のろのろとした助走
055
先週あたりからまた睡眠障害がひどくなり、「あー、これはまた鬱の波がきたな」と感じている。
かのどくとるマンボウ北杜夫も書いていたように、鬱の時期というのはきちんと服薬をしてなんとかやり過ごすしかない。
とはいえ僕は流行作家ではないから(これは皮肉ではない)、そうも言ってられない。いわゆる標準治療をしていたら餓死してしまう。
ゆえに、別の方法として、非常にのろのろとではあるが助走をつけることにした。
いまの僕の場合、鬱の波はそう振幅が大きくなく、完全に無になってしまうほどではない(底は打っている)。だから、比較的短期間にこの状態は脱するとあたりをつけて、「心の準備」をするわけである。
具体的な方法は参考にならない可能性が高いので書かないが、生活をほんの少しずつ、人間に向かって傾斜させていく。
この、「ほんの少しずつ」の匙加減が難しく、僕も完全にコントロールできるわけではない。
ただ、今回は幸いにもうまくいって、昨日から少し人間化に成功し、大事な〆切をひとつ落とさずに済んだ。
これで、「失敗」という負の実績を回避したので、焦らなければもう少しなんとかなるかもしれない。
ただ、ここで無理をすると確実に転ぶ。何度も転んだ僕が言うのだから間違いない。
健康な人から見れば、異常なのろのろ運転が続くが、これは人間に向かって助走をしているのだ。
僕を嗤うものは豚に喰われるであろう。
(これより下に文章はありません)
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