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#21 〈金地金編〉アルキメデスは叫ばない

聞くところによると、金(ゴールド)の実物というのは本当にずっしりと重いものなのだそうです。

私たちの身近にあるもので重いものとして思い浮かべるものに鉄があります。鉄はかなり重量があると感じます。しかし、同じサイズの鉄と金(ゴールド)の重さを比べた場合、金(ゴールド)は鉄の2倍以上重いのです。

同じく身近なものとしてスマホと比べてみましょう。スマホにはいろいろな機種がありますが、ここでは200gのスマホ(iPhone15 Plus)と同じ重さの金(ゴールド)のサイズを比較してみましょう。

iPhone15 Plusのサイズは幅77.8mm×高さ160.9mm×厚さ7.8mmです。一方、200gの金(ゴールド)のサイズは幅28mm×高さ48mm×厚さ8mm(※)です。

この金のサイズは、iPhone15 Plusを半分にして、さらに半分にして、それをまた半分にしたサイズと同じくらいです。いかに金(ゴールド)の重量感があるかが分かると思います。

(※)田中貴金属工業の200gの金(ゴールド)のサイズ


私は金(ゴールド)の塊(=金地金とかインゴットとか言われています)というものを今まで触ったことがありません。

せっかく金(ゴールド)に投資するならば、ぜひとも金地金を手にしてずっしりとした重みを体験してみたい。最近、こう思うようになりました。

それに手元に実物の資産があるというのはなんとなく安心感を得られるような気がします。

しかし、金地金を手に入れるには次の3つの問題を解決しなければいけません。

1 金地金の真贋をどのように判別するか?(一度も手にしたことがないのに)
2 手に入れた金地金をどのように保管するか?
3 金地金を売却したくなったときはどうすればよいか?

特に、1は昔からある難題です。

今から2千年以上前、キリストが生まれるよりも前、古代の数学者アルキメデスも同じような問題を抱えていました。

彼が住むシラクサ(イタリア半島のすぐ南にある島。今のシチリア)の王ヒエロン2世から、王冠を破壊せずに王冠に使われている金(ゴールド)の真贋を調べるよう言われたのです。

どうやら、王冠をつくった者が材料の金(ゴールド)の一部を着服し、金(ゴールド)のかわりに銀を混ぜて王冠をつくった疑いがあるようなのです。

アルキメデスは悩んだ末に王冠とこれと同じ重さの純金を水の中に沈めて重量を比べ、浮力の違いを利用することで金(ゴールド)の真贋問題を解決しました。

入浴中にこの解決方法を思いつき、服を着ずに外に飛び出し「ヘウレーカ!(分かった!)」と叫んだという有名なエピソードを聞いたことがあると思います。

しかし、現在この方法で金(ゴールド)の真贋を確かめようとすると、コロッと騙され金(ゴールド)のニセモノをつかまされる可能性があります。

それは、アルキメデスの時代とは異なり、現代では金(ゴールド)と同程度の比重をもつ金属が何種類も発見されているからです。



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