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49 なんちゃって図像学 若紫の巻(7)⑧ 山上の宴 後編



・ 左大臣家の迎え

家臣の差し向けた車に乗ろうというところで、頭中将をはじめとする左大臣家子息達のお迎えの一行が到着しました。

「もお!黙ってどっか行っちゃわれるから、お探ししちゃったじゃないですかあ!」「こういう御旅行にはお供しようと思ってるのにい!」
と怒って見せます。

お迎えに参上した左大臣家の子息たち

それから、「こんな美しい花陰ですもの、堪能してから帰りましょうよ」
と言います。

花宴を誘う左大臣家の子息たち


7 頭中将たちとの山上の奏楽の宴

岩陰苔の上に並んで、酒宴が始まります。
落ちて来る瀧水も素晴らしい風情です。

山の桜と瀧水

頭中将は懐中からを取り出して澄んだ音色で吹きます。

笛を吹く頭中将

弟の左中弁で拍子を取りながら、水底に美しい白い玉が沈んでいるという縁起のいい催馬楽を歌って、源氏を称えます。

拍子を取る左中弁

みんな最上級の貴公子達ですが、悩まし気に岩に寄りかかる源氏の不吉な程の美しさとは比ぶべくもありません。

岩に寄りかかる源氏

いつも篳篥(ひちりき)を吹く随身も、を持ち込んでいる風流人もいます。

篳篥を吹く随身 と 笙を吹く人

僧都は自分で七絃琴を持ってきて、「ほんの少しでもお弾き遊ばして、山鳥たちに音楽の何たるかをお教えくださいませ」と源氏に熱心に乞います。

源氏に七絃琴の演奏を乞う僧都 と 山鳥

源氏は、「まだ本調子ではないのですが」と言いながら、さらっと弾いてみせます。
この世を忘れるようなあまりにも素晴らしい奏楽でした。

≪立派な源氏物語図 頭中将たちとの山上の奏楽の宴≫

🌷🌷🌷『頭中将たちとの山上の奏楽』の場の 目印 の 札 を並べてみた ▼

そして、夢のような弾琴の余韻を残して、一行は都に去りました。

・ 残された人々の寂寥

あまりにも眩い人を見送ったので、取り残された山の人たちは、物の数でもないような僧や童子の端に至るまで皆涙を流して惜しみました。

名残を惜しむ名もなき山の人たち

まして草庵の内の年経た人たちなどは、「お美しさといい、御琴のお見事さといい、この世のものとも思われません」と言い合います。

僧都も、「ああ、どうした因縁で、あのような御方がこの煩わしい末世にお生まれになったのか」「それを思うと悲しくてならない」と涙を拭います。


・ 幼い若紫の仄かな思い

若紫の姫君も子供心にうっとりして、「父宮様(兵部卿宮)よりご立派ね💕」などと言っています。

「それなら、あの方のお子様におなりなさいませ」と女房が言うと、こっくりと頷いて、姫君なりの子供心に漠然と「そうなるのかも」と思うのでした。
📖 さらば、かの人の御子に なりておはしませよ
📖 うちうなづきて「いとようありなむ」と思したり

お雛遊びにもお絵描き遊びにも『源氏の君』を作って、美しい着物を着せて大切にします。

この方の子供になるのかもしれないと思いながら『源氏の君』のお人形で遊ぶ若紫

                        眞斗通つぐ美

📌 まとめ

・ 山上の宴後編
https://x.com/Tokonatsu54/status/1711228564643971167?s=20


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