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#12 ベターな金ETF&金投資信託を見つけるまでの長い道のり⑨(信託報酬〈再〉)

結論はこちら↓

金(ゴールド)への投資先として金ETFや金投資信託を利用するのであればコストが低い銘柄に投資する方がより多くのリターンを期待できます。

金ETFと金投資信託のコストの大きな部分を占めるのは信託報酬です。金ETFと金投資信託の信託報酬をざっくりですが前回まで比較してきました。その結果は金ETFの信託報酬の方が低い傾向にあるというものでした。

では、金投資信託をクレカ積立し、得られたポイントを同じ金投資信託に積み立てるとどうなるでしょうか? たとえば、1%ポイント還元されるクレカ積立で金投資信託を月1万円積み立てる。

この場合100ポイント得られます。このポイントをすべてクレカ積立したときと同じ金投資信託に投資すれば合計10,100円の積立ができます。

また、投信マイレージを利用できれば日々の信託報酬をわずかではありますが相殺することができます。

金投資信託10,100円と若干程度相殺された信託報酬
金ETF10,000円と特に相殺されない信託報酬

この両者を比較した場合、長期的には信託報酬が低い金ETFを保有する方が有利なのは間違いありません。

しかし、ポイント込みの金投資信託のリターンを金ETFが上回るのに仮に10年、20年かかるのであれば、金投資信託に投資するのも悪い選択肢ではないように思えます。このことを今回検証してみようと思います。

まず、金投資信託の信託報酬を比較

ETFや投資信託に投資した場合にかかるコストは信託報酬だけではありません。上場にかかる費用、売買委託手数料や監査費用などがかかります。

本来であればすべての費用を算出して検証すればよいのですが、実際にどれだけの費用がかかったのかを算出するのは困難です。そのため、費用の中で大きなウェイトを占める信託報酬のみで比較したいと思います。

今回、検証の対象とするのは次の4本の金投資信託です。この中で信託報酬が最も低いものと金ETFを比較してみたいと思います。

 ・ゴールド・ファンド
 ・iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド
 ・SMT ゴールドインデックス・オープン
 ・Smart-i ゴールドファンド

投資先の金ETFが複数ある場合は、最新のマンスリーレポートの組入比率をもとに加重平均して信託報酬を算出することとします。

これらの金投資信託では資産のほぼすべてを金ETFに組入れています。保有するキャッシュ等を含めて考えても結果が大きく異なるとは考えにくいため、信託報酬の算出に際しキャッシュ等は除外して計算することにします。

ゴールド・ファンド

交付目論見書によると、投資信託自身の信託報酬は0.407%です。

投資先の金ETFの信託報酬についてですが、最新のマンスリーレポートによると以下のように金ETFが組入れられていることがわかります。

  44.3% ISHARES GOLD TRUST(信託報酬0.25%) 
  43.9% SPDR GOLD MINISHARES TRUST(信託報酬0.10%)
   7.0% ISHARES GOLD TRUST MICRO(信託報酬0.09%) 
   4.8% SPDR GOLD TRUST(信託報酬0.40%)

信託報酬を加重平均すると、その大きさは0.18015%(※)となります。

(※) 0.25%*(44.3/100)+0.10%*(43.9/100)+0.09%*(7.0/100)+0.40%*(4.8/100)
=0.18015%

よって、信託報酬の合計は以下のようになります。
 投資信託自身の信託報酬 0.407%
 投資先の金ETFの信託報酬 0.18015%
          合計 0.58715%

iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド

交付目論見書によると、投資信託自身の信託報酬は 0.2585%です。

投資先の金ETFの信託報酬についてですが、最新のマンスリーレポートによると、ISHARES GOLD TRUSTのみを組入れているとあります。

よって、信託報酬の合計は以下のようになります。
 投資信託自身の信託報酬 0.2585%
 投資先の金ETFの信託報酬 0.25%
          合計 0.5085%

SMT ゴールドインデックス・オープン

交付目論見書によると、投資信託自身の信託報酬は 0.275%です。

投資先の金ETFの信託報酬についてですが、最新のマンスリーレポートによると、ISHARES GOLD TRUSTのみを組入れているとあります。

よって、信託報酬の合計は以下のようになります。
 投資信託自身の信託報酬 0.275%
 投資先の金ETFの信託報酬 0.25%
          合計 0.525%

Smart-i ゴールドファンド

目論見書によると、投資信託自身の信託報酬は 0.275%です。

投資先の金ETFの信託報酬についてですが、最新のマンスリーレポートによると、SPDR GOLD MINISHARES TRUSTのみを組入れているとあります。

よって、信託報酬の合計は以下のようになります。
 投資信託自身の信託報酬 0.275%
 投資先の金ETFの信託報酬 0.1%
          合計 0.375%

結果

信託報酬の低い順に並べると次のとおりです。また、参考に証券会社の投資信託銘柄一覧に表記されている信託報酬をカッコ書きで記載します。

信託報酬 0.375%(0.525%)
 Smart-i ゴールドファンド

信託報酬 0.5085%(0.5085%)
 iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド

信託報酬 0.525%(0.675%)
 SMT ゴールドインデックス・オープン

信託報酬 0.58715%(0.407%)
 ゴールド・ファンド

証券会社の投資信託銘柄一覧に表記されている信託報酬とは全く異なる数値が出てきました。厳密に見ていくと信託報酬に多少の違いが出るとは思っていましたが、順位が変わるほど違うとは驚きです。

さらに驚いたのは、一番低い信託報酬が0.375%であること。この数値は国内のどの金ETFの信託報酬よりも低い数値です。

金投資信託の銘柄に国内の金ETFよりも信託報酬が低い銘柄があるのであれば、その金投資信託に投資する方が有利な投資となります。

次の課題

金投資信託に限らず投資信託は、利用する証券会社によりクレカ積立や投信マイレージによるポイント還元率が異なります。

どの証券会社を利用するかが次の課題となります。


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