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増える 『にわかバイヤー』 と『素人発信』

先日公開した《アメジストとアメシスト》という記事が思わぬ反響があって、情報発信することはやはり大切だなと感じました。このちょっとした違いを知っていたらお店を見る見方が変わるかもしれませんよー、というヒントを投げかけてみた内容だったんですが。

そしてこのnote がきっかけでフォローしてくださったファッションスタイリストさんの記事がとても印象的で、この追記を書くことにしました。どんな話だったかというと、最近素人が ”スタイリスト風” に働いてる、そして少なからず迷惑被ることがあるという話。

正直全く同感です。

これってファッション業界に限らずどこでもいろんな分野で起きているんじゃないかなと思うんです。つい先日も、長年某出版社で働いていたエディターの友人と話していたんですが、彼女は今 ”にわかライター” が多すぎて最近自分がライターと名乗るのは嫌になってきたと言っていました。確かに「誰でも旅先で記事を書いてライターの仕事をしよう」みたいなキャンペーン広告が流れていたのが記憶に新しいです。

まさにバイヤーも同じくで、”にわかバイヤー”で溢れている 笑。

何か買えば確かにバイヤーですからね、そしてそれっぽくSNSで発信する。
でもこれって個々が自由に働きやすくなったっていう時代の流れだと思うんです、良く言えば誰にでもチャンスがある時代。

石を扱うバイヤーに関して言うなら、例えば初心者であるほど仕入先の情報を安易に発信してしまう。私も含めそれは一つのアピールの方法ですが、私は自分の中に ”この一線はこえない” というルールがあります。どういう影響があるかというところまで考えなければいけません。

でも全てを含めて時代性というか、今は煙たがられることもゆくゆくは当たり前になるかもしれません。速報やライブ配信は打ってナンボの時代。でもなんでも最初は保守的な人から白い目で見られるものですからね。

アメシストとアメジストの違いを書いたのも実はこういう理由が有ったからなんです。

顧客様の為にもそういうことはしない、という考えの会社もとても納得できます。もし自分の仕入れ先が何でもSNSにあげてしまったら正直困りますからね。

でも今は情報社会です。ネットに転がっている情報に末端消費者を含めた誰もが簡単にアクセスできる。逆に情報発信をしない人たちは10年20年後に仕事あるのかな?とも思います。この競争社会で生き残らなければならないんですから。

ちょうど私と同世代の30代は独立したり、企業にいたらマネージャーやチーフになっている中堅どころ。社会人としてネットとスマホの普及と共に成長してきた世代ですし、私の場合は企業と個人との両方で、合わせて13年間、買い付けの仕事をしているのでどちらの立場もよくわかります。

以前とあるショップさんの立ち上げ時に、タイの仕入先の石屋さんを紹介した事があったんです。早速次の日「仕入れてきました!!」と。その方はそれまでにバイイングの経験もないけれどバイヤーと名乗って海外直輸入を売りにしていました。

私が紹介したお店も、取り扱う商品も初めてなはずですが、お客様には馴染みの仕入先的な言い方で売っていて。その人にビジネスマインドは有ったと思いますが、とても嫌悪感を感じたのを覚えています。

でもその直後、今度は私が仕入れに行った時、店主が『MOEMI のビジネスパートナーって人がこないだ来たんだけど、汚くて売れなさそうなものばっかり買って行ったよ、あれ大丈夫なの?』と教えてくれました。だれが見ても素人だったと。

それでそうだよなって思ったんです。結局差はそこで出てしまう。石には無知の一般のお客様がターゲットなら成り立つけれど、逆に知っている人からは相手にされないでしょうね。

でも皆最初はそうですよね、仕事を始めたばかりの頃は、お客様の前では知っている振りをして後から先輩に聞いたりモーレツに調べたり。それってその仕事で成長する為に通ってきた通過点で誰でもそうだったと思うんです。

結局はそういう中でも、お客様やお仕事で関わる人たちにプロの仕事だと評価してもらえるように、自分が一番切磋琢磨しないといけない、というのが私の結論。そしてこうして自分の考えやフェアな情報を発信するということもです。

石の販売やジュエリー、ハンドメイド業界だって始めたばかりの人は沢山いてそれを応援してくださるお客様もいる。日本に帰国し、初めてミネラルショーにトライしてみた時、一番最初に石を買ってくださったのは各ミネラルショーで常連の素敵な白髪の男性でした。

その方が選んだのは一見なんの変哲もない水晶のエッグで、ただ、中のレインボー(中の亀裂が虹色に見える)が猫の形に見えるものだったんです。実のところ、そもそも売るつもりがなくて、ただ「中に猫が見えるんですよ〜」って話のネタに置いておこうと、わざと、かなり高くしていたものでした。

でもその方は「自分はいつも初出店のお店では応援の為に何か買うことにしてるんだよ、頑張りなさいね」と言ってくださった、その値段のつけ方は高いと絶対に理解していたはずです。応援しよう、育てようという気持ちにとても感動しました。

お客様を不安にさせない為に外を固めるのも良いですが、私はわからないことはわからない、自分も成長中だと、誠実に正直に対応したいという考え方です。とりわけ MOEMI SUGIMURA を応援してくださる方にはいつもそうでありたいと思っています。

《 追記 : 2023年1月 》
海外での天然石仕入れに興味のある方からのご質問、天然石を使ったジュエリーブランドのコンサルティングのご依頼が増えてきました。そういった新しいチャレンジをしてみたいと考えている方々へ何かの参考になればと、日頃から発信している stand.fm の音声配信にて、海外仕入れ事情を少しお話ししています。よろしければお聞きください!

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