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靴下テロリストは、飛行機に乗れる

「あっ、靴下がない」と気がついたのは、2泊3日の旅行2日目の朝。夏のサンダルからスニーカーに急に履き替えたのが悪かったらしく、靴下を1足しか持ってこなかった。美味しいものをたくさん食べるはずの旅路で無駄な支出は抑えたい、だけど臭い靴下も嫌だ…自分1と自分2が戦った結果、無心で過ごす事に落ち着いた。

日中は、靴を履いているから、誰も私が2日目の靴下を履いてるなんて気づかない。問題は夜だ。脱いだら感じる自分のにおい、あー洗濯したいぃぃ。
ひとまずの対処法は、帰ってきたらすぐに脱ぐ。洗ったら乾きが間に合わないかもしれないから、とりあえず風通しをよくして湿っぽさを飛ばす。次の日は、また無心でその靴下を履く。そうして、やっとの思いで帰りのフライトまでたどり着いた。はず…

が、想定していなかった事態が待ち受けていた。検査場で靴を脱いでる奴がいるじゃないか!!
そう、くるぶしが隠れる履き物は、事前に脱いで検査場を通過しなければならない。よりによってハイカットブーツを履いていた私はバカである。冷静を装い、検査場の寸前で脱ぐ機転をきかせたが、もわっとした空気は消せなかった。あっ、今絶対くさい!きっと誰か気がついたはず、あいつの靴下は3日目だ!って…と恐怖に襲われながらも、勇気を出して検査場をくぐった。ランダム検査にひっかかることなく、飲みかけのペットボトルを出し忘れる事なく、スムーズに潜り抜けた自分を褒めてあげたい。

テレビで見るドキュメンタリーでは、テロリストが靴に麻薬を隠したり、刃物を隠したり。もしテロリストが靴下に、嗅ぐと眠くなる液体や毒薬を含ませて、それがちょっと酸っぱめな匂いだったら??
と想像した。飛行機に乗れてしまうじゃないか!
少なくとも私は、成功した。そして、サバイバルな靴下ゲームを終えた私は自信がついた。靴下の連続3日間は、意外に耐えられた。

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