自分から声を出すということ

家から歩いて行ける場所にゆいレール (モノレール) の駅があるので、単独歩行に慣れるのとちょっとした買い物のためによく利用している。
最寄駅はどちらかというと端の方に近いため、乗る時は空いている。
だけど、帰りは県庁前、牧志、おもろまちなどの那覇の中心街から乗るのでどの時間に行っても大体混んでいる。

周りの人に気をつけながら電車に乗り込んだら、鉄の柱か座る場所を探す。
私の場合は荷物と白杖をもって吊り革をつかむと不安定になりそうだしそもそも上にしかないから目で見て探せないためだ。(注意: 視覚障害者と言ってもバランス感覚が優れていて吊り革を掴める人もいます)
だから、立つ時はドア横の狛犬ポジションと呼ばれる場所で柱を掴んで立つ。
足がとても疲れていたり、頭痛や息切れで気分が悪い時は椅子に座る。

混んでいる電車でどうやって場所を確保するか。
答えは簡単、自分から声を出して周りの人にお願いする。
立っていて大丈夫そうな時は「柱を掴みたいので、場所を変わっていただけないでしょうか?」、立っているのが少しつらい時は「どなたか席をゆずっていただけないでしょうか?」と言っている。
声を出す前に場所を譲ってくれる方がいる時も、ありがたく座らせてもらう。

ネット上ではしばしば、優先席の扱いが問題になるけど、私は優先席が探せない時もあるのでどの席かは関係なく自分から声を出してみるスタイル。
「優先席は専用席じゃない」「誰が座ってもいい」というなら、他の席も同じ。
もしそれで椅子を譲ってもらえなければ、一回電車から降りて休憩して次の電車に乗り直すつもりでいる。駅員さんに降りる時の介助を頼んでる場合はそうはいかないけど。
今の所は譲ってもらえているのでありがたい。
相手はどんな表情をしてるかはわからないけど、先に譲ってもらえた場合も声を出して譲ってもらった時も「ありがとうございます」とお礼を言う。
そして、この方に宝くじが当たりますように!とコッソリお祈りしておく🤣

目が見えにくくて、疲れやすい体で電車に乗るならなりふり構っていられない。
電車の中で倒れたり頭をぶつけたりしたらそっちのほうが気まずいし周りの人もびっくりするはず。
それに、小柄で痩せた女性が杖を持って目の前に立っていたら無言の圧を感じ取る人が多そうだから、素直に「譲ってもらえませんか?」と言ったほうがいいはず。
これは私なりの気遣い。

私みたいに図々しく周りの人に声をかけきれる人は、たぶん日本では少数だから優先席は必要だと思う。だけど、優先席のゴタゴタの話を聞くたびに、席を譲る方も譲ってもらう方ももう少しコミュニケーションを取れるようになったらいいのにと感じる。障害の特性で言葉が話せない人は、ヘルプマークと一緒に協力をお願いしたいことを書いたカードを持ち歩くとかスマホに文字を書いて見せたらいいと思う。

今は、いろんな国から来た、いろんな文化を持った人と共存していく時代でもあるし、「察してちょうだい」だけではやっていけないと思う。もちろん言葉が通じるかという問題もあるけど伝えようとするのが大事、ということ。

SNSの普及で「普通の人間の皮をかぶった化け物」が可視化されて怖い面もあるけど、「変人の皮をかぶった善人」も中にはいるかもしれないし。
別に、言葉を交わしたり目を合わせた瞬間、噛みつかれるわけじゃないんだから。

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