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ICL体験記〜視力改善手術〜

ICL手術を受けました。全ては快適なバイクライフのために。
手術までの経験や調べた情報をまとめますので参考になりましたら幸いです。


■ICLとは

ICLとはレンズの名称となり、正式には「フェイキックIOL」と言った名称になります。目の内部にレンズを埋め込み、視力を回復させる手術です。

最新鋭の手術と思われがちですが、実は世界的には枯れた技術(1980年代)であり、レーシックより昔からある方法となります。(日本では2010年厚生労働省から認可)

最大の特徴としてはレーシックと異なり「可逆性がある(元に戻せる)」事です。
またレーシックより見え方の質が非常に良く、我々最強度近視クラスでも手術が可能です。デメリットとしては費用が高額(レンズ代が高い)な事が主になるかと思います。おおよそ50万〜80万円と言ったところでしょうか。
自由診療になりますので病院によって差があります。医療費控除の対象になりますので確定申告を行えば翌年の税金負担が軽減され、実質費用は軽減されます。

ICLで老眼を治すことは今後できる見込みのようです、「プレミアム眼内コンタクトレンズ」というヨーロッパメーカーのレンズでは対応が可能とのこと。現在普及しているICLレンズはアメリカのSTAAR社のものです。2024年現在モニター募集を見かけています。


■レーシックとの比較

レーシックは角膜を削る視力回復手術になります。そのため可逆性がなく、失敗時のリスクが心配になります。フラップを作るのでドライアイ悪化も懸念されます。ICLはその反面、可逆性があるので最悪の場合でも抜去が可能です。ここが最大の違いと言えるかと思います。
※ただし抜去も手術なので気軽に戻せる訳ではありません

視力が悪すぎる人や角膜が薄い人はレーシックを受けられませんが、ICLは眼内の隙間によって判定されるので、受けられる判定が別になります。コンタクトで言う-6.0D以上は基本レーシックを受ける事ができませんが、ICLの場合はなんと-15D以上の最強度近視でも対応可能と言われています。

基本はレーシックを受けられないほどの強度近視患者をメインとした施術になり、目が悪い人が裸眼で生活する最後の手段、と言ったイメージです。
※参考までに私の場合は左目が-9.0D、右目が-7.0D+乱視
ガイドラインではICLは-6.0D以上を対象にしているようですが、最近は軽度近視のレンズも出てきています。病院によっては-6.0D以下はICL検討対象ではないとして手術をお断りされる場合もあるようです。

尚、レーシックは名称の知名度こそ抜群ではありますが、現在は安全性をかなり高めたレーシックの進化版「リレックススマイル」が出てきていますので、レーシックを考えている方はこちらも必ずご検討ください。詳細は存じていませんが、レーシックの完全上位互換のようで施術数以外レーシックより何もかもが優れているように思えます。


■ICLの見え方

ICLの見え方ですが、私は手術翌日から両眼1.5まで上がりました。写真的な表現をするとカリッカリに解像しており驚くほど遠方まで鮮明に見えます
私の場合は手術当日も手術完了直後からしっかり見えていました。ただ瞳孔を閉じる薬を点眼されていたので全体的に暗く見えていました。
※当日は霞んでよく見えない方も多いそうですが翌日には安定するとのこと

見え方の質としては非常に満足度が高いです。コントラストが上がると聞いていましたが、成程と言ったところです。野鳥も超がつくほど見える、見つけられる。

デメリットで挙げられるハログレアですが、初日はそれなりに出ていたものの、翌日からあまり出ていません。気になる場合も脳が適応するので、徐々に慣れていくそうです。慣れなので見えなくなる訳ではないようですね。私の場合は夜間の運転にも特に支障はありません。

ただし慣れるまではホールICLのホールの光の輪は時たま見え、邪魔に感じる時が稀にありました。これはかなり神経質な方ですと、もしかするとこれはダメかもしれません。それもあってか、精神疾患を持つ方は確か禁忌だったと思います。ただ1年以上経過した今は本当に意識しないと光の輪が見えていることを意識できないくらい慣れてしまいました。


■ICL手術のデメリット

ICL手術はレーシックなどの目の表面を施術するわけではなく、目の中にレンズを固定します。主な合併症として緑内障白内障感染症が挙げられています。ホールICLになってからは緑内障の発生はないと記載している医院もあり、逆にホールICL以前はかなりの確率で緑内障が発症していたようです。

白内障はレンズが水晶体に接触すると発生してしまうそうです。病院によると、白内障になった場合ICLレンズはついでに抜去しますので特にICL手術済だからと言って追加費用はかかりませんと言われています(病院2か所で同じ回答を得ています)

因みに白内障の手術を受けますとICLのように視力が回復します。レンズは単焦点と多焦点があり、前者は保険適応、後者は現在自費になります。
※先端医療から外されてしまったようで多焦点レンズには保険が効きません
※余談ですが最強度近視の父は「裸眼でこんなに見えるようになるんだったら、もっと早く白内障になれば良かった」と言っておりました(笑)
ICLは白内障手術と似たような部分があり、術後の生活はほぼ同じです。

