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空蝉への恋…夜伽接待、召人、稚児(1) ~帚木の巻より


🌷一夜の慰みの背景

都の雀が、🍈ずんだもん に話してくれます。
他に、🔷は源氏、🔹は紀伊守、🌼は空蝉、🍒は小君、 です。

ずんだもん と すずめ

17歳の源氏は、一夜の慰みのつもりで襲った人妻に、思いがけず恋してしまったの。

それで、弟を手なずけて、今後の文遣いに使おうと工作するの。
この時代、受領階級は、人事権を持つ上級貴族に対して、妻を差し出す 📌夜伽 の接待さえする、とか、

妻の身分を持たない愛人 📌召人 が屋敷の中に公然と存在している、とか、

成人男性が使用人の男の子にも気軽に手を出しちゃう 📌稚児 、とか、

おおらかだったと言われている1000年前のモラルのことが、盛沢山に書かれている段でもあるのね。
それでは、鶏の声に急かされて紀伊守邸を出たところから、お話の続きね。

🌷情交後の恋心

朝帰りの源氏は、二条院に帰るの。
婿入り先の左大臣邸に帰りにくかったのかしらね。
二条院は、源氏の母、桐壺更衣の実家で、帝が御鍾愛の源氏の為に、特に素晴らしく手を入れさせてあるお屋敷ね。

🔷もう逢えないと思うと苦しい。しかし、女の身では、力ずくの逢瀬のことを男の自分よりも更に辛がっていることだろう。

なんて一応女のことも思いやったりするの。
同時に、

🔷すごくいい女、というわけでもなかったのになあ。でも、何だかやたらに心惹かれるなあ。雨夜の品定めで先輩達が言ってた通り、やっぱり中流の女っていいのかもなあ。

なんて思ったりしているの。

🍈なんか、微妙なのだ。

そうは言っても、それからは、参内と左大臣邸の往復だけで、夜遊びにも出掛けなくなって、ずっと空蝉のことばかり考えて苦しくなっちゃうのね。

🍈もう空蝉のところには行けないのか?

🌷方角

内裏から見ると、左大臣邸も二条院も、同じ東南の方角なのね。
紀伊の守邸は、内裏から見て真東の方角で、

最近手を入れた涼しい屋敷だからいかがですか?という進言があって、方違え先として初めて泊まりに行ったの。
それで、夜伽の接待ぐらいの軽い気持ちで空蝉を襲ったら、思いがけず心惹かれてしまった、ということなの。

🍈方角が悪いって何なのだ?

陰陽道で、天一神という神様のいる方角は避けなければいけないようね。

🍈待っていれば、またその方角の日は巡ってくるのか?

そうなんでしょうね。
天一神の周期は60日らしいわ。詳しいことはわからないけど。

🌷小君を召す

でも、源氏は待ちきれなくて、空蝉の弟を文遣いにすることを思い付いて、紀伊守を呼ぶの。

🔷このあいだ見た 故 中納言の子を、私にくれないか。可愛い子だから、側に置きたい。御所に上がる世話もしてやろう。

🔹ありがたいことでございます。早速あの子の姉に相談いたします。

🔷その姉さんは、伊予介との間に、お前の弟でも産んだの?

🔹いえ、もう二年にもなりますが、そんな気配はございませんのです。あの人は、私の父などが相手では気に入らぬようでございましてね。あの人の親は帝のお側に上げたいと思っていたようなんでございます。

🔷気の毒にね。評判は私も聞いていたが、ほんとに美人なの?

🔹悪くはないのでしょうが、年若い継母でございますから、世間の噂になってもいけませんので、私も遠慮しておりまして、よくは知らないのでございます。

紀伊守との遣り取りだけでも、源氏は凄くドキドキしちゃうの。

5,6日して、紀伊守が、言い付け通りに、空蝉の弟を連れて来たの。
子供だから小君ね。
格別美少年というわけでもないんだけど、品のいい愛らしい子なので、側に呼んで親しく話してやると、

小君は、子供心に、この美しい光君のお側に召されたのが嬉しくて感激して、
源氏が姉のことを訊くと、畏まって一生懸命答えるの。
源氏は、多少の罪の意識は感じつつも、作り話をして、姉への手引きを命じるの。

🔷実は姉さんと私は、前から恋仲なんだ。

なんて言うとね、小君は、子供だしね、言われるままに何となく、そんなものかと信じ込んでしまうの。

🌷弟の文遣い

そして、言い含められた通りに、紀伊守邸に戻って、姉の空蝉に、源氏の手紙を届けるの。

🍈小君は空蝉のほんとの弟なのか?

もちろん、ほんとの弟で、空蝉も小君も中納言の子よ。
親に死なれて心細い身の上になった時に、世話する人がいて、豊かな伊予介の妻になった時に、小君も連れて来たの。


(2)に続きます。
動画はこちらです。

                        眞斗通つぐ美






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