絵本探求ゼミ第1回9月12日

本日のゼミのポイント
1絵本の定義
2昔話の定義
3昔話の特徴について
Ⅰ受講の目的と目標
 私は2019年に絵本セラピストの資格をとり現在高齢者の皆様と毎月一回「絵本の会」を開催しています。今まで全く絵本と関連のない仕事をしていたので、絵本に沢山触れて勉強したいと思いゼミを申し込みました。絵本にたくさん触れ、絵本について知る事が目的です。目標は絵本について自信を持って紹介できるセラピストになる事です。
Ⅱ今日のゼミのまとめ
 A.グループでの自己紹介
 一期からの先輩が2人、新規私含めて3名5名のグループ。新しく入ったメンバーから好きな絵本又は紹介したい絵本について紹介。私は「だってだってのおばあさん」を紹介。mikuさんからはエリックカールの仕掛け絵本「パパ、お月さまとって」を紹介。
 B.ミッキー先生の講義
 今日のゼミで第二期の目標は「良い絵本が選ベるようになる事」「目利きとなる事」と初めにお話があった。では「良い絵本とは」「良い絵本の条件とは?」考える上で1)絵本の定義、2)昔話の定義について講義があった。
1)絵本の定義とは
 1976年のBader・Barbaraの「絵本は、文章、絵、トータルデザインからなり、大量生産される商業製品でもあり、社会的文化的、歴史的な記録であり、そして何よりも子供にとっての体験である。芸術としての絵本は、絵と言葉の相互依存性、見開きページの同時表示、そしてページをめくることによるドラマによって成り立っている。」を紹介された。子どもにとっての体験であるという言葉にハッとした。子どもは活字ではなく絵を読み体験するということを大切にしたいと思った。
 