ただ、ここで問題なのが、人間は寿命までにほぼ確実に白内障にかかると言うこと。強度近視の人は白内障発症時期が早いとされております。人によっては50歳手前で発症してしまうそうで、そうなるとICL手術の恩恵があまり受けられず…と言う理由でガイドラインでは手術は45歳までを限度にしているようです。

感染症に至ってはかなり確率が低い(1/6000程)との事ですが、目が溶けたり失明する可能性があるので絶対に術後の目薬やガイドラインを必ず守るようにしてください。祖母の友人が面倒臭いと言うことで術後の目薬を中断して感染症にかかり、大変なことになったそうです。術後しばらくは目薬と目を触らないようにする管理が大変なため、白内障手術も認知症が出る前に施術すべきとされているそうです。因みに運悪く感染症に罹ってしまってもすぐに病院にかかれば失明することはなく、視力は回復するとの事です(逆に言えば放置すると失明の可能性が高い)

また、レンズを入れてから目自体の視力が落ちた時はもちろん視力が落ちます。そのため視力が落ち切ってからの施術が良いとされています。2年ほど視力が変わらない状態からの手術検討開始がよいそうです。私は30歳頃に視力が安定しました。

また、術後に出てくる視力は予定より上振れ、下振れする場合があります。こればかりは目にいれてみないとわからないそうです。なので最初から2.0を狙って視力が上振れした場合、眼精疲労などで頭痛が激しくなるとの事。この辺りは術前のカウンセリングでしっかり合わせた方がいいです。

普段から過矯正に慣れていないと1.5でも厳しいかもしれません。私の場合、バイクを運転するためコンタクトレンズはずっと過矯正寄りの状態でしたので、医院でも「それであれば1.5で万が一上振れしても問題ないでしょう」との判断でした。
ICLの手術失敗例を調べた結果、レンズ度数の強さで頭痛が取れずに抜去に至った例がありました。私も中学生の時初めてコンタクトレンズを装着した際は、視界が良すぎて頭痛と嘔吐がありましたので、度数の問題(選定ミス)かと思います。
※他のICL失敗例としては通常の施術ミス、感染症対策不足、サイズ選定ミスが見つかりました

後は手術を決めてから実際の手術まで時間がかかる、というデメリットがあります。特に乱視は在庫がなく3ヶ月程レンズが届くまでの待機時間(輸入)があり、届いてから手術日が決まります。コロナ禍の時は大変でしたが今はだいぶ落ち着きましたね。当時、片手間で輸出を担当していたので本当に大変でした…クーリエも止まるし…


■ICLを受ける病院の選び方

費用や立地も当然ながらあると思いますが大事なのは安全性や技術の高さだと思います。技術の高さですが「手術にかかる時間」が参考になるかと思います。ICLはライセンス制になっています(ライセンスがないと手術ができない)ライセンスにはランクがあり、最も高いランクのライセンスは「ICLエキスパートインストラクター」となります。このエキスパートインストラクターは日本に10名程しかいないとの事

どのくらいすごいかと言うと、各病院で手術時間は両眼20〜40分かかると書かれていると思いますが、エキスパートインストラクターの手術は両眼で10分未満でした。手術時間が短い=手術に慣れている、患者の負担が少ない、になります。
私の場合、目の深さが若干浅く一般のライセンス医師では不安があると言われてしまいましたが、エキスパートインストラクターに聞いてみると「もっと浅い人もでも施術は特に問題ありませんが、手術に慣れていない人だとこの目は難しく感じるかもしれません」と言うことでエキスパートインストラクターの先生にお願いしました。

私の場合、実際の施術時間は多分両眼で6分くらいでした。何が何だかわからない内に手術終了。とにかく早い。そして他のブログなどで見る術後の症状もありませんでした。術後直後からハッキリ見えるし(これは個人差がかなりあるようです)、切開跡はわからないし、目の違和感は翌日から何もなく、うっかり目を触りそうで逆に怖かったです。

単純に運が良かった可能性もありますが、手術時間が短い、と言うのはお金を出す価値があると思いました。あれを30分耐えるのはちょっとしんどいかな…
詳しく後述もしますが施術は痛くはありませんが、レンズを入れる際押されるような不快な感じがあります。痛みは顔に貼ったテープを剥がす時だけでしたので皮膚の痛みだけになります。痛みを怖がる必要はあまりないと思いますが、あの独特の不快感はもういいかな…

我慢するからコスパ優先!そんな考え方もアリだと思いますが実績数はチェックしておきたいところ。個人的にはライセンスを発行するか否かの試験に当たったら嫌だなぁ…と思ったので当初からインストラクター以上の方にお願いするつもりにはしていました。ライセンスは上位ランクからエキスパートインストラクター>インストラクター>認定医となります。


■費用について

私の場合はコンタクトレンズの中でも度数が強すぎるのと乱視があったため、全然割引がなく、大量まとめ買いなどでなんとか節約しても1日で両眼300円程かかりました。それもドライアイでワンデーしか使えず…

