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トレンドは2年後にやってくる!

今日は私のトレンド嗅覚のお話です。
以前インスタグラムにもチラっと書いたのですが私は独立する前の7年半、素材を扱う会社に勤めていたので、職業病というか素材に対する嗅覚がぐっと発達しました。私が流行を作っているわけではもちろんないんですが、自分が良いと思う、欲しい、という直感的な感覚に従うと、ありがたい事に結構当たるのです。これが自分がバイヤーに向いていると思える大きな理由。

例えば今回の春の展示会で沢山のルースをご用意している翡翠。ジュエリーとしては2年前の2017年から販売を始めたんですが、その年、アパレルブランドをやっている友人がこの色を春のコレクションのテーマカラーにしたので「お!いい流れだな〜」と思っていたら、そのすぐ後コンバースがパステルグリーンのALL STAR を発表。そしてこの色が2018年のトレンドカラーとして世界中に発表されました。トレンドカラーは実シーズンの2年前に設定されますので、まさに狙わずしてドンピシャのタイミングだったわけです。

そしてこの春は素敵なガラスのジュエリーブランドSRISRI さんが翡翠の色をテーマにしたんですね。海外在住のデザイナーさんが博物館で見た古いものから得たインスピレーションの一つだそうです。展示会も行かせていただいたのですがどの作品も凛として美しかったです。

このどちらにも共通な ”ヒスイの色”  それはいわゆる濃いグリーンのインペリアルジェイド (皆さんが思い浮かべる ザ・翡翠の色)  ではなく、淡いセージ色のようなグリーンなんです。私が2年前リリースしたのも、ミャンマーで沢山仕入れたのも、このアップルグリーンのような優しい色。私が先駆けたとかではなく、同世代のクリエーター、しいては世の中が自然とこの色に惹かれているんですね。

それともう一つ、若い世代は宝飾品離れしていて、高額なジュエリーを買わないしそもそも魅力を感じない。ターゲットが若い層の大手ジュエリーブランドで翡翠を扱うところはほぼないですよね。なぜって、まず天然で濃いグリーンの翡翠はとても高いですから。下のピラミッド型のヒスイはA貨といわれる天然色。ツヤを出すワックス処理しか施されていません。そしてこれはやっぱり良いお値段なのです。

私自身も市場調査はしますが、例えば毎シーズンコレクションをチェックしてそれを追ってジュエリーを作るとか、あらかじめトレンドカラーを把握するという事はしません。自分の感覚に任せると、結果、時代を反映している事が多いからです。ピンときているその時点では流行ると思っていないんですけどね。そこから実際広まっていくまでには、だいたいいつも2年ほどかかります。

例えば海外でブランドを立ち上げた時からずっと使っているローマングラスは、帰国して日本で販売を始めてから2年経って、今年大手ジュエリーメーカーがコレクションとして打ち出しました。私が出した頃は、アジア雑貨屋にシルバー製の質の悪いピアスなどが安く売られていたくらいで、金色を合わせてスタイリッシュにしたものはほとんど見かけませんでした。

そもそもこのメーカーが昨年秋に出した新作もガーデンクォーツ、ローマングラス、モザイクオパール、グラフィカルな瑪瑙と、私の扱う石のフルラインナップみたいな事になっていて正直悶々としてしまいましたけどね 笑。  

あるいはバイカラーサファイアも、私が気になり始めた時、スリランカでは「変んなものばかり探してる子だね」と物珍しがられ、日本に帰国して日本の石屋さんに聞いたら「それは売れるかわからないから怖くて仕入れられないわ〜」と言われ、でもとうとう今年はNHKに取り上げられました。これでニッチな市場だったのが一気に広く認知されるきっかけになりましたよね。これにもちょうど2年です。

当初はそもそも"バイカラーサファイア" という概念があまり定着していなかったんです。今でこそ「バイカラーバイカラー」って売り込んでくるくらいですけど、マーケットでも大きな宝飾展でもトルマリンの事でしょ?と何回跳ね返され理解してもらえなかった事か。

それに、2色といってもそれが上の写真のようにカラーレスとブルーとかであれば、バイカラーではなくゾーニングと言って、色の薄い部分があるという意味で価値を落とす基準でした。でも私はそれが美しいって心底思っていたんです。

わざわざ品質を下げるとされる色ムラを残して、売りにくいものをカットする人は少なかったですし、あるいは在ってもそれに ”バイカラー”という価値が付いて人気が出る時代が来る とは全く思っていなかったかもしれません。アフリカなどの新しい鉱山が開発されて新しいサファイアが出回るようになったというのもあるでしょうね。

皆さん、試しにインスタグラムで "バイカラーサファイア" と日本語で検索してみてください。そのハッシュタグ自体が使われているのが2017年から。なので遡っていくと古い投稿に行くにつれ私のジュエリーが沢山出てきます。それらをリリースしたのが2017年だったんですが 、実際石を仕入れたのは2015年、2016年。日本で発表したいと思っていたのでバンコク在住の時にはSNSに出さず、しばらく温めていました。

ハッシュタグつけていない人も、インスタグラムをやっていない人ももちろんいらっしゃいますし、石自体は以前からある訳なんですが、やっぱりそこに、一点物のジュエリーというトレンドの流れが見えてきますよね。そのハッシュタグで他にも多く出てくるジュエラーさんが、今回NHK で作品が紹介されていた方ですね。実際お会いした事はないのですが石のセレクトとデザインが素敵なので、私も大好きでいつも投稿を楽しみにしている方です。

