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心筋梗塞と不整脈

心筋梗塞症における不整脈 その臨床的背景と予後との関連
関西医科大学 第2内科 杉浦

【AMI後不整脈】
PVCはCCUでみられる最も頻度が高い不整脈である。
原因は、虚血、ポンプ失調、代謝因子、電解質異常、自律神経因子などがある。
NSVTの頻度は10~40%である。2)

原因は、自動能の亢進、リエントリーである。6)

梗塞巣の大きさや心不全が大きく関与している。

【AMIとVF】
1次性のものは、急性期からの退院率は8割。
心機能低下による2次性のものは、梗塞巣と関係し、院内予後が悪い。

VFを起こしやすいPVCをwarning arrhthmiaと定義されている。
Lownらは5回/分以上、2連発以上、多源性、RonTはVFに移行しやすいと報告している。3)


【上室性不整脈のPACとAMI】
急性期の半数以上に認められ、心ポンプ失調による心房の圧と容量負荷ならびに上室性頻拍症への移行の前兆である。

【上室性頻拍症とは?】
①発作性心房頻拍症   ②発作性房室結節頻拍症
HR→130~220回/分  規則正しいQRS波
原因→虚血、心房筋の緊張による

HR→70~130回/分 規則正しいQRS波
発作性上室性頻拍症より遅いリズムを房室結節リズムという。

【心筋梗塞と徐脈性不整脈】
①房室ブロック
種類は、「房室結節ブロック」「脚ブロック」

房室結節へは、RCAが9割、LCXが1割

右脚、左脚前・後枝は、LADから還流される。
左脚後枝はRCA4PDからも灌流される。

房室結節がRCAまたはLCXより灌流されるため、下壁梗塞で房室ブロックの合併が多い。

広範囲梗塞ではヒス束以下の伝導傷害により脚ブロックや完全房室ブロックを合併する。

②房室結節ブロック
AMIにおける完全房室ブロックは、2~10%と報告されている。
下壁梗塞は前壁梗塞よりも2~4倍である。

【AMIと完全房室ブロック】
広範囲梗塞では、左右両脚、ヒス束以下より以下が障害され、完全房室ブロックが起こる。

【AMIと脚ブロック】
脚ブロックは、急性期の10~30%に発生する。15,16)

右脚、左脚前・後枝は、LADの中隔枝で養われるため前壁梗塞で起きやすい。

右脚、左脚前・後枝の1枝障害は、1枝ブロック
右脚ブロック+左脚前枝ブロックまたは右脚ブロック+左脚後枝ブロックを2枝ぶろっくという。

右脚は傷害されやすく左脚後枝はRCA後下行枝からも灌流されるため頻度は低い。

【EFとPVC】
EFとPVCの重症度と関連はない。

EF40%以上の群
→86例中24例にLown 3-5を認める。

EF40%以下の群
30例中13例にLown 0-2を認めた。

Shulzeらは、AMI入院後期の重篤なPVCは左室駆出と壁運動異常と関連があり、退院後の突然死は重篤なPVCと心機能低下を伴った例に多くみられていると報告されている。



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