これを365日で109,500円。10年だと100万円以上の出費。実際は運転する時だけ使用するように節約していましたが、土日だけでも年間32,400円。白内障を早めの65歳発症として30年とすると100万円弱。

実際はICL手術後は毎年検査が必要になりますが、利便性と経済性を考えた上で場合によってはコスパがいいと思いました。
※私の場合は唯一完全に適合する度数のコンタクトレンズが廃番になったのも大きなきっかけでした



■手術を受けたいと決めたら


2回の適応検査が必要となります。数週間前からのコンタクト使用制限がありますので病院の指示に従って検査を受けてください。
ここでは目の病気がないか、受けられる目の形をしているか、を検査します。

瞳孔を開く目薬をするので帰り道にはご注意ください。運転は絶対ダメです。老眼状態を疑似体験できるので私は面白かったです。スマホ見る時はメガネ外してちょっと距離取ると見えます!

2回検査することでレンズ選定の度数の精度を上げます。目に入れてからの交換は大変ですので、ここはきっちり制限を守るべきです。私の場合はきっちり守ったお陰もあったのか、術後は左右で見え方が全く同じになりました。

そして実は私、最初の病院では2回目の検査で落ちています。「ギリギリレンズが入らない」と言われています。が、別の病院や同病院1回目の医師には「問題があるようには見えません」と言われております。前述のとおり、手術に慣れていないと難しい形状の目をしていたから自信がなかったのだと思います。ある意味親切ですね。

そこでSTAAR社のICLレンズではなくプレミアム眼内レンズであればサイズ展開が豊富なので入るレンズがありそうだ!とわかり、プレミアム眼内レンズを扱っている別の病院を探して受診したところ、「STAAR社のICLでも全く問題ないのですが…」とかなり困惑された感じで言われ、結局STAAR社のICLになりました。

私の目は手術を受けた医院での浅さの最下限からはかなり離れています(全然問題のない厚み)。ただしガイドラインとは異なっています。これはあくまでエキスパートインストラクターだからこそできる設定のようです。ガイドラインは見直されることがあり、以前には範囲が拡大された歴史がありますので、今後私の目は正常範囲内になる可能性もあります。

因みにですが判定に落ちる時に「あなた、眼球が小さいのよ」と何度もいわれました。別の病院で「はあ?!目が小さいって言われたんですか?!」とスタッフと医師とで複数人にかなり驚かれました。「小さいんじゃなくて、眼球内のスペースが浅いんですよ。全然意味が違います!」とかなり怒りながら言っておられました。確かに今思うとかなり失礼な発言でもありますし、根本的な意味あいが違います。しっかり病院を見分けることが大事なようです。
※怒っていたのは、ICL普及に本気で取り組んでいる医院だったから、だと思います



■1年以上経過して

術後1年以上経過しました。トラブルなしどころか、想定外のメリットが生じています。

・コンタクトレンズより見え方がきれい
うまく表現できないのですがコンタクトレンズより見え方が綺麗です。眼鏡とコンタクトレンズで同じ視力が出ていても、コンタクトの方が見え方は綺麗ですよね?ICLはその更に上位互換と言った感覚です。

視力が更にアップした
半年経過でたまに2.0が出るようになりました。これは想定外!
尚、覗き込む型の視力測定は瞳孔が暗所くらい狭まるので0.6くらいになります。と言うことは私の暗所視力は0.6と言うことですね。これは最強度近視特有の現象ですので強度近視の方は関係ないかと。

肩こりが軽減した
視力が悪いことはこんなにも目の負荷になっていたのかと、驚きます。かなり肩こりの頻度は下がりました。白内障手術を受けた父も同じことを言っています。

・ドライアイの軽減
目薬を差す機会が一気に減りました!

被りますがまとめると私の場合、
■デメリット
・金銭面の負担が大きい
・数回の通院時間を捻出する必要がある
・術後の目薬の管理が本当に面倒くさい
■メリット
・裸眼で生活ができるので毎日の生活がかなり楽になった
・眼鏡を処分できた(記念に(?)1個だけ残しています)
・目と肩の負担がかなり軽減した
・コンタクト代が一切不要になった
・星が裸眼で見える
・冬季の通勤時、眼鏡が曇ってイライラすることがなくなった
・震災時などの天災遭遇時のリスク軽減
・運転が非常に楽になった(先がクッキリ見える)
・旅に出る時の必需品が大きく減った
・衛生的な水がない環境でも野宿やキャンプが可能になった
・旅の途中で仮眠ができるようになった※
※長距離旅をするバイク乗りにはこの恩恵はあまりにも大きすぎる!

今はノーメンテナンスでただただ裸眼視力のいい人として生活しています。北海道ツーリングでは遠くまでハッキリクッキリ見えたので今まで以上に楽しむことができました。もし遠くにヒグマがいた場合も、以前より発見が早まると思います。オフロードも走るので発見の遅れは命取りになりますので。


尚、手術前〜手術当日、術後の記事も書く予定はしていますが。術後はプライベートな内容が多くなる場合、課金制にするかもしれません。

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