2).昔話の定義とは
 昔話の定義はオックスフォードのDictionary of folklore1977年に出された定義から
①.伝統的な物語書式に添った語りの散文
②.口承により世代を超えて伝えられるもの
③.作者不詳であること
④.昔話の型はAT型
の4項目を提示され、さらにと昔話絵本の定義を藤本朝巳の「昔話と昔話絵本の世界」、から引用して説明された。『昔話とは発端句をもって始まり、伝聞を示す言葉を添えて語り進めながら、それがまた聞きであることを示し、結末句をもって終わる伝承文芸である。』発端句、伝聞、結末句の3つがそろっていることが大切。
『昔話絵本とは絵本の一形態であり、絵本の中でも物語絵本に属するものである。すなわち文字とイラストレーションという表現形式を用いて、その両者が補いあってある物語を展開し表現する物語絵本である。そしてその絵本の中のテクスト(物語)が伝承されてきた昔話であるのが昔話絵本である。』補い合ってという表現に納得する。
 C.昔話絵本の特徴
 各グループで第1期生から昔話絵本を紹介されミッキー先生からそれぞれの絵本の特徴についてお話があった。
「てんぐのそばまんじゅう」
 昔話の定義は作者がいないというところにありこのお話は作者がいるので昔話の型を使った創作といえる。昔話風にはなっているが昔話とは区別する
「かさじぞう」
  赤羽末吉が最初に書いた絵本。扇の面に絵が描いてある。昔話定義のなかの枠が強すぎる。子供はその話の中に生きていてその話はリアルだと思って聞いている。しかしこの扇面はこの話は作り話だよとずっと言い続けており映画を見ているのと同じ。子供はお話を読んでその中に入り込んで自分はあたかもその世界に生きている体験をしている。この世界から見たら作り物になる。昔話は「むかしむかしからちょきんパチンすとんまでの枠としてとらえており型がある
「かちかちやま」 
 小澤俊夫再話、赤羽末吉絵はゴールデンコンビである。日本昔話の事を一番よく知っている小澤先生と日本で初めて日本神話で国際アンデルセン賞画家賞をとった赤羽末吉さんである。残酷という事についてお話があった。この話は狸がおばあさんをたたき殺して婆汁にしておじいさんに食べさせるという残酷な話。しかしその場面の絵はからっぽの着物を描きおがあさんがいなくなったこと描がかれている。これは昔話の平面性と中身を抜いて語る形式。おばあさんの血みどろの死体を描かない、残酷なことを事実だけを語り、絵も事実は伝えているが残酷なものを残酷じゃないように描かれている。昔話は悪は成敗されなければならない。だけど狸は死んだが狸の死体は描かれていない。
 昔話は中身を抜いて語る平面性が特徴。残酷なことを残酷じゃないように描かれているということ。
「うまかたやまんば」
 馬の足を一本、二本切り取り捨て逃げている場面。足を切られていても馬は二本足でも変わらず走っている。切れたところから血は流れていない。びっこにもなっていない。これを切り紙細工のように語るという。馬が痛がったり、血を流していない、かわいそうだという感情や肉体的表現や精神的な表現を一切語らない。平面的あたかも切り紙細工のように語る。中身を抜いて語ることで残酷性を避けている。
「だいくとおにろく」
 赤羽さんは日本画の画材を使って描かれている。赤と緑がとてもきれい。
結句がないことは小澤さんと松井さんの違いである。松井さんは桃太郎の話が戦意高揚のため、日本がアジア侵略の旗印のように使われたことを踏まて松井さんは昔話の基本よりも子供たちに何を伝えたいかを優先させた。子供のために分かりやすくわけのわからない結句は入れなかった。作り手の意思が反映されている。
「スーホーの白い馬」
 昔話の不特定性ではなく、広い意味でフォークテイル。昔話は名前、場所、特定していない。人物も特定しないで太ったおじいさん、けちなおじいさんとか特徴で語られている。モンゴルに伝わるスーホのお話 
「3匹のやぎのがらがらどん」
 3回繰り返す意味はなんなんだろう。昔話は掛け合いの3回は変えない。同じ言葉で繰り返すのが特徴である。声の文化は繰り返しは退屈ではない。
「ちから太郎」
 この本は田島征三さんの出世作。昔話絵本というよりは力強い迫力ある絵で評価されている絵本。豪快な絵に合った結末句。画家の思いが反映されている。
「みるなのくら」
 12か月の日本の四季が描かれている。禁止されたのに見てしまう物語。鶴女房と同じ。見るなといったのに見て・・欧米ではそこからが課題。連れて帰ってきて結婚してという・・課題解決となるが、日本ではそうはならず行ったきりになる。そこにもののあわれとか日本人の美学が昔話になっている。文化性が出ている。
その他紹介された絵本
「てぶくろ」ウクライナの民話、ラチョフの絵
「わらのうし」
「アリババと40人のとうぞく」
「ねずみのすもう」「くわず女房」
d.まとめ
 リューティの様式論から日本の昔話の4つの要素について
   ①昔話の一次元性 昔話ではあちら側の世界の人物がこちら側の世界に入ってきてそれに対していささかも驚かない。例;「かさじぞう」ではお地蔵さまが歩いてる
 ②平面性ー切り紙細工のように語る、例;「うまかたやまんば」
馬の脚を切っては投げ、切っては投げと絵も語りも切り紙細工のように語りそこには血が流れていたとか馬がうめきましたという表現はない。
 ③抽象的ー平面性を追求していくと抽象的になる。装飾固有名詞を外していくと
抽象的なものになる。それが
 ④孤立性と普遍性に結びついて行く。例;「しらゆきひめ」同じことを何回か継母にされている。同じように3回目とも倒れる。孤立性とは1対1で孤立的にしらゆきひめとままははが対している。1回1回の場面が孤立して切り離されている。昔話の主人公は内面性を持たない。成長していかない。例:「3びきのやぎのがらがらどん」、よいじいさんとわるいじいさんの別々のものとして書かれるが本当は一人の人間の両面もっているもの、それを単純化してわかりやすくして孤立的に描かれている。
 
e:次回までの考えてくること
*昔話の絵はどこまで書いていいのか?
*絵と言葉
*数字特に3
*主人公に末っ子が多いのはなぜか?
 
【感想】
 3時間で10冊以上の昔話絵本の紹介とコメントがあったが、知らない昔話や昔話の中にあるいくつもの特徴を具体的に知り昔話の奥深さをとても面白く興味深く受講できた。 また昔話絵本にするときの書き手と画家の関係、絵と文字の関係性などについても興味深く学びました。昔話絵本に対する認識が全く違うものになったように感じました。来月の宿題で絵本選びをするのはワクワクドキドキ楽しみです。

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