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余計なことをやらない

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 鬱々と過ごしていると、何かしなければならないという焦燥感が募るというのは、よく知られたことである。
 この問題に対する解として、「まずできることからやってみる」というものがあって、こちらもまたよく知られている。
 ただ、これは実はけっこうな曲者なのではないかと僕は思っている。

 というのも、確かに何もできないよりは「何かをした」という達成は得られる。それがステップになって次の段階に進むことができる可能性があることもわかるし、実際にそういうことはある。
 しかし、できるからといっていまやる必要のない、優先度の低いことに手をつけて、結果戦線を横に拡げてしまい、前には進めずにっちもさっちもいかなくなる可能性だってあるのだ。

 そりゃあ休むのが本当は最適な解だろう。しかし、社会はそれを許さないし、何かをしなければどんどん追い詰められていく。
 どうせ、できることはたかが知れている。
 ならば、やってもやらなくてもどちらでもよくて、やったからといって次のタスクに展開していかないことをやるほうがいいのではないか。

 僕は多動傾向があるので、ついつい無自覚に戦線を拡大してしまうのだけれども(結果不義理をすることになり、体調は悪化する)、もうそういうのはやめて、部屋を片付けるとか、ゴミを出すとか、公共料金を支払うとか、そういった単体完結型で次のタスクを生まないことで以て「何かやる」をクリアしようと思う。
 

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