毎日に夢を

「ニッポンジンはマジメですネ」
かつて侍が往来し、忍者も潜んでいた日本。
武士は情に厚く、忍者は耐え忍ぶ存在。
そのジャパン魂を、日本人はDNAで知らぬうちに受け継いでいる。

それは毎日の満員電車にて多分に見受けられる。

密度に密度を重ねた密着を。
荒くれる電車の揺らめきを。
他人様の吐息やら、汗だのを真一文字で殺すそれを。
人々は耐え忍び、そして時たまご老人に席を譲ったりなんだりする。

だが、これから働くエネルギーを、出勤時間で消費してはいい仕事なんてできるものではない。

できることならば、爽やかな心地で働き始めたいものである。

しかしながら、働く人がいればいるほど、それは都心であればあるほど人が多いのはどうしようも無い。
ならば、少しでも、わずかばかりでも心を癒す何かが欲しい。

そこで考えた。

〜こんな世の中ご提案〜

朝、人人人の後ろに並んで電車を待つ。
電車がやかましく目の前に停車するも、ドアが開いたら、人人人の壁。
そこの中にまた人が突っ込んでいく。
片道だけの燃料しか積んでいない飛行兵のような心地。
パーソナルスペースなどないほどの密着。
容赦ない揺れ、汗、臭い。
早く目的地に着けと、切に願う。大きな駅ならば、いささか風通しが良くなる。そこまでなんとか頑張ろう。
乗り換えの線が多い駅に到着しそうだ。
アナウンスが車内に響く。
「次は〇〇、〇〇駅。〇〇線をご利用の方はお乗り換えです。」
英語のアナウンスが流れる。
「The next station is 〇〇. Please change here for the 〇〇line.」
そして続けて


「Dream come true.」


こうすれば、なんだか1日頑張れるような気がする。

しかしながら、まだ実現へは遠そうなので、私は周りの人たちを“トトロ”だと思ってやり過ごしている次第。
冬なんかはアウターでみんなモコモコであるから、かなりトトロっぽい。

だけれども、いつか皆夢を抱いて出勤に赴きたいものだ。


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