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#25 〈金地金編〉試金石法による分析

金(ゴールド)の品位を分析する方法には今まで話題になっていたアルキメデスの分析法(比重法)のほかに試金石法や蛍光X線分析法があります。

試金石法というのは、試金石と試金棒(金合金の棒。18K、14K(1)など金の含有量が異なる金合金の棒がセットになっている)を用いた分析法です。

試金石というのは硯のような形をしていて、これに調べたい金属をこすりつけます。すると、試金石にこすられた痕ができます。

次に試金棒を試金石にこすりつけます。試金石にこすられた痕が同様にできるので、この2つの痕を比較します。2つの痕の状態が同じであれば、調べたい金属と試金棒は同じ組成の金(ゴールド)であることが判明します。


試金石法は金(ゴールド)の品位を分析する方法として古来から使われている方法で手軽にできます。

しかし、金(ゴールド)の含有量が同じでも、こすり方が異なるだけで試金石にできる痕の色合いが微妙に異なってくるとの指摘もあります(2)。

そのようなときは硝酸または王水(3)を加え、両方の痕が同様に変化することを確認することで、両者が同じ組成の金(ゴールド)かどうかを判別することができます。


試金石と試金棒のセットはオンラインショップなどで購入することができますが、濃硝酸や濃塩酸は入手するのも保管するのも大変でしょう。

また、試金石法は金属のこすりつけられる部分が分析対象です。成分が均一な金属を分析するには適していますが、タングステンなどをやや厚めの金(ゴールド)でコーティングしたまがい物の分析する場合には不向きです。

試金石法は金(ゴールド)の品位を確認するには手軽な方法ですが、やや厚めの金(ゴールド)でコーティングされたまがい物を見破るのは難しい方法と考えられます。


(1)18Kとは金の含有量が18/24=75%の金合金のこと。14Kは金の含有量が14/24=58%の金合金。試金棒はこのほか12K、10K、8Kがセットになっていることがあり、金の含有量はそれぞれ12k=50%、10K=42%、8K=33%。

(2)岡田勝蔵『図解よくわかる貴金属材料』日刊工業新聞社(2014)

(3)王水とは金(ゴールド)を溶かすことができる唯一の溶液で、濃塩酸3、濃硝酸1の割合で混ぜて作ることができる。


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