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マーケターの皆さん、「時代」「世代」「年代」の違いを意識していますか?

このnote記事は、若年層向けマーケティングや、高齢者、子育て夫婦のニーズなど自分とは異なる世代を理解する必要がある人に向けて、書きました。

ちなみにこの記事の要点はタイトルの通りで、「時代」「世代」「年代」の3つの違いを理解し、分解して考えることで、誰でも自分と異なる世代を理解することが出来るようになる、という論旨です。

まず、noteでこの記事を書こうと思ったきっかけがこちら(リンクをたどって読まなくても、先に進めます)。

この記事は、つまるところ「俺おじさんだけど、若者のグループインタビューで、こんな新しい生態を知ったよ! これって知ってた?」と言う内容です。発見された内容は他の調査などでも言及されていることばかりで、特に目新しいものはありません(マーケター側で、過去の若者調査で出て来た特性を真として、それだけを拾おうとするフィルタをかけてしまっている可能性もありますが)。

若者に限らず、自分と異なる世代の消費行動やニーズなどを分析する時に、このように表面的なアプローチでは対象の世代を理解することは出来ません。では、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。

結論から言います。
「世代」「時代」「年代」の3つの違いを理解することが最も重要です。

多くの人はこの3つを混同したまま、世代というものを漠然と考えています。だから、いつの時代も「最近の若者は理解できない」と言われてしまうのです。

3つを、下記のように定義します。

■時代 : 現代の科学技術や社会環境に特有の習慣や感覚、一時的な流行
※科学技術の発展による生活の変化や、社会環境(政治・経済・倫理・法制度など)による意識の変化、一時的な流行など、現代特有の時代性。

世代 : 特定の生年(同じ時代に生まれた)集団特有の性質
※戦争を体験した世代、団塊世代、バブル世代、就職氷河期世代、デジタルネイティブ世代など。生まれてから今まで、どの年齢でどんな体験をして来た世代か。

年代 : 今の個体年齢による特性(思考パターン、行動様式、課題など)
10代の興味の中心はなにか、20代はどんなことを考えているのか、40代はどんな悩みがあるのか、など、寿命や生活様式が極端に変わらなければ普遍的な性質。

例えば、今の高校生の心理やニーズを理解する場合、下記のように分解して考えてみると、時代だけの視点よりも深い洞察が得られるのではないでしょうか(下記は何も調べず適当に書いた例なので、内容はとっても雑です)。

時代
・(親世代の)賃金が上がらないため、消費はコスト削減傾向
・スマホが手離せない生活
・SNSがマスメディア。拡散すると人気者だけど炎上は怖い

世代
・生まれた時からのデジタルネイティブ世代(SNSネイティブ世代)
・アニメやゲームにも、あまりマイナスイメージが無い世代
・やっとSNSが使える年齢になったら、炎上や個人情報やポリコレで締め付けが厳しくなったので窮屈
・ブラック企業での社畜勤務や、不幸な恋愛や結婚生活など、ネガティブな情報に、自分で経験する前からSNSを通じて触れがち

年代
・やっぱり友達(交友関係)が一番大事
・目立ちたくないけど、差はつけたい
・夢中になれるものを見つけたい
・自分の趣味嗜好や価値観の理解者がほしい
・早く自立したい VS 遊びたい&働きたくない

「時代」については、マーケターがまず注目する点ですが、多くの若者分析は、表面的にここだけを見てしまいがちです。若年層のマーケティングのために現代という時代を把握するためには、最新のアプリやサービスやガジェットなどの「ツール」(若年層以外にはマイナーなのも含めて)を使いこなし、流行っているアイテムやファッションだけでなく人物やスポットやアクティビティやハッシュタグなどの「トレンド」を知り(自ら体験し)、さらに現代特有の「時代性」(金銭感覚、スピード感覚、世論の空気感)をつかむことが重要になります。

「世代」については、この世代が生まれた時から今までの社会環境の変化をたどって行きつつ、理解する必要があります。特に、子供時代や学生時代に触れて来た「時代性」の変化や景気の変動は、その後の価値観を決定づけるので、非常に重要です。

「年代」については、年齢による行動パターンは今も少し昔もあまり変わらないので、自分よりも若い世代のことならば昔の自分や周囲の友人の思考や言動を思い出せば、理解が可能です(思い出すのは意外と難しい&ちょっと恥ずかしい)。

最後に言うのもなんですが、これらの3つを駆使して、塊としての世代の特徴をつかんだとしても、完璧ではありません。実際にはデモグラフィック属性(年齢、性別、地域など)による軸でターゲットを分類するよりも、趣味嗜好や興味分野などのクラスタで分類する方が、1to1マーケティングの時代には適していたりします。
しかし、サービスや商品の設計をする際に、特定の世代の特徴を見極めたいというニーズは今後もなくならないと思います。

また、日常生活においても、なんで若いやつは(この老人は)、こういう行動をしてしまうんだろう? と思ってしまうことがあるでしょう。その際には、時代、世代、年代の3つに分けて考える、このメソッドを思い出してみてください。
今の時代や、その世代のせいだと思ってイライラしてたら、万人に共通する年代特有の行動パターンだったことに気づいて、ちょっと歩み寄れることもあるかもしれません。
「子供叱るな来た道だ。老人笑うな行く道だ」と言いますもんね。


最後の最後に自己紹介。

SNSマーケティングとクチコミデータの分析・活用を支援する、アーガイル株式会社を経営して、10年目になります。

noteは最初期の頃に集中して活動してましたが、また活動を再開することにしました。あと、ゆる〜くTwitterをやってますので、気が向いたらぜひフォローしてください。


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