このギラライトインクォーツ(パライバクォーツ) オレゴンサンストーンなんかはツーソンショーで多く出ているので、ツーソンが終わった後にインスタのタイムラインに溢れてきます。SNSをしない卸の石屋さんが仕入れてきていた時はそこまで広まらないのですが、今年はますます日本からの個人バイヤーが多かったようで、私の知る限りでも4人が今年初めて行くと言っていました。ということはきっともっといるということですよね。

そうなるとC to Cで一気に拡散する。あるいは長年やっている石屋さんもインスタを始める方が多くなったのでますます拡散される。そして面白いほどに皆さん今年この石仕入れていました!この時点からジュエリーにする人が増えるので、この春夏が一つのブームになりそうだなって思っています。下のオレゴンサンストーンは日本でのカットです。フォルムがとても美しいですよ〜色のむらとキラキラのバランスが最高です!

この2年ていうサイクルは結構色々な所に当てはまるもの。

会社勤めの時にはツーソンの後に L.A に立ち寄って人気のセレクトショップを市場調査してから帰る事が多かったんですが、ツーソンで見たトレンドがL.Aでは既にバーニーズやマックスフィールドの店頭に並んでいて、そのトレンドが日本に輸入されポピュラーになるのには2年かかっていました。

その頃はスマホも無いですから今とは全く状況が違います。敏感な人が自分の必要な情報を取りに行くという点では、今はリアルタイムですが、特に気にしていない人達、つまりエンドユーザーに広く浸透するまでには結局2年はかかります。

まず新しいものに感度の良いデザイナーが目をつけてジュエリーに仕立て販売する。それを真似するデザイナー増えたり、場合によっては大手がコピー品を作り、宝石をガラスやアクリルなどに変えて駅ビルで安く売られるまでになる。それに2年です。それがパーツ類ならば国内メーカーがそのデザインを真似て作り、一般ハンドメイド向けにも売られるようになります。

某大手アパレルで長らくデザイナーをやっていた友人が言っていました。自分が可愛いと思ってデザインしたものって、ちょっと先を行きすぎてて全然売れなかったりする時があって、同じデザインがヒットするのが2年後だったりする。最先端過ぎても一般のお客さんはついてこれない、そこのバランスが難しいと。

一度催事のお手伝いをさせていただいた事のあるジュエリーブランドの方も、「新作って最初に買ってくれるのは顧客さんだけで、2年後くらいに突然売れ出すんだよね」って、それも同じ事。石業界以外でもこの”2年”という括りはよく聞きます。

じゃあなんで自分はそういう流れを早めにキャッチできるのかっていう事を最近よく考えるのですが、まず感受性が高いとは自分でも思っています。おかげで傷つく事も多いですが役にも立つ。

そしてもう一つは、多分石を扱う前にファッション業界を志していた青春時代だったからかな、と今は感じています。なので意識する以前のレベルで直感的に世の中の情勢をキャッチしていたり、過去のトレンドに飽きたりしている。そういう直観力を幼い頃から鍛えてくれた両親に感謝です。だから私の選んだ石に惹かれてお客様が集まってくれています。

多くの宝石はジュエリーとなって誰かが身につけるわけですから、ジュエリーになった時のデザイン、身につけた時のコーディネートまで想像できるのが理想です。つまりファッションにまで敏感でないといけない。

そういうバックグラウンドだからこそ、セミオーダーやワークショップでは、技術的な事以外にも、お客様の感覚を尊重してちょっとしたアドバイスをさせていただきます。本当の意味で満足いただけるものを作りたいから。美しいものを見たり、ものを作り上げるって楽しいです。それを普段忙しい方達にも、ほんの一時体験してほしいのです。

春の展示会も沢山のルースをご用意してお待ちしております。ローマングラスの新作も沢山ありますよ!オーダーなんてした事ない、という方にこそ是非チャレンジしてみていただきたいし、すでにそれを楽しんでいる方はその一つとして、気軽に遊びにきてください!当日までもうカウントダウンで準備に明け暮れておりますが、来てくださる方に楽しんでいただけるよう精一杯やっています。

皆様のお越しを石と共に、心よりお待ちしております!

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【2019年 春の受注販売会】
▶︎2019年 3月19日(火)〜25日(月) 12:00~20:00 ( 最終日 15:30 close )
ART IN GALLERY東京都渋谷区神宮前4丁目25-3
MAP http://art-in-gallery.la.coocan.jp/access/

上記の時間はどなたでもご来場いただけます。
ぜひお誘いお誘い合わせの上、綺麗な石達を愛でにいらしてください。

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♦︎Jewellery MOEMI SUGIMURA ♦︎ Website/ Instagram/ Facebook

♦︎天然石ショップ SELSHA ♦︎ Website/ Instagram/ Facebook

furuta及び SIRISIRIの公式サイトとインスタグラムより写真を使わせていただいています。



















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MOEMI SUGIMURA

Jewellery Desiner / Gem buyer 宝石を巡る旅が好き。そこにしかない経験とローカルな人たちとの出会いを大切に。 www.moemisugimura.shop

創造するジュエリー

MOEMI SUGIMURA のジュエリーあれこれ。
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