をしていると
早く一人になって
早く一人になって
誰もいないところで
思いっきり泣きたいと思う

死ぬことが許されてなく
涙を流すことだけにしか浄化がない心には
涙を止める薬は いらないか


  ‟悲しいピエロ